認知症の連れ合いとの老後 （失禁対策や介護費用対策も）

けだし、名言

我が家で一代のテレビは、居間にある。夫が家にいるときは、起きてから寝るまで見ようが見まいがつけっ放しだ。
「テレビ消して」
と私が言うと
「見なければいいだろ」
と返す。
「あら、音だってうるさいのよね」
「だったら、お前は自分の部屋に行けばいい。テレビはここにしかないんだから。」
「……」

認知症で要介護2の夫は、今年から月一回のショートステイを利用している。
その支度を終えて、またテレビを見ている夫に
「そろそろ迎えに来てもらう時間だから」
言いに行くと、画面にひらがなでじゃらんという文字が映し出されていた。
「なあに？じゃらんって？変なの？」
「えー、知らないんだ。旅行のじゃないか。常識だよ。お前を一人にするの心配だな」
あきれ返った顔をされるのも癪に触って何冊かの辞書で調べてみたが、結局”じゃらじゃら”しか載ってなかった。

「（お父さんがいないから）息抜きできている？」と次女から電話があった。
朝のじゃらんの件を話したら、
「お母さんの祖言っているるるぶと同じ旅行雑誌の類なんだけど……。まぁ、お母さんはテレビを見ないからね。

後日、次女がやってきた。食事にでも、ということになり、運転席に座った彼女。
「車運転するの、すごい久しぶり。やっぱりお母さんが運転する方がいいかなぁ」
運転しながら
「えーと、右がアクセル、左がブレーキ、右がアクセル、左がブレーキ、今踏んでいるのがアクセル、右がアクセル、左がブレーキ」
呪文のように唱えていた。

助手席の夫が振り返って、私に
「おい、うちには、まともな奴がいなかったんだ」



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父の口癖　「お前を一人にするの心配だな」
………いや、お前がな！！