クロスチャイルド

時は今より少し先の未来。

度重なる気候変動と温暖化により、陸地の約60パーセントは砂漠化し人が住めなくなった。水と食料と土地をめぐる戦争が終わった後の世界には、人口は減り、国のほとんどが財政破綻により消滅。残った国のほとんどは独裁国家や王政の国家が占めていた。世界は壊れかけた天秤で、なんとか均衡を保っている状態だった。

そんな世界で、化学の進化は歩みを止めずに進んでいく。
兵器・コンピュータ・ネット・交通網の進歩はもちろんのこと、特に昨今凄まじいのが遺伝子工学の研究だ。
その中でも遺伝子工学の最高権威、ジェフリー・ガーランド博士は世界中から注目される研究者の一人であった。
表向きは医療や宇宙開発の遺伝子研究をしているが、裏の顔がある。
そのジェフリー・ガーランド博士によって作られた”クロスチャイルド”と呼ばれる生物と人間を交配させて作られた生物兵器が存在する。
交配とゲノム編集技術により、人知を超えた力を持って生み出されるクロスチャイルドは希少性が高く、世界には10体しか存在しない。
人の容姿をしているが、その身体能力はかけ離れており、岩を爪で引き裂く者もいれば、水流を自在にコントロールできる者もいて、その能力は個体によりさまざまだ。
おおよその人々にとって、クロスチャイルドは都市伝説の一つとしての認識であるが、実際に存在し、さらにクロスチャイルドは各国の用心棒や兵器としての利用が最も多く、それぞれがそれぞれの立ち位置で存在していた。

舞台はアイソン超高層ビル街の摩天楼。ユキという16歳の少年が主人公で、物語はそこから始まる。

ユキは世界中に散らばったクロスチャイルドのひとりで、クロスチャイルド研究施設と呼ばれる、ジェフリー・ガーランド率いる研究施設に所属している。その中で日々秘密裏の任務に当たっていた。

生物兵器として生まれ育ってきたユキの世界は色がなかった。
言われたことをただこなすだけの日々。そんな日々に疑問も抱いたことはなく、淡々と時が過ぎていった。そしてそんな風に一生を終えるのだと思っていた。

そんな折、ユキに新しい任務が言い渡される。それは11体目のクロスチャイルドが実はこの世に存在するということ。
命を狙われている11体目のクロスチャイルドを救出にユキは向かう。
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