上 下
6 / 32

再会

しおりを挟む
 「え。な、何だと…8歳…なっ!! タ、ターケン…か もしかして…」

 「良かった。私の事、覚えててくれた…」

 「ど、どうして…い、いや…そうか、生きていてくれたか…よ、良かった…な…きゅ、急にいなくなったもんな…今までどこで何してたんだ?…」

 「… 十八歳まではヤオピンで暮らしていた。母と一緒に…その後、1人で色々な街々を旅した…色んな街、変わった街もいくつかあったが…恐らく、このプワラの街の異常さは群を抜いている…それが、ハッキリした。8歳までと幼く短い期間ではありましたが、その記憶は強烈に鮮明に残っている… 
だから…当然、父も気付き、あんな事を…」

 「…父上は、残念だったな。今は、刑務所に、いるはずだな…」

 「…話は変わるが、ジャミア。覚えてる? 8歳の時、私たちは…フフ」

 「な、何だよ…急に…」

 「フフフ、また会えて嬉しいよ。ずっと心の片隅から離れなかった。1日たりとも…」

 「な、何言ってんだよ!!ガ、ガキの頃の事なんて…ってお前、ほんとに子供に爆竹当てたのか!? そ、それに、お前が自分でターケンだと言わなきゃ気づかなかったぞ!全然変わって…(いや、瞳や輪郭はやはり面影がある…整って…はっ!)」

 「かっこよくなったと思ってくれた?ジャミアはやはりジャミアだよ…」

 「は?何だよ、それ…」

 「ははは! 笑えよ!ジャミアも!!あははは!!」

 「お、お前って奴は…は、はは…」

 「8歳の時、約束してオアシスのとこで待ち合わせたよね?…でも、あんな事が起こり行けなかった…ずっと心に残っていた。すまなかったジャミア…」

 「……」

 「今、謝れて少しスッキリした…ジャミアは、どう思っていたかは知らないけれど…」

 「あんな事が起こっていたからしょうがないさ…でも…ホント言うと、(小声で)…会いたかった…はっ!! いや、な、何でもない!」

 「ジャミア。あの頃は、お料理ごっことかで楽しんでいた。でも今は、料理も得意中の得意だよ…そりゃそうだよな。そうならざるを得ない…フッ」

 「何が、フッだよ。でも、変わったね。最初はわからなかった…」

 「どう思った?カッコ良くなったと思った?…」

 「{少し照れたように}ハァ~ッ!何言ってんだよ!」

 砂嵐が…舞う

 この救いようのない今までの心が枯れた感覚の中いつ以来ぶりになるかというほどの安らぎと癒しを感じた…矛盾している…今から相当の覚悟を決めての勝負の前に神が私に与えてくれた最大の試練の前のささやかなひとときか…こんな危機感を感じる戦車の上で人生は皮肉の連続、悲しみ、予期せぬ出来事、今は受け身にならず前に進む…自分に正直に正しくない事には決してそのままにしない。間違っている事には間違っているという…それでは人としての自分の尊厳を傷つけ魂を腐らせていくだけになるから…徐々に徐々に無意識にでも…目を覚まして突き進む!だがこれからまた人の世の…いや生物の世の不条理を感じる事になる…… 
「…で、そうそう…そう言えば何でだ。何でこんなところで連行なんかされてるんだ? 後、あの 
デカブツとはどういうつながりだ?それに私が、副兵士長だという事も知っていたな…顔に書いてあるぞ?」

 「…ジャミア。私は…その件については風の噂で聞いた。隣町ヤオピンくらいは、いくら情報シャットダウンのプワラとはいえ噂話は入るさ。ジャミア。私は…あの時8歳だったから何となくしかわからなかったが…それから程なくして母から真実、真相を聞き確信した。そしてあの時も物凄い悪意は感じていたんだ…それだけではない。あれから先ほど言ったように色々旅して回ったと言っただろう…その中においてもボンタ町長の被害に遭われた人との接触や私自身も被害に合い名誉も生活も粉々にされた事もある…こんな気持ちをみんなに味わせるわけにはいかない!!人々に安心安全を!!みんなを守る!!無論、君も守る!!」

 「な、何言ってんだよ…さっきから…私を…守るだと…さっきから私が兵士…副兵士長になってる事に関しては聞いてこないが…私はこの街の兵士なんだ!!しかも!副兵士長!! ボンタ様を守る仕事なんだよ!!」 

 

 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?

冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。 オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・ 「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」 「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

記憶がないなら私は……

しがと
恋愛
ずっと好きでようやく付き合えた彼が記憶を無くしてしまった。しかも私のことだけ。そして彼は以前好きだった女性に私の目の前で抱きついてしまう。もう諦めなければいけない、と彼のことを忘れる決意をしたが……。  *全4話

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

王妃そっちのけの王様は二人目の側室を娶る

家紋武範
恋愛
王妃は自分の人生を憂いていた。国王が王子の時代、彼が六歳、自分は五歳で婚約したものの、顔合わせする度に喧嘩。 しかし王妃はひそかに彼を愛していたのだ。 仲が最悪のまま二人は結婚し、結婚生活が始まるが当然国王は王妃の部屋に来ることはない。 そればかりか国王は側室を持ち、さらに二人目の側室を王宮に迎え入れたのだった。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

わたしは婚約者の不倫の隠れ蓑

岡暁舟
恋愛
第一王子スミスと婚約した公爵令嬢のマリア。ところが、スミスが魅力された女は他にいた。同じく公爵令嬢のエリーゼ。マリアはスミスとエリーゼの密会に気が付いて……。 もう終わりにするしかない。そう確信したマリアだった。 本編終了しました。

悪役令嬢は処刑されました

菜花
ファンタジー
王家の命で王太子と婚約したペネロペ。しかしそれは不幸な婚約と言う他なく、最終的にペネロペは冤罪で処刑される。彼女の処刑後の話と、転生後の話。カクヨム様でも投稿しています。

処理中です...