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めざめ

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目を覚ませば、いつもの様に灰色の天井が見えた
正確には、木の色である茶色をしているのだろうが、自分には、何もかもが灰色にしか見えない
辛うじて明暗が分かるだけマシと言うものだろうか
(…今日も、あの夢か)
自分の居た場所以外に、全てを隠すように雨が降り続けるあの夢
きっと、あの周りには、あの悪夢が広がっているのだろう
見たくなかった、あの悪夢が


ゆっくり上体を起こせば、体の節々が痛みを訴えて来た
矢張りあの夢を見ている最中は変に体を曲げてしまっているらしい
何とか治したいと思う一方で、あの事を忘れるなと誰かに囁かれている様にも思う
「…」
軽く頭を降って溜息をついた後、自分は洗面台へと向かった


冷たい水が顔に当たれば、パチッと目が冴える
顔を拭いた後、光の映る自らの瞳が、鏡の中の自分を見据える
冴えている様な、はたまた愚かな様な、何とも言えない顔をした自分を
(…矢張り、色は変わらないか)
知っている。この程度では治らない事も、きっと、あの夢をどうにかしなければ、色が戻らない事も
(…困ったものだな)
そう思うのも何度目か
鏡の自分から目を逸らし、ゆっくりとキッチンへと向かう
(今日は何にしようか…)
のんびりと今日も日々が始まる
あんな日々など知らないと言うかのように
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