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5章:秘密
30話
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「悪い幸奈。遅れた」
愁が後から遅れてやってきた。
どうやら、ようやくお茶談義が終わったみたいだ。
「ううん。全然、大丈夫だよ。スマホで調べてみたら、私の行きたかったお店が、近くにあったみたいで。待っている間に、行っておこうかなと思って。
どうだった?店長さんとのお話は楽しかった?」
待っている間に、欲しい物を買うことができた。
京都で有名なあぶらとり紙のお店。中学の修学旅行の時に買い、これがあの有名な…と感動したのを、今でも覚えている。
せっかく京都へ訪れたので、また買えたらいいなと思い、立ち寄ってみた。
「とても有意義な時間だった。またお茶について、より詳しくなった」
嬉しそうな顔をしている。それだけお茶が好きみたいだ。
私の買い物は無事に終えたので、そろそろ次の場所へ移動しようかと考えていた。
「そっか。それならよかったよ。
私はもう買い物を済ませたから、次はどこに行く?」
「いいのか?俺ばっかり優先させてもらっても…」
私には他に行きたい場所がない。あとは買い忘れてしまったお土産を買うくらいだ。
寧ろ愁の方が、回りたいところがたくさんあるみたいなので、そちらを優先してほしい。
私はこのお店に来れただけで満足だから。
「大丈夫だよ。私はここに来れただけで満足だし。
愁は他に行きたい場所があるんでしょ?なら、そこに行こうよ」
手を掴まれた。突然のことでびっくりしたが、次の瞬間、愁の口が開いた。
「幸奈、ありがとう。もう少しだけ俺の我儘に付き合ってくれると助かる」
もちろん答えは一つ。私はすぐに返事をした。
「どこまででもお供させて頂きますよ」
愁の我儘だったら、いくらでも付き合える。
「それじゃ、行こう。次の場所へ」
愁の手が緊張で少し震えていたその行きたい場所って、緊張するような場所なの?
そう思うと、私も少し緊張してきた。
◇
連れて来られた場所は、展望を見渡せる大きなタワーだった。
元旦ということもあり、人混みで溢れていた。
「実は俺、夜景が好きで。この景色を幸奈に見せたかったんだ」
確かにとても綺麗な夜景だ。いつまでも、ずっとここに居たいと思ってしまうほど、この夜景に吸い込まれていく。
「こんな綺麗な夜景が見れて、凄く嬉しい。
今日のために色々調べてくれて、本当にありがとう」
今日は本当に幸せだ。愁の好きなものを知れた上に、こんな綺麗な夜景を見ることができた。
私、こんなに幸せでいいのかな。こんなに幸せすぎると、もう帰りたくなくなっちゃう。ずっとここに居られたらいいのに……。
「幸奈に喜んでもらえて何より」
愁はデートプランを、しっかりと立てるタイプのようだ。
知らない土地に行くというのに、殆ど調べずに来た私も私だが…。
それを当たり前かのように、許してくれる愁の優しさが心に染みた。
「本当にありがとう。ずっとエスコートしてくれて」
どさくさに紛れて、腕に抱きついてみた。
嬉しさのあまり、咄嗟に身体が動いてしまった。
「ごめん。離れるね」
離れようとした瞬間、愁に腕を掴まれた。
「いい。無理に離そうとすんな」
再び腕を組み直した。このままずっと離れたくない。この時間が永遠に続けばいいのに…。
「言い忘れてたけど、あけましておめでとう。今年もよろしくな」
すっかり忘れていた。言ったつもりになっていた。
こんな綺麗な景色を見ながら言われてしまえば、目から涙が零れ落ちた。
「こちらこそ、あけましておめでとうございます。今年もよろしくね」
大勢の人の前で泣いてしまったのは、情けないなと思う。愁に迷惑をかけてしまったから。
それでも、嬉し涙は止められなかった。
「もう泣くなよ。泣くほど嬉しかったのか?」
首を縦に頷いた。嬉しいに決まってる。それ以外、有り得ない。
ここまでされたら、もっと好きになってしまう。
「よかった。幸奈なら絶対に喜んでくれると信じてた。
実際、喜んでくれて、俺も嬉しい。こちらこそ、ありがとう」
愁からお礼を言われてしまった。
変な感じだ。どうして、サプライズをしてくれた方が、お礼を言うのだろうか。
お互いにお礼を言い合う姿に、可笑しくなってしまい、二人して微笑んだ。
「愁はお礼を言わなくてもいいんだよ。
お礼を言うのは私の方なんだから。本当にありがとう」
「いや、違うんだ。幸奈は今日、俺の我儘に全部、付き合ってくれた。本当に感謝しても、しきれない」
すっかり忘れていたが、私は今日一日中、愁の我儘に付き合った。
楽しかったな。お茶屋さんの方も素敵な方で。新たな愁の一面を知れた。
そう思うと、私がお礼を言われるのも納得できた。
「そのことは気にしないで。愁が楽しそうにしている姿を見れて、私も楽しかったよ」
「幸奈は本当に優しいな。
俺、幸奈と京都に来れてよかったと思ってる」
それは私も同じ気持ちで。愁と京都に来れて良かったと思ってる。
「うん。私も。愁と一緒に来れてよかった。またいつか来たいね」
何気ない一言だった。思わず心の声が漏れてしまった。
もう取り返しがつかない。愁の口から次の言葉を聞くのが怖い。
でも、早く次の言葉を聞きたくもあった。
「俺も。幸奈とまた一緒に来たいな。
京都だけじゃなくて、もっと色んな場所へ、一緒に行きたい」
愁の口から、また一緒に行きたいなんて聞けるとは思ってもみなかった。
このまま帰らずに、どこかへ行ってしまいたい気持ちだ。
「そうだね。京都だけじゃなくて、もっと色んな場所へ行ってみたいね。
例えば、箱根とかどう?温泉でゆっくりするのもよくない?」
「それも悪くないな。俺は遊園地にも行ってみたいな」
遊園地にはずっと憧れていた。愁と一緒に行きたいと…。
まさか愁の方から提案してくれるなんて思わなかったので嬉しい。絶対に一緒に行きたい。
「行く!行きたい!計画立てて行こうよ」
もうすっかり気持ちは、次の約束へと持ってかれていた。
気が早いのは分かっていても、逸る気持ちを抑えきれなかった。
「こら。まだこの旅は終わってないんだぞ。
ったく、はしゃぎやがって。幸奈は可愛いな…」
「だって、楽し過ぎて、早く次もあるといいなって、思っちゃったんだもん」
私達が恋人同士ではないことは百も承知だ。
それでも私は、一緒に居たいという自分の気持ちを優先させた。
この気持ちを簡単に曲げることはできなかった。
「それは俺も同じだ。幸奈と一緒に居る時間が大切で。一緒に居て、こんなに楽しい人はなかなかいない」
また泣きそうになった。愁はいつだってそう。大切なことは、ちゃんと言葉にして伝えてくれる。
「私も愁しかいないかも。私達っておにあ…、」
言いかけて言葉に詰まった。マズい。これ以上はダメ。
他にいい言葉。代わりになる言葉…、えっと……。
「私達っておにあ…?」
「私達って、似た者同士だねって言いたかったの。
肝心なところで、噛んじゃって。あはは…」
上手く誤魔化せただろうか。勘の鋭い愁でも、今の状況を察すれば、スルーしてくれるであろう。
どこからどう見ても、あからさまに苦し紛れな言い訳でしかないが…。
もし指摘でもされたら、私は今日、百年の恋が冷めるかもしれない。
「そうだったのか。確かに似た者同士かもな」
どうやら言葉の意味を、ストレートに受け止めてくれたみたいだ。よかった。これで一安心だ…。
「でしょ?所々、似てるもん」
私達が似ているかどうかなんて、本当のところは分かっていない。
それでも、この場を乗り切るための嘘なので、上手く話を合わせるしかなかった。
寧ろ合わせてもらっているといった方が正しい。
「一緒に居るうちに、似てきたのかもな。元々、似た部分があったのかもしれないけどな」
一緒に居て…という言葉が嬉しかった。愁の口からそんな言葉が聞けるなんて、思ってもみなかった。
それはまるで、私と一緒に居る時間を大切にしてくれているかのように感じた。
「俺はそうやって、幸奈のいいところを真似しようとしているのかもしれないな。気づかないうちにだけど」
不意を突かれた。好きな人に自分にいいところを見つけてもらえて、嬉しかった。
「例えばどんなところ?」
答えてくれないかもしれないと思いながら、僅かな希望を託し、聞いてみた。
「素直なところかな。まっすぐに想いを伝えてくれるところとか、可愛いなって思う」
まさかの直球だった。私のことを素直だと言う愁の方が、よっぽど素直である。
そんな愁にときめいてしまう。だって可愛いなんて言うから。愁のせいだ。
「あとは優しくて気遣いができるところ。
周りに気遣いすぎるところが、たまに心配になるが、そこも含めて俺は素敵だなと思ってる」
愁の顔が真っ赤になっていた。私の方がドキドキしているというのに…。
こうやって、人に素直な思いをぶつけることが恥ずかしいんだ、愁は。
「もう恥ずかしいから、この辺で勘弁してくれ。
俺が真似したいところは、そんな感じです…」
充分、愁の想いは伝わった。愁がそこまで私のことを理解してくれていたことが嬉しかった。
想いが溢れ、涙が出そうになったが、ここはグッと堪えた。
「もう充分、お腹いっぱいです。ありがとう。想いを伝えてくれて」
これ以上は望まない。贅沢なことは言わないから、もっと一緒に居る時間が、長ければいいのに…と、思ってしまう。
「別に構わないけど。そういうお前は?俺が答えたんだから、幸奈も答えてくれるんだよな?」
愁が後から遅れてやってきた。
どうやら、ようやくお茶談義が終わったみたいだ。
「ううん。全然、大丈夫だよ。スマホで調べてみたら、私の行きたかったお店が、近くにあったみたいで。待っている間に、行っておこうかなと思って。
どうだった?店長さんとのお話は楽しかった?」
待っている間に、欲しい物を買うことができた。
京都で有名なあぶらとり紙のお店。中学の修学旅行の時に買い、これがあの有名な…と感動したのを、今でも覚えている。
せっかく京都へ訪れたので、また買えたらいいなと思い、立ち寄ってみた。
「とても有意義な時間だった。またお茶について、より詳しくなった」
嬉しそうな顔をしている。それだけお茶が好きみたいだ。
私の買い物は無事に終えたので、そろそろ次の場所へ移動しようかと考えていた。
「そっか。それならよかったよ。
私はもう買い物を済ませたから、次はどこに行く?」
「いいのか?俺ばっかり優先させてもらっても…」
私には他に行きたい場所がない。あとは買い忘れてしまったお土産を買うくらいだ。
寧ろ愁の方が、回りたいところがたくさんあるみたいなので、そちらを優先してほしい。
私はこのお店に来れただけで満足だから。
「大丈夫だよ。私はここに来れただけで満足だし。
愁は他に行きたい場所があるんでしょ?なら、そこに行こうよ」
手を掴まれた。突然のことでびっくりしたが、次の瞬間、愁の口が開いた。
「幸奈、ありがとう。もう少しだけ俺の我儘に付き合ってくれると助かる」
もちろん答えは一つ。私はすぐに返事をした。
「どこまででもお供させて頂きますよ」
愁の我儘だったら、いくらでも付き合える。
「それじゃ、行こう。次の場所へ」
愁の手が緊張で少し震えていたその行きたい場所って、緊張するような場所なの?
そう思うと、私も少し緊張してきた。
◇
連れて来られた場所は、展望を見渡せる大きなタワーだった。
元旦ということもあり、人混みで溢れていた。
「実は俺、夜景が好きで。この景色を幸奈に見せたかったんだ」
確かにとても綺麗な夜景だ。いつまでも、ずっとここに居たいと思ってしまうほど、この夜景に吸い込まれていく。
「こんな綺麗な夜景が見れて、凄く嬉しい。
今日のために色々調べてくれて、本当にありがとう」
今日は本当に幸せだ。愁の好きなものを知れた上に、こんな綺麗な夜景を見ることができた。
私、こんなに幸せでいいのかな。こんなに幸せすぎると、もう帰りたくなくなっちゃう。ずっとここに居られたらいいのに……。
「幸奈に喜んでもらえて何より」
愁はデートプランを、しっかりと立てるタイプのようだ。
知らない土地に行くというのに、殆ど調べずに来た私も私だが…。
それを当たり前かのように、許してくれる愁の優しさが心に染みた。
「本当にありがとう。ずっとエスコートしてくれて」
どさくさに紛れて、腕に抱きついてみた。
嬉しさのあまり、咄嗟に身体が動いてしまった。
「ごめん。離れるね」
離れようとした瞬間、愁に腕を掴まれた。
「いい。無理に離そうとすんな」
再び腕を組み直した。このままずっと離れたくない。この時間が永遠に続けばいいのに…。
「言い忘れてたけど、あけましておめでとう。今年もよろしくな」
すっかり忘れていた。言ったつもりになっていた。
こんな綺麗な景色を見ながら言われてしまえば、目から涙が零れ落ちた。
「こちらこそ、あけましておめでとうございます。今年もよろしくね」
大勢の人の前で泣いてしまったのは、情けないなと思う。愁に迷惑をかけてしまったから。
それでも、嬉し涙は止められなかった。
「もう泣くなよ。泣くほど嬉しかったのか?」
首を縦に頷いた。嬉しいに決まってる。それ以外、有り得ない。
ここまでされたら、もっと好きになってしまう。
「よかった。幸奈なら絶対に喜んでくれると信じてた。
実際、喜んでくれて、俺も嬉しい。こちらこそ、ありがとう」
愁からお礼を言われてしまった。
変な感じだ。どうして、サプライズをしてくれた方が、お礼を言うのだろうか。
お互いにお礼を言い合う姿に、可笑しくなってしまい、二人して微笑んだ。
「愁はお礼を言わなくてもいいんだよ。
お礼を言うのは私の方なんだから。本当にありがとう」
「いや、違うんだ。幸奈は今日、俺の我儘に全部、付き合ってくれた。本当に感謝しても、しきれない」
すっかり忘れていたが、私は今日一日中、愁の我儘に付き合った。
楽しかったな。お茶屋さんの方も素敵な方で。新たな愁の一面を知れた。
そう思うと、私がお礼を言われるのも納得できた。
「そのことは気にしないで。愁が楽しそうにしている姿を見れて、私も楽しかったよ」
「幸奈は本当に優しいな。
俺、幸奈と京都に来れてよかったと思ってる」
それは私も同じ気持ちで。愁と京都に来れて良かったと思ってる。
「うん。私も。愁と一緒に来れてよかった。またいつか来たいね」
何気ない一言だった。思わず心の声が漏れてしまった。
もう取り返しがつかない。愁の口から次の言葉を聞くのが怖い。
でも、早く次の言葉を聞きたくもあった。
「俺も。幸奈とまた一緒に来たいな。
京都だけじゃなくて、もっと色んな場所へ、一緒に行きたい」
愁の口から、また一緒に行きたいなんて聞けるとは思ってもみなかった。
このまま帰らずに、どこかへ行ってしまいたい気持ちだ。
「そうだね。京都だけじゃなくて、もっと色んな場所へ行ってみたいね。
例えば、箱根とかどう?温泉でゆっくりするのもよくない?」
「それも悪くないな。俺は遊園地にも行ってみたいな」
遊園地にはずっと憧れていた。愁と一緒に行きたいと…。
まさか愁の方から提案してくれるなんて思わなかったので嬉しい。絶対に一緒に行きたい。
「行く!行きたい!計画立てて行こうよ」
もうすっかり気持ちは、次の約束へと持ってかれていた。
気が早いのは分かっていても、逸る気持ちを抑えきれなかった。
「こら。まだこの旅は終わってないんだぞ。
ったく、はしゃぎやがって。幸奈は可愛いな…」
「だって、楽し過ぎて、早く次もあるといいなって、思っちゃったんだもん」
私達が恋人同士ではないことは百も承知だ。
それでも私は、一緒に居たいという自分の気持ちを優先させた。
この気持ちを簡単に曲げることはできなかった。
「それは俺も同じだ。幸奈と一緒に居る時間が大切で。一緒に居て、こんなに楽しい人はなかなかいない」
また泣きそうになった。愁はいつだってそう。大切なことは、ちゃんと言葉にして伝えてくれる。
「私も愁しかいないかも。私達っておにあ…、」
言いかけて言葉に詰まった。マズい。これ以上はダメ。
他にいい言葉。代わりになる言葉…、えっと……。
「私達っておにあ…?」
「私達って、似た者同士だねって言いたかったの。
肝心なところで、噛んじゃって。あはは…」
上手く誤魔化せただろうか。勘の鋭い愁でも、今の状況を察すれば、スルーしてくれるであろう。
どこからどう見ても、あからさまに苦し紛れな言い訳でしかないが…。
もし指摘でもされたら、私は今日、百年の恋が冷めるかもしれない。
「そうだったのか。確かに似た者同士かもな」
どうやら言葉の意味を、ストレートに受け止めてくれたみたいだ。よかった。これで一安心だ…。
「でしょ?所々、似てるもん」
私達が似ているかどうかなんて、本当のところは分かっていない。
それでも、この場を乗り切るための嘘なので、上手く話を合わせるしかなかった。
寧ろ合わせてもらっているといった方が正しい。
「一緒に居るうちに、似てきたのかもな。元々、似た部分があったのかもしれないけどな」
一緒に居て…という言葉が嬉しかった。愁の口からそんな言葉が聞けるなんて、思ってもみなかった。
それはまるで、私と一緒に居る時間を大切にしてくれているかのように感じた。
「俺はそうやって、幸奈のいいところを真似しようとしているのかもしれないな。気づかないうちにだけど」
不意を突かれた。好きな人に自分にいいところを見つけてもらえて、嬉しかった。
「例えばどんなところ?」
答えてくれないかもしれないと思いながら、僅かな希望を託し、聞いてみた。
「素直なところかな。まっすぐに想いを伝えてくれるところとか、可愛いなって思う」
まさかの直球だった。私のことを素直だと言う愁の方が、よっぽど素直である。
そんな愁にときめいてしまう。だって可愛いなんて言うから。愁のせいだ。
「あとは優しくて気遣いができるところ。
周りに気遣いすぎるところが、たまに心配になるが、そこも含めて俺は素敵だなと思ってる」
愁の顔が真っ赤になっていた。私の方がドキドキしているというのに…。
こうやって、人に素直な思いをぶつけることが恥ずかしいんだ、愁は。
「もう恥ずかしいから、この辺で勘弁してくれ。
俺が真似したいところは、そんな感じです…」
充分、愁の想いは伝わった。愁がそこまで私のことを理解してくれていたことが嬉しかった。
想いが溢れ、涙が出そうになったが、ここはグッと堪えた。
「もう充分、お腹いっぱいです。ありがとう。想いを伝えてくれて」
これ以上は望まない。贅沢なことは言わないから、もっと一緒に居る時間が、長ければいいのに…と、思ってしまう。
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