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1学期編 ~期末試験~
第41話
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千春と詩音の勉強は、当初は千春がどう進めていけばいいのかわからなさそうにしていたが、正悟に教えるよりは理解が早かったので、どこをどう説明すればいいのかも次第に見えてきた。
詩音は千春と1対1で話すことなどなかったので緊張していたが、そこまで邪険にされるわけでもなく聞けば頑張って教えてくれようとしてるのがわかり、理解する努力をしていた。
「ここをこうすれば、いいのよ。朝霞君は代入の値を間違えているのよ。」
「あ~、だから答えが変な値になってたのか。」
「もう少し落ち着いて式を見るようにして、値を間違えないようにすればいいわ。」
「うん、気を付けるね!」
千春と詩音は会話も少し挟むようになりつつも、やるべきことはやっていた。
「朝霞君は相棒を組むってことは考えているのかしら?」
「え! う~ん、考えてなくは、ない、かな…? でも、どうして急に?」
「少し気になったのよ。他クラスの人と組むなら試験が終わってからにしないといけないという話を聞いたから教えてあげたほうがいいのかしらって。」
「なるほど…。ありが…! って、待って、まだ僕相手が誰とも言ってないよね?」
「ええ。言っていないわよ? ただの勘よ。」
千春は見ていてわからないわけがないと思っていたがそれを口に出さずに、女の勘ということにしておいた。詩音は誰のことを言っているのか知られているのではないかと顔を赤くして、
「そ、そっか。それよりも、こ、ここを教えてほしいな!」
動揺を隠せないままプリントの問題を指さしながら勉強を再開しようと促していた。千春もこれ以上この話をするのは勉強にも支障が出るかもしれないと思い、詩音に聞かれた問題の質問を答えつつ勉強を教えていた。
他の机でも同様に勉強を教え合いつつ、午前中の勉強を終えた。昼食後もペアは変わらずに勉強を教え合い、途中で休憩をはさみながらも確実に試験範囲の確認を終えていった。
「はぁ、疲れた~。今月に入って土日の間ずっとこうしているから慣れてきたと言っても、それでもきつい…。」
「それでも最初のころより正悟の勉強は続いているんじゃない?」
「うん、僕もそう思うよ。白崎さんの勉強の教え方もうまいし、正悟もわかりやすかったんじゃない?」
「確かにわかりやすかったけど、俺のメンタルがゴリゴリ削られていったよ。」
正悟、一、詩音は休憩に入ると3人で集まって話していた。女子4人は狭いキッチンで夕飯づくりをしており、男子はリビングで待機している状態だった。蒼雪も秀人と響真と一緒にこの試験勉強を振り返っていた。
「教える側に回るとやっぱり大変だな。俺は教えられるほど頭よくないし、教えられる側ってほどできなくないし、ある意味ここで損してるよな。」
「損はしていないだろう? 教えることで自分の理解度を確認でき、相手に説明させることで相手も理解が進む。できない者同士でも大変だが、ここにいるのは幸いあまりにひどすぎるって人は少ないからな。」
「確かにな。里美のように本番に弱いというだけで基礎が身についている人もいるんだ、ここに集まっているメンバーの平均的な学力は高い。」
蒼雪はクラスメイトに解いてもらった試験問題案のデータを思い返しながらそう言った。
他の人はデータを見ていないから本当にそうなのかと疑問に思っているが、蒼雪が言いきっているからそうなのかもしれないと思うようになっていた。その後も蒼雪たち3人でも会話していた。
「夕飯の用意できたわよ。」
「……運ぶの手伝って。」
「テーブルの上を片付けてもらえると助かります。」
「運ぶから退けてね。」
キッチンで調理をしていた4人がそろそろできそうだと男子に声をかけてきたので、それぐらいは手伝わないといけないということで蒼雪たちは分担して頼まれたことをした。
夕飯を食べ終えると、この日は、男子と女子で別れて蒼雪の家と正悟の家に泊まることになった。
「それじゃあ戸締りはよろしく頼む。」
「わかっているわ。そっちも男子しかいないからといって遅くまで起きて明日の朝に起きられないということはしないようにしなさい。」
「秀人と蒼がいるからそんなことにはならねえよ。」
「確かにそうかもね。」
「それじゃあ、また明日。」
男子は簡単に荷物をまとめて正悟の家へと移動をした。正悟の家でもさすがに6人で同じ部屋に寝ることはできないので布団をリビングに持って行き、テーブルなどを移動差sることでなんとか2人分のスペースは確保した。
「誰がこっちで寝る?」
「俺はこっちでも構わないぞ。」
「俺もどちらでも大して影響はない。」
「僕もどっちでもいいよ。」
「よし、じゃあ決まらなさそうだからじゃんけんで決めるか!」
リビングに作られたスペースで誰が寝ることにするか決めることにしたが、全員が譲り合い、どこでもいいと考えていたので話はまとまらずに響真の提案でじゃんけんをして負けた2人がリビングで寝ることになった。
じゃんけんをした結果、蒼雪と正悟の2人が負けたので彼らがリビングで寝ることとなった。
「よかったのか? この家の住人をリビングで寝かせて。」
「負けちまったんだから仕方ないだろ。俺も文句はないし、そっちで気にせず寝てくれ。」
「わかった。俺たちはベッドも有効活用させてもらおう。」
寝る場所も決まったということで早い時間だが、男子しかいないので風呂も時間はかからないだろうと6人で交代で入ってから勉強を少しした。
基本的には秀人と蒼雪がこの日に勉強した範囲の解説をしていき、時々質問をして答えさせるという形式だった。布団を敷いたり、モノを移動させているので1人1人のスペースが狭くノートを広げられないので教科書を片手に行った。
「さて、そろそろ寝ることにしよう。詩音も限界そうだしな。」
「うん…。ごめんね、ちょっと眠くなっちゃった。」
「いや、白崎からも寝坊はしないように言われている。ちょうどいいタイミングなのだろう。俺たちは2階に上がるぞ。」
秀人に促されて、蒼雪と正悟以外のメンバーは2階の正悟の部屋へと移動をした。
「こうして俺たち2人で夜の時間が一緒ってのは久しぶりだな。」
正悟はリビングの電気を消すと蒼雪に声をかけてきた。
「そうかもしれないな。どちらかの家にいたとしても基本的には他の人がいることも多かった。」
蒼雪は返事をするかどうか迷ったが何か言いたいことがあるのかもしれないと思い会話に付き合うことにした。
「もうすぐ1学期が終わるけど、どうだった?」
「どう、とは?」
「この学園での生活だよ。寮暮らしだと思っていたけどこうして家を借りて友人と泊まるって想像していなかっただろ?」
「確かにな。情報が少ないからどういう生活をしていくかなんて未知数だったよ。」
「だろ? この島での生活に慣れたかなって思うけどまだ知らないことは多いし、試験は意味わからないことが多いし、そういう意味では楽しめてるよなって。」
「そうか。」
正悟は1学期を思い返しているようで、蒼雪はただ相槌を打って彼の話を聞いていた。
一通り話したいことが終わり、リビングに静けさが訪れたかと思うと、
「きっと、2組の連中は何か仕掛けてくると思うぜ。」
「どうしてそう言い切れる?」
正悟は確信を持ったように2組の動向に関して注意を呼び掛けてきた。
「まだ集めきれたわけじゃないけど、2組がっていうか、真田がそろそろ本格的に誰かを潰そうって考えているらしい。今回の試験ではそろそろ大人しくしているだけではないってことを知らしめるために何かするって話だ。」
「そうか。」
「今わかるのはこれぐらいで具体的に何をどうするって話は聞いてない。」
「その情報の信用は?」
蒼雪は正悟が確信をもって話しているがそれがどこからの情報なのかわからず、信用していいのかわかりかねていた。
「信用はしていいぜ。確かな筋からだからな。」
「いったいどこからそんなことを仕入れているのか。」
「それは内緒だな。じゃあ、そういうことだ! おやすみ。」
「はぁ…。おやすみ。」
正悟は情報は伝えたからなと、一方的に話を終えて寝てしまった。
蒼雪もこれ以上のことは聞けそうにないなと思い、静かになったリビングで目を閉じてそのまま眠りについた。
詩音は千春と1対1で話すことなどなかったので緊張していたが、そこまで邪険にされるわけでもなく聞けば頑張って教えてくれようとしてるのがわかり、理解する努力をしていた。
「ここをこうすれば、いいのよ。朝霞君は代入の値を間違えているのよ。」
「あ~、だから答えが変な値になってたのか。」
「もう少し落ち着いて式を見るようにして、値を間違えないようにすればいいわ。」
「うん、気を付けるね!」
千春と詩音は会話も少し挟むようになりつつも、やるべきことはやっていた。
「朝霞君は相棒を組むってことは考えているのかしら?」
「え! う~ん、考えてなくは、ない、かな…? でも、どうして急に?」
「少し気になったのよ。他クラスの人と組むなら試験が終わってからにしないといけないという話を聞いたから教えてあげたほうがいいのかしらって。」
「なるほど…。ありが…! って、待って、まだ僕相手が誰とも言ってないよね?」
「ええ。言っていないわよ? ただの勘よ。」
千春は見ていてわからないわけがないと思っていたがそれを口に出さずに、女の勘ということにしておいた。詩音は誰のことを言っているのか知られているのではないかと顔を赤くして、
「そ、そっか。それよりも、こ、ここを教えてほしいな!」
動揺を隠せないままプリントの問題を指さしながら勉強を再開しようと促していた。千春もこれ以上この話をするのは勉強にも支障が出るかもしれないと思い、詩音に聞かれた問題の質問を答えつつ勉強を教えていた。
他の机でも同様に勉強を教え合いつつ、午前中の勉強を終えた。昼食後もペアは変わらずに勉強を教え合い、途中で休憩をはさみながらも確実に試験範囲の確認を終えていった。
「はぁ、疲れた~。今月に入って土日の間ずっとこうしているから慣れてきたと言っても、それでもきつい…。」
「それでも最初のころより正悟の勉強は続いているんじゃない?」
「うん、僕もそう思うよ。白崎さんの勉強の教え方もうまいし、正悟もわかりやすかったんじゃない?」
「確かにわかりやすかったけど、俺のメンタルがゴリゴリ削られていったよ。」
正悟、一、詩音は休憩に入ると3人で集まって話していた。女子4人は狭いキッチンで夕飯づくりをしており、男子はリビングで待機している状態だった。蒼雪も秀人と響真と一緒にこの試験勉強を振り返っていた。
「教える側に回るとやっぱり大変だな。俺は教えられるほど頭よくないし、教えられる側ってほどできなくないし、ある意味ここで損してるよな。」
「損はしていないだろう? 教えることで自分の理解度を確認でき、相手に説明させることで相手も理解が進む。できない者同士でも大変だが、ここにいるのは幸いあまりにひどすぎるって人は少ないからな。」
「確かにな。里美のように本番に弱いというだけで基礎が身についている人もいるんだ、ここに集まっているメンバーの平均的な学力は高い。」
蒼雪はクラスメイトに解いてもらった試験問題案のデータを思い返しながらそう言った。
他の人はデータを見ていないから本当にそうなのかと疑問に思っているが、蒼雪が言いきっているからそうなのかもしれないと思うようになっていた。その後も蒼雪たち3人でも会話していた。
「夕飯の用意できたわよ。」
「……運ぶの手伝って。」
「テーブルの上を片付けてもらえると助かります。」
「運ぶから退けてね。」
キッチンで調理をしていた4人がそろそろできそうだと男子に声をかけてきたので、それぐらいは手伝わないといけないということで蒼雪たちは分担して頼まれたことをした。
夕飯を食べ終えると、この日は、男子と女子で別れて蒼雪の家と正悟の家に泊まることになった。
「それじゃあ戸締りはよろしく頼む。」
「わかっているわ。そっちも男子しかいないからといって遅くまで起きて明日の朝に起きられないということはしないようにしなさい。」
「秀人と蒼がいるからそんなことにはならねえよ。」
「確かにそうかもね。」
「それじゃあ、また明日。」
男子は簡単に荷物をまとめて正悟の家へと移動をした。正悟の家でもさすがに6人で同じ部屋に寝ることはできないので布団をリビングに持って行き、テーブルなどを移動差sることでなんとか2人分のスペースは確保した。
「誰がこっちで寝る?」
「俺はこっちでも構わないぞ。」
「俺もどちらでも大して影響はない。」
「僕もどっちでもいいよ。」
「よし、じゃあ決まらなさそうだからじゃんけんで決めるか!」
リビングに作られたスペースで誰が寝ることにするか決めることにしたが、全員が譲り合い、どこでもいいと考えていたので話はまとまらずに響真の提案でじゃんけんをして負けた2人がリビングで寝ることになった。
じゃんけんをした結果、蒼雪と正悟の2人が負けたので彼らがリビングで寝ることとなった。
「よかったのか? この家の住人をリビングで寝かせて。」
「負けちまったんだから仕方ないだろ。俺も文句はないし、そっちで気にせず寝てくれ。」
「わかった。俺たちはベッドも有効活用させてもらおう。」
寝る場所も決まったということで早い時間だが、男子しかいないので風呂も時間はかからないだろうと6人で交代で入ってから勉強を少しした。
基本的には秀人と蒼雪がこの日に勉強した範囲の解説をしていき、時々質問をして答えさせるという形式だった。布団を敷いたり、モノを移動させているので1人1人のスペースが狭くノートを広げられないので教科書を片手に行った。
「さて、そろそろ寝ることにしよう。詩音も限界そうだしな。」
「うん…。ごめんね、ちょっと眠くなっちゃった。」
「いや、白崎からも寝坊はしないように言われている。ちょうどいいタイミングなのだろう。俺たちは2階に上がるぞ。」
秀人に促されて、蒼雪と正悟以外のメンバーは2階の正悟の部屋へと移動をした。
「こうして俺たち2人で夜の時間が一緒ってのは久しぶりだな。」
正悟はリビングの電気を消すと蒼雪に声をかけてきた。
「そうかもしれないな。どちらかの家にいたとしても基本的には他の人がいることも多かった。」
蒼雪は返事をするかどうか迷ったが何か言いたいことがあるのかもしれないと思い会話に付き合うことにした。
「もうすぐ1学期が終わるけど、どうだった?」
「どう、とは?」
「この学園での生活だよ。寮暮らしだと思っていたけどこうして家を借りて友人と泊まるって想像していなかっただろ?」
「確かにな。情報が少ないからどういう生活をしていくかなんて未知数だったよ。」
「だろ? この島での生活に慣れたかなって思うけどまだ知らないことは多いし、試験は意味わからないことが多いし、そういう意味では楽しめてるよなって。」
「そうか。」
正悟は1学期を思い返しているようで、蒼雪はただ相槌を打って彼の話を聞いていた。
一通り話したいことが終わり、リビングに静けさが訪れたかと思うと、
「きっと、2組の連中は何か仕掛けてくると思うぜ。」
「どうしてそう言い切れる?」
正悟は確信を持ったように2組の動向に関して注意を呼び掛けてきた。
「まだ集めきれたわけじゃないけど、2組がっていうか、真田がそろそろ本格的に誰かを潰そうって考えているらしい。今回の試験ではそろそろ大人しくしているだけではないってことを知らしめるために何かするって話だ。」
「そうか。」
「今わかるのはこれぐらいで具体的に何をどうするって話は聞いてない。」
「その情報の信用は?」
蒼雪は正悟が確信をもって話しているがそれがどこからの情報なのかわからず、信用していいのかわかりかねていた。
「信用はしていいぜ。確かな筋からだからな。」
「いったいどこからそんなことを仕入れているのか。」
「それは内緒だな。じゃあ、そういうことだ! おやすみ。」
「はぁ…。おやすみ。」
正悟は情報は伝えたからなと、一方的に話を終えて寝てしまった。
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