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1学期編 ~中間試験~

第59話

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―――――1科目目・日本史



俺は千春と約束したように俺はまず前半の問題から50点分の計算を始めた。
最初の方の問題は、年代ごとの並べ替え、穴埋め、選択問題が多く、1つだけ配点の高い記述もあったが、俺はその問題をスルーして計算を進めた。

(この問題なら必要なキーワードさえ逃さなければ千春も問題なく解けるはずだ。)

俺は記述問題について気になって確認をしてタイムロスをしたが、まだ余裕だった。



前半の問題から計算して50点分になるところを把握すると、ようやく自分の担当する問題を解き始めた。

後半の問題を見ていくと、どうやら記述が中心になっていて他に穴埋めと選択問題があったが、前半程はなかった。

(後半の問題の方が難易度は若干高いような気がするが気のせいか…?)

俺は解いていくうちにそんなことを考えた。
ひっかけ問題のように選択肢には近い年代の選択肢や、似た名前のものが多く、正しく理解していなければ難しい問題。
また、記述のキーワードとなりそうなものが複数あり、そのすべてを網羅しようとするとかなり長い文章が出来上がってしまった。

半分しか解かなくてもいいので、時間は足りたが、普通に解いていれば時間は足りなくなっていただろう。

(これで一通り解けたが、見直しをしておかないとな…。)

時間を5分残して俺は日本史の問題を解き終えた。





―――――2科目目・世界史

休み時間の間に確認をしたが、日本史のような選択肢が来ると俺でも間違える可能性はあると思い、念のために年代と地域、国の順序など日本史よりも変遷の多い国々について確認をしておいた。


日本史と同じように前半で50点分の計算をしたが、日本史と同じように見えたが後半の問題を見てみるとどちらかと言えばという程度だが、全体的にひっかけが多い中でも前半の方がひっかけ問題が多く見えた。記述はどちらも1問ずつあり、偶数番目と奇数番目に記述があると後で分かり、どういう解き方をしても記述を1回は解かせようとしているというように感じた。


(この問題を作成した人は性格が悪いんじゃないか?)

まだ世界史の初期しかやっていないにもかかわらず、選択肢の中にはまだ授業ではやっていない範囲の間違いの選択肢が含まれていたり、存在はしていない似たような互換のものが含まれていたりして、なんとなくで覚えている人が引っかかるだろうという心理を利用したような意地の悪い問題が多かった。


(この記述もキーワードが複数あるとはいえ、そのどれに対しても触れていないといけないとはな…。これでは確かに配点が高いはずだ。)

問題文の注意書きには、

『ただし、設問に関するキーワードは過不足なく記述し、またそれについて説明をせよ。』

と書かれており、どこまで書かなくてはいけないかわからない以上、授業で触れた事柄についてはすべて記述するようにした。


そんなこんなで世界史も終わったが、こちらも5分前には終えることができた。
見直しを十分にはできなかったが、おそらくミスはなかったはずだ。

日本史も同様だったが問題文も回収されてしまうので、試験後に見直すことができなさそうだった。




―――――3科目目・国語


国語の試験は、授業で扱った問題が前半の50点分に凝縮されていた。20点分が現代文、30点分が古文となっていたが、どれも配点が低く、記述でさえも3点しかないにもかかわらずキーワードが複数選択しに与えているなど、この試験でなければ割に合わない点数配分の問題となっていた。

後半の50点分は、授業で扱っていない応用の初見の文章の問題だった。現代文と古文で作られているが、前半の現代文がこちらも20点、古文が30点と分野で分けることの対策もされていた。

(現代文と古文を必ず解かせるようにこの配分なんだな…。しかも前半と後半で分けているような俺たちだと後半の人は明らかに負担が大きい…!)

俺はそんなことを思ったが、初見の文章であろうと、読書が好きな俺には読むことを苦と感じることもなく、また、古文であろうと言語であるので内容の雰囲気がつかめればわからない古文の単語があろうと読み進めることは簡単だった。

古文の記述はさすがにそこまで難しくなかった。
応用とはいえ頻出の単語が含まれており、その意味さえ分かれば文章の骨組みは簡単に作れるので訳することや考えを読み解くことは難しくない。


(古文の多くは旅物語や恋愛ものだ。今回は恋愛ものだと明らかだ。それならこのときの心情は…。)

俺はそこまで時間がかかることはなく時間を10分余らせて終えることができた。
見直しもすぐにできたので、余った時間は前半の問題の文章を読んだりして時間を潰していた。





―――――昼休み

試験は60分で、休み時間は20分といつもの時間割からすれば変則的なスケジュールだった。
そのため、12時40分に国語の試験を終えて、昼休みはその時間調整も含めて13時30分までとなっていた。

翌日は、生物基礎と化学基礎と数学?なので、この時間には試験が一通り終わる予定だ。


「蒼!」

俺は昼休みなので昼食の用意をしていると、正悟が弁当を持って話しかけてきた。
俺の元へ移動をするのを見た響真と秀人もこちらに来たので、俺たちは4人で昼ご飯を食べ始めた。


「さっきの試験はどうだった?」
「俺は特に問題なかったな。」
「マジか…。さすがだな。古文は俺じゃなくて榊に任せることになっていたから、事前の取り決め通りの対策が必要になって焦ったよ。」
「どうしたんだ?」
「もしも点数に足りなければ、現代文から必要になる点数分解くっていう感じに分けてたぜ。」
「それだと、面倒くさくなかったか? 俺たちもそうしてたけど、記述もあっただろ? あれのせいで点数通りにする調整も必要だったろ?」
「確かに面倒だったし時間も足りなくなりそうだったぜ…。」
「そんな分け方をしているからだ。」
「そう言う秀人たちはどうしているんだ?」
「俺たちは細かく場合ごとに分けて、残りは前半と後半に分けている。」
「大変じゃねーか? いちいち分け方変えるとどうするか対応を忘れないか?」
「だからこうやって事前に確認をしている。」

秀人はそう言うと、手元のメモ用紙を見せてくれた。
メモ用紙は基本的に筆箱にしまうことで間違っても身に付けてカンニングペーパーに間違われないように気を付けているようで、筆箱から取り出したそのメモ用紙を見せてくれた。


日本史
・文化→里
・事件→秀
・紀元前→里
・紀元後→秀

世界史
・並べ替え→里
・記述→秀
・人→里
・国→秀

国語





メモ用紙をさっと見たが、分野や問題の形式ごとに決めているようだった。

「俺のペアは里美という女子だから彼女の担当するところは里、俺の担当するとこは秀という風に書いてある。基本的に上に書いてある方が優先順位が高いからもし、紀元後の文化の問題があれば里見が解く、という手筈になっていた。」
「なるほどな。」

俺たちは試験についてどう対応しているかを話したのちに、英語の試験について確認し合った。
英語の文章御訳出のミスはそれが直接ミスにつながる可能性があるので、わからない単語や曖昧な単語を中心に確認をした。





―――――4科目目・英語


英語の試験が始まった。
前半の問題は、発音やアクセントの問題、授業で扱った文章の問題が多数あった。後半に差し掛かっても授業で扱かった問題があり、途中から俺が解かなくてはならないところもあり面倒なところもあった。
事前に千春とは、?と?がリンクしているような場合は千春が?も解くと言ったように、分けると面倒な問題があったときの対策もしていたので、そこまで焦ることはなかった。

(初見の文章も解かないといけないから時間が足りるか微妙なところだ。)

俺は読まなくてはならない文章が後半だけではなく、授業で扱ったところの該当箇所もあるので読解に時間が必要だった。

(まぁ読解の方が英語は得意だから助かったな。)

俺はすらすらと読み進めて、問題を解いていった。

しかし、後半の問題の最後に指定された単語を使用した文章を作成するように書かれていて焦った。なぜなら注意書きには、


『なお、この問題はペアのどちらも解答しなくてはならず、少なくとも2文以上ずつ書かなくてはならない。』

と、書かれており、指定された単語は5個あり、配点は10点とわかり易いが、前半と後半に分けている俺たちの場合は千春がこの問題に気が付かなければ点数を落とすことが確定してしまう。

(千春はこの問題に気が付いてくれるだろうか…?そしてこれの分け方は、前半の最後が2点と2点だったから2つ使ってもらうだけでいいのだが…。)

俺は俺の担当するであろう単語を用いた文章を作成したのちに、前半の問題から最後の4点分も解いた。

これで英語の得点は千春が気付いてくれるかどうか祈ることしかできなかったが、俺は彼女を信じて自分の担当したところの解答を見直すしかできなかった。




「それでは試験を終了してください。問題用紙と解答用紙を回収するので、筆記用具を置いて回収に行くまでその場で待っていてください。」

1日目の試験も終わり、英語の解答用紙と問題用紙が回収された。

周囲を見ると、試験が終わったことで脱力して突っ伏す生徒もいれば本当にあっているの不安で仕方がないというように焦っている人も見受けられた。


回収も終わり解散していいと言われた俺たちは、荷物をまとめてまずは教室へと戻ることにした。
1人で教室に戻ろうと思っていたが正悟や響真、秀人も教室に向かうというので正悟たちと戻ったが、彼らも最後の問題でかなり焦ったようだった。

俺たちは最後の問題がどうなったか不安を抱えたまま教室へと向かった。
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