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いざ、婚約解消!

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「君の事を愛してる。だから、婚約してほしい」

「本当? 私も愛してる…!」

「ああ…マリー!」

「エド!」



 そして、二人は力強く抱き締めあった。



 そんなバカップルのイチャイチャを影から見ていた私は、エドと呼ばれているのメイリア・フィール・アルカンタ。



「はぁ……なのね…」



 公爵令嬢としてため息を漏らすのは駄目な事だが、そうせずにはいられない。それもそうだろう。この手の浮気はもう何回もしているのだから。



「どうしたものかしら。でももうこれ以上婚約を続けるのは無理があるわね…」



 以前の浮気の時は、このまま婚約を続けてくれと陛下から頼まれた。しかし、もう何十回目となるとこっちが嫌になってくる。実はまた浮気したら頼まれても断ろうと思っていた所だった。だから丁度いい。



「陛下と王妃様に報告しなきゃね」



 やっと婚約解消できるのだとほくそ笑んだ私は婚約者の─いや、浮気野郎の元を去った。



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇







「おお、メイリア嬢、久しいのぅ!」

「陛下、メイリアに最後にあったのは三日前ですよ」

「…ご無沙汰しております。陛下、王妃殿下」



 この夫婦は相変わらずマイペースだ。こんなマイペースなのにあの浮気野郎はなぜこうなったのだろうか…?考えても仕方ない。私は早速本題に入ることにした。



「今回も、エドワード殿下の事でお話に参りました」



 その言葉に陛下と王妃は固まる。そして、王妃は恐る恐るといった様子で口を開いた。



「……メイリア、エドワードのことというのは、もしかして……」

「はい、恐らく王妃殿下が考えているのと同じかと」

「そう、あの子はまた他の令嬢に…。はぁ……今度はどちらの令嬢なのかしら……」



 王妃殿下はため息をついているが、ため息つきたいのはこちらの方だ。そう言いたいのをぐっと堪えて口を開いた。



「マーガレット家のご息女、マリーナ様です」

「マーガレット家……子爵家ね。教えてくれてありがとう、メイリア」

「いいえ、礼を言われるほどでは。…つきましては、陛下、王妃殿下にお願いがあります」

「…ええ、もちろんいいわよ」

「エドワード殿下との婚約を解消してほしいのです」



 何度目かのこのセリフ。もういい加減これで最後にしたい。

 その言葉に、ずっと固まっていた陛下が動き出した。



「…メイリア嬢! 解消は…考え直してくれまいか?」

「陛下、エドワード殿下は何十回も浮気を、王族の一員という自覚のない浮ついた不適切な行為をしています。これ以上婚約を続けるのは無理があるかと。それに…婚約を解消するのは潮時かと思っています」

「潮時というと?」



 王妃殿下が首を傾げる。



「私やエドワード殿下は三ヶ月後には学園の入学を控えています。ですので学園入学前に事を終わらせるべきかと。その方が関係を白紙に…とまでは行かなくともこのままの関係よりはマシになるかと思います」



「……そう、か……そなたは随時前から、婚約のことを考えていたんじゃな。それでも、考え直してくれまいか?そなたは次期王妃にふさわしいと私たちは考えているのだから……」



 その言葉に反論しようと口を開いたが、陛下の言葉を遮ったのは以外にも王妃殿下だった。



「いいえ、陛下、メイリア達の婚約を解消しましょう。たしかに、メイリアは次期王妃にふさわしいし、娘が生まれなかった私達にとっては娘同然のように可愛がっていましたが……しかし、そう思っているからこそ婚約を解消するべきです」



「…王妃殿下……なぜ……」

「メイリア、苦しんでいたとは露知らず、すまなかった」



 王妃殿下の思わぬ助け舟に驚く。陛下は王妃殿下が言うと、渋々といった様子で頷いた。



「…そうじゃな、メイリア嬢、婚約を解消しよう」



 そうして、昔から願っていた婚約解消をすることが出来たのだった。



 本当に陛下たちの温情に感謝している。マイペースな所もあるが、可愛がってくれたのは感謝しているのだから。



「…ありがとうございます、陛下、王妃殿下。今まで娘同然に可愛がってくれて、本当にありがとうございました。これからは貴族の一員として陛下に忠誠を誓います」



 私は王妃殿下から賞賛されたカーテシーをし、王の間を後にした。





◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇





















 カツ、カツ、とヒールの音が響く。

 私は庭園で立ち止まり、周りに誰もいないことを確認するとすぅっと息を吸って、そして叫んだ。



「…やっったぁ!!…ああ、これでやっと婚活が出来るわ!あのクズエドワードの浮気のお陰ね!!」



 そのあと私はは、ルンルン気分で城を出ていったのだが、それを影から見ていた人がいるなんて思いもしなかった。





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