俺たちの共同学園生活

雪風 セツナ

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1学期編 ~中間試験~

第43話

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土曜日になるまでは忙しかったが、少なくとも試験が終わるまではもう相棒を組むことはできなくなったので少しは絡みに来る女は減っただろう。
俺の恩恵を受けたいと勝手についてくるような奴らは放置していたのでもういなくなることだろう。

俺はそう思い、土曜日の朝からランニングを再開しようかと考えていたが、朝に目を覚ますと生憎の天気でこの日もランニングには行けなかった。

(気が付けば最近の日課はただの筋トレにしかなっていないな。)

俺はそう思い、起きてから自室でトレーニングをしていた。


シャワーを浴び、朝食を終えたころに正悟と舞依から俺たちに連絡があった。
どうやら天気は悪いが配送サービスを利用するということもあり、今日中に足りないものや家具を買いに行くようで俺たちが買ったのはどこか、また、どこで買うとポイントの節約になるのか、ということを聞いてきたので俺たちは自分たちが見てきた店について教えた。


「今日の予定はどうなっているのかしら?」
「今日も特にはないな。強いて言えば出された課題に取り組んでおこうと思っていたぐらいだな。」
「そう。その課題を一緒にやっていてもいいかしら?」
「かまわないが、どうした?」
「2人以上だけれど、多すぎると不利になる可能性のある試験というのが気になって…。」
「それは俺も考えていたが、今は思いつくことがないな。そんな試験をしたことがないからこそ思いつかないというのが正確なところかもしれないが、想像力を働かせることも難しい。」
「私も考えてみたけれど、試験という形態をとっている以上は答案を作成するのだとは思うけれど、合計点か平均点にするしか思いつかないわ。」
「そうだな。だが、合計だと人数が多い方が有利になる。3人以上ならば、という条件を付けるほうが採点も難しいだろう?」
「確かにそうね。」


俺たちはしばらく試験についてどういったものになるか考察をしていったが、学園側から正式な通達がくるまでは不明ということでこれ以上は想定の域を出ないということで俺たちは議論を終了させた。


土曜と日曜日は2人で課題を取り組むことにして互いのことを知る時間にした。
少なくとも協力をすることは確実なので、相手のことを知っておいて得をすることはあっても損をすることはないと俺は判断をしたからだ。


月曜日に確認テストの成績は開示されたが、休み明けのホームルームに出ていなかったこともあり、俺が開示されたことを正悟たちに教えられたのはその翌日になったが特に俺は問題なかった。
千春も俺と同様に問題はなかった。

しかし、そうであったとしても復習をしなければ忘れてしまうということと、どこが互いの苦手なところで得意なところであるのかを知っておいた方がいいだろうということで休みの間に教え合った。


休みも明け月曜日になり、俺たちは正悟たちと朝に合流して一緒に登校した。

「メッセージでも伝えたけど、店を教えてくれてありがとうな。どこかいいところがないか探すより知ってる人に聞いた方が時間も短縮できたから。」
「意味があったならよかったよ。」
「あの雨の中ずっと店を探すのはな。」

正悟は苦笑しながらそう言ってきた。
休みは明けても、この2日間と今日も雨はまだ続いていた。
予報では翌日には晴れているだろうと言っていたが、今日は傘をさしながらの登校だ。

しかし、傘があるというのはある意味助かった。
休み明けでどういった変化があるかわからないからである。
相棒を組もうと言ってくる奴らが減ったことと1週間でどれだけ沈静したかわからないが、この雨で傘をさしているのは普通のことで顔が隠れていてもそこまで不振には思わないだろう。
むしろ、顔を覗き込んでいる方が不振に思われるということで俺は安心していいだろう。


学園に登校をして教室に入ると、噂になる前のいつも通りに近い教室の様相だった。
いくらかの視線を集めることになったことは違うかもしれないが、それでも多少は騒動が沈静化しているようで安心した。

響真や詩音たちは教室でも話しかけてくるようになり、休み前よりは机の周囲は賑やかになったが、不快感はなかった。

(人と関わり合うことが少なかった以前の俺からは考えられないな…。)

朝のホームルームが始まるまではいつも通りの賑やかな教室だった。


「おはよう。これから朝のホームルームを始める。」

月宮先生はいつも通りホームルームを始めたが、その手には丸められた用紙を持っていた。

「これから来週行われる試験について説明を行う。一度しか言わないから各自メモを取りながら聞くように。そして、今回の説明の途中では質問を受け付けない。終わってから可能な限りでは応えるから話の途中で口をはさむなよ。」

そう前置きをしてから説明が始まった。

「まずは、これが、君たちの試験のペアだ。相棒を組んでいる人はその人同士になっているから安心してくれ。」

一度そこで話を区切ると、2枚の用紙を広げて、黒板に張り付けた。

「今回の試験は5教科7科目だ。国語、英語、数学、日本史、世界史、生物基礎、化学基礎の7科目だが、授業で行った範囲までで行う。英語では今回リスニングは実施しない。どの試験も時間は60分だ。点数は100点満点になるように作成される予定だ。

 今回はこちらが組んだものと相棒の組み方で、どのペアも2人組になっている。今回の試験は2人の答案用紙で各自50点分ずつ解いて100点の答案用紙を作成してくれ。教師は問題ごとに点数を書いておくように指示されており、各自50点を超える範囲で答えられたものは越えた分を点数から引いていく。
 個人評価は50点満点で判断される。合計点は相棒の評価点になる。組んでいないものには関係がないものになるな。今回の試験はこういったものだ。
 そしてここから注意事項を話すが、当然不正行為は0点になり、1科目するだけですべての試験が0点となる。また、重複した問題を解いた場合は1枚目の答案用紙が優先されて評価される。以上だ。
 何か質問はあるか?」

月宮先生はクラスを見渡すが今回は特に質問があがらなかった。
正しくは質問をするだけの情報が得られる確証がなかったともいえる。
答案の形式を聞いたところで対応できるとも限らないからだ。

マークシートであろうが、記述であろうが、こちらができる回答は50点分ずつで重複したら2枚目の答案用紙の人が不利になる。

そして何よりもこちらが頭を悩ませるのはパートナーがどの問題を解くのか、50点を作る組み合わせがいくつできるか、得意な問題、不得意な問題を把握していかに不得意なものを相手に任せ、相手の不得意を自分がカバーするか、相手のことを知る時間が必要になってくる。

「ふむ、質問はないようだな。今週までは質問を受け付けるから何かあれば聞きに来るんだ。それでは1時限目の用意をしてくれ。遅れないようにな。」

そう言って月宮先生は貼ってあるペア表を黒板から近くの空いているスペースに貼り直して出ていった。

俺たちは1時限の用意が必要だったので、後で見にいくことにした。
俺たちと正悟たちはともに相棒を組んでいるので見に行く必要がないが、響真たちの組み合わせ次第では協力できることもあるかもしれないので聞きに行くか見に行く必要があると思ったのだ。


結局放課後までタイミングが合わず、見に行くことはできなかったが、放課後に人がいなくなったところで俺たちはペア表を見に行った。
男女で組ませるとは言っていなかったが、今回の試験ではいくつか男子同士と女子同士の組み合わせもあった。

おそらく確認試験で見たのは得意な問題と不得意な問題を重ならないようにする調整をしていたのだろう。
どんなに勉強をしたところでどちらも苦手なところが重複していると2枚目を提出することになった人が1枚目を提出する人と比べても不利すぎるとの配慮だった。


詩音は響真と、初めと秀人はクラスの女子と組んでいた。
詩音と響真は互いを知っているから有利かもしれず、得意と不得意がうまく噛み合う組み合わせでもあるようだから、やはり相性がいいのだろう。

一は最初に君島と行動していたこともあり、知っている女子だったようで問題なさそうだが、秀人は見知らぬ女子で、女子の方は話すことが得意でない人だったようでコミュニケーションの時点で苦労しているようだった。

彼らから協力を頼まれたりすればこちらからも何とかしようとは試みようとは思うがそうでなければ頑張ってもらおう。

俺たちはそれらを確認してから荷物をまとめて帰宅をすることにした。
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