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第24話 ふと思い出す

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私は、咲茉ちゃんと集合する駅に着き、一人でずっと考え事をしていました。

いつかは、告白をして、確実に嫁という座を勝ち取らないと、たとえ許嫁だからっていう慢心が、他の人に取られる布石になるかもしれませんからね
……許嫁かぁ

私と蒼君が許嫁の関係になったのは、高校受験の合格通知が来てからすぐだった

『澪、蒼』

私と蒼君が喋っていたら、お父さんが急に声のトーンを下げ話しかけてきました。
私と蒼君も、声のトーンから真剣に聞かないといけない、そう思いお父さんの方を見ました。

「こっちに来てくれ」
「うん」

ソファーから立ち上がり、蒼君の両親と私の両親が座っていたダイニングに向かった。

「2人は許嫁になってもらう
「は?」
「え」

困惑
その2文字が考えを埋めていました。
けど、私は蒼君のことが当時から好きでしたので、最初は戸惑いましたがそれも一瞬、すぐに許嫁になることを理解しました。

「蒼君は、私と許嫁になるのは…嫌ですか?」
「……嫌じゃないけど」

蒼君私から視線を外し首を左手でかくという、蒼君が恥ずかしい時にする行動をしていました

「じゃあ、そういう事で」

この頃はまだ良かったなぁ、卒業式の何日前だっけ?蒼君が私の王子様になったのは

◆◆◆

私が虐められる理由は、容姿端麗なだけ
女子が嫉妬して、最初は陰口から始まり、そこから物を盗まれ一番ひどかったのは、冬休み明けの実力テスト、私は頭が特段良いわけではありませんでしたが英語と国語は得意で、私の得点源でした。
昼休みの後にあった英語の準備をしている時、どんなに探しても消しゴムとシャー芯の替え芯が見つかりませんでした。
消しゴムは最悪シャーペンについている消しゴムで良いのですが、替え芯が無いとなると、いつ書けなくなるのか、この恐怖心は私の精神を狂わせるのに十分でした

「初め」

リスニング、穴埋め、単語選択、長文2、英作文、いつも道理英作文からしようかな

私は、最後のページにある英作文を書こうとしました。

What do you want to do in the future?あなたは将来何をしたい?

これは簡単に書けますね
私はそう思いシャーペンのノックボタンを押し、シャー芯を出しました。

…折れちゃった、あれ、なんで

窓の外で風が吹き荒れ、窓が震え、既に葉が無い木の枝が揺れている音で溢れかえっていました。そんな中、教室にはシャーペンのノックボタンを連打する音が広がる

私はシャー芯を出し紙に文字を書こうと紙につけると、引っ込み、短くなったんだなぁって思いその芯を抜いてもう一回ノックボタンを押し、芯を出しましたが、結果は同じ

カンカンカンカン
ペラ
ふぅ

紙に文字を書く音
ページを捲る音
安心したのかわからない深い息
何かのミスに気づいて出た舌打ち

色々な音が教室に広がる中、私の耳にはノックボタンの連打音とシャー芯が出ても出ても文字がかけない焦りによる心拍

今回のテストで私は蒼君が行く予定の桜島高校を受けるか受けないか、が決まるテストでした。
そのため、たくさん勉強し、たくさん演習しました。

そんな努力は、虐めグループの策略により一瞬んで崩れました

私は50分放心状態になり、テストの終了を告げる予鈴により私は我に返りました

「じゃあ、もう皆帰っていいですよ、家に帰っても勉強をするように」

鞄に筆箱と教科書を詰め、学校を出ました。
テストなので、鞄の中は特に何も入っていない、なのにいつもより2倍…いや3倍重く感じる

「澪、帰ろうぜ」
「すいません、今日は一人で帰らせてくれませんか」
「わかった、けど、おれのことも頼っていいんだぞ」
「……はい」

許嫁になってから、蒼君はいつも帰っていた人達とは帰らず、私も、数少ない一緒に帰る友達とは帰らずに、2人一緒に帰ってました
しかし、許嫁の関係になってから今日始めて、1人で帰りました。

蒼君はもういないですよね

「高校生になっても虐められるのかな」

虐められないって信じたい、けど、多分今回のテストのせいで桜島高校には行けないかもしれない

私は俯きながら歩き考えていると、地面に一箇所、濡れているところがありました。
最初は雨なのかぁって思いましたか、音も聞こえない、それなのに次から次えと地面が濡れていきます
それで初めて、私が泣いているんだなって気づきました。

「嫌だぁよぉ、私だってぇ楽しい学校生活を送りたいよぉ」

なんで私だけ虐められるの?私だって普通に学校生活を送りたい、蒼君とイチャイチャしたい、なんで私の生活を邪魔するの、皆は楽しい生活をおくれてるのに私だけおくれないなんて不公平だよ

「助けてよぉ蒼君」

私は、近くの公園のブランコに乗り、落ち着くまで沢山泣きました。
沢山、目が腫れるぐらい

死んだら楽になるのかな
そんな最悪の事を考えていたら

「澪、大丈夫だよ」

後ろから、大好きな人の匂い、後ろから大好きな人の声色
大好きな人の手が私の髪を撫でる

「あぉくぅん」
「おれに話せない秘密があるんだったら無理に言わなくて良い」

私は首を縦にふり、蒼君の顔を見ていた

「だけど、これだけは誓おう、おれは一生澪の味方だし、一生澪を裏切らない、見捨てない、だから信じて欲しい、いつかその秘密もおれに話してくれるかい」

◆◆◆

この後確か、蒼君の胸に飛び込んで、制服を涙で沢山濡らしたんだよね、それのせいで次の日の卒業式練習で1人だけ学ランを着てなかったんだっけ

未だに切り傷で通してるけど、いつか言わないと

私はそう心に決め、咲茉ちゃんと集合する駅で待った



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