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中編 ※注 無理やりシーンあり

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自分の身体からは香油の甘い香りが漂い、王太子の寝室にも薫り高い香が焚かれている。

「エルさま、早く来ないかなぁ・・・」

薄く滑らかなネグリジェに包まれた自分の身体を見下ろして、頬が熱くなった。

「やっぱりわたしの初エッチの相手は王子様じゃなきゃね」

どう見ても不細工な同級生の男と付き合って良い気になっていた友人を思い出す。

所詮あの子にはああゆう男がふさわしいのよねー。
わたしには美形の王子さまがふさわしい。

思わずギューッと枕を抱き締めてしまう。
ずーっと顔が笑ってしまうのが止まらない。


「これが運命ってヤツよね‼」



「失礼します。ミア様」

ノックも無しに重い扉が開いた。

ようやくエルさまが来た! と思ったら・・・

「国王さま、それに神官さま、どうしてここに?」
「王太子と婚姻の儀を務められたミア様にお伝えしなくてはならないことがありまして」

でっぷり大きなお腹に頭が禿げた神官と、色黒で痩せた田舎のお爺ちゃんって感じの国王さま。
エルさまと全然似てないのは、歳取ってから先代聖女との間の子どもなんだって。


なにかヒミツの儀式でもあるの?さっさと出てって欲しいわ。今夜は初夜なんだから。

「かってこの国では、強い魔力を持つ魔術師や、勇者と呼ばれた猛き戦士が生まれました」
「はぁ、そうなんですね」

もったいぶって神官さまが言う。眠くなってきちゃうわよ。高校の数学の先生にそっくり。

「ところがある時から、そのような卓越した者は生まれなくなった。」
「はい」

だからわたしとエルさまの子どもに期待ってワケね。
わかってるから早く終わりにしてよ。

「当時の神官は神託を授かりました。異世界から強き血の者を召喚し、その者と子を生せ。と」
「はい」

「聖女とは、この国そのものと婚姻を交わすのです」
「はあ・・・」



「ミア様には王太子殿下に加えて、国王陛下、そして神の意を体現する私と床を共にして頂きます」
「は?」


いつのまにかベッドの前に侍女が二人立っている。聖女の護衛も兼ねた武術の達人だ。
がっしりと両腕を掴まれる。

そのままベッドに押さえつけられる。ウソだよね⁉

「冗談ですよね!?」

「聖女様は異世界から膨大な魔力と、優秀な子孫を運んできてくださる方。この王国はますます繁栄するでしょう」

「誰かたすけて! エル様ぁ!」

必死に足をバタバタさせる。でも体がうまく動かない。クラクラしてきた・・・

「エルフリードも承知の上の事。これが終わったら宰相と騎士団長の相手もして頂くぞ」
王様が服を脱ぎながら言った。

皺だらけだけどがっしりした上半身に鳥肌が立つ。

「いや! いやああああああああああ!」

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