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11章:卒業とそして…

46話

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卒業式に向けて色々準備に追われていたら、あっという間に卒業式を迎え、無事に卒業することができた。
案の定、卒業式は涙腺が崩壊し、たくさん涙を流した。友達ともまた会おうねと何度も約束を交わした。
実際、卒業した後に遊ぶ約束をしているので会うには会うが、そういう意味でまた会おうねと約束を交わしたわけではない。
社会人になっても変わらずに会おうねという意味だ。もちろんこれからも変わらずに友達と会って、色んなことを話したい。
卒業式が終わった後は友達と軽く打ち上げをし、とても楽しい時間を過ごした。
愁も友達との打ち上げがあったため、お互いに友達と過ごした後、家で合流し、二人だけの打ち上げを軽く行なった。
それはそれで楽しくて。卒業した寂しさなんて一切感じず。良い思い出のまま幕を閉じた。

そして本日はなんと、いよいよ卒業旅行に行く。
ずっと準備してきたので、無事に卒業旅行に行けるのが本当に嬉しい。
沖縄は滅多に行けない。だからこそより楽しみだ。
ちなみに親にはちゃんと沖縄に行くと伝えているので、お土産を買ってきて渡す予定だ。
仕事が始まるまでの長いお休み期間なので、一度実家に帰省する予定でいる。愁も連れて…。
ちなみに愁の実家は私達が住んでいるマンションから近いので、愁のご家族にもお土産を渡しに行く予定でいる。
家族以外に渡す人達もいる。旅行後友達とも会う約束をしているので友達にもお土産を渡したい。
それとこの間、久しぶりに小林さんと蒼空に再会し、また会いたいなと思い、二人にも連絡を取り、会う約束をしているので、二人にもお土産を渡す予定でいる。
こうやって改めて振り返ると、色んな人にお世話になったなと思う。卒業を祝う旅行でもあるが、同時に周りの人達に感謝する旅行でもある。

「幸奈、そろそろ出発するぞ」

飛行機の時間があるので、家を出た。そのまま空港へと向かった。

「これから一週間、沖縄で過ごすの楽しみだな」

一週間とは言えども、実際は四泊五日だ。なのでほぼ一週間と言った方が正しい。
こんなに長期間家を空けて旅に出るのは初めてなので、とても楽しみだ。

「うん。楽しみ。色々見て回ろうね」

観光名所をメインに巡り、美味しいものをたくさん食べる予定だ。
時期的に海に入ることはまだ難しいが、ホテルから海を眺めることができるみたいなので、たくさん海を眺めたい。

「おう。そうだな」

沖縄まで三時間くらい…。そこまで長いフライトではないので、愁と楽しくお喋りしながら過ごしていたらあっという間に着きそうだ。

「まもなく沖縄行きの便が…」

アナウンスが流れた。私達が乗る便がそろそろ出発するみたいだ。

「荷物検査も終えたし、フライトに向かうぞ」

愁がいつも通り手を差し出してきたので、私はその手を取り、フライトへと向かった。
私達は東京を経ち、沖縄へと向かった。


           *


「沖縄に着いたな」

無事に沖縄に着いた。沖縄の気候は東京の春より暖かい。

「着いたね。沖縄は気候が暖かいね…」

「だな。さて。まずは荷物を置きにホテルへと向かいますか」

大きな荷物を抱えたままの移動は疲れるし、何かあってからでは遅いので、そうなる前にまずは荷物を置いてから出かけたい。

「そうだね。そうしよっか」

ホテルに向かい、荷物を下ろした。
荷物を下ろした…ということは早速今から…。

「ねぇ、愁。荷物を下ろしたことだし、外に出かけない?」

「もちろん。最初からそのつもりでいたよ」

すると私のお腹の音が鳴った。恥ずかしい。穴があったら入りたい。
誤魔化せないほど大きな音で鳴ったので、ここは正直に白状した。

「いやー…なんと言いますか、腹が減っては戦はできぬ…とはこのことかなって。まずはご飯を食べに行きたいです」

せっかく旅行に行くのなら現地で何か食べたいよねということになり、機内では何も食べなかった。
お昼時を過ぎていることもあり、お腹が空いている。今は何か食べたい気持ちでいっぱいだ。

「幸奈、安心しろ。俺も同じ気持ちだ。お腹が空いたから腹拵えでもしよう」

愁も同じ気持ちで安心した。それならまずはこのままご飯を食べに行きたい。

「それじゃせっかく沖縄に来たから、タコライスが食べたい」

辛いものが得意というわけではないが、食べられないわけでもないので、沖縄に来た記念にタコライスが食べたい。
愁が辛いものが苦手なら他の食べ物でも構わない。ただ旅に来た記念に…食べておきたいと思った。

「お!いいね。それじゃタコライスの美味しいお店をネットで検索してそのお店に行こうぜ」

土地勘がないため、現在地から近くて美味しいお店をネットで検索した。
するとすぐにお店がヒットし、地図を頼りにお店へと向かった。

「歩いて五分…だからすぐに着くだろうな」

実際、スマホで地図を頼りに歩いてお店へと向かうと、すんなりお店へと着いてしまった。

「本当にすぐに着いちゃったな…」

さすがスマホの地図アプリ…。こういう時、とても便利だなと感じた。

「そうだね。お店の中に入ろっか」

無事に辿り着けたので、お店の中に入った。
店内には人がそれなりに居るが、混んではいない。
すぐに席へ通され、注文し、今はタコライスが運ばれてくるのを待っている。

「高校の修学旅行も沖縄だったんだけど、その時は機内食でタコライスを食べたな…」

どうやら愁も高校の修学旅行は沖縄だったみたいだ。
高校の修学旅行といえば沖縄というイメージが強いので、沖縄の人が多いイメージだ。

「そうだったんだ。私も高校の修学旅行は沖縄だったよ。でも機内食のことまでは覚えてないから、私はタコライスを食べてないのかも…」

今となっては記憶が曖昧なため、本当に食べたかどうかなんて分からない。
でも最早、そんなことはどうでもいい。だって今から本当にタコライスを食べるから。とても楽しみだ。

「だからね、今からタコライスを食べるの、とても楽しみなの」

どのくらい辛いのだろうか。かなり辛くないことを願った。

「それは楽しみだな。俺も久しぶりに食べるから楽しみ」

お互いにタコライスが運ばれて来るのを楽しみに待った。
そして話しながら待つこと数分後、タコライスが運ばれてきた。

「わぁ…美味しそう……」

ご飯の上にサラダが乗っており、更にその上にお肉とトマトとチーズと卵、そしてトルティーヤチップスが乗っている。
見た目が豪華だ。暖かい気候に合う食事で。食欲がそそられる。

「それじゃいただきます…」

「いただきます…」

スプーンで掬って口元へと運ぶ。そのまま口の中へ放り込み、いただく。
口の中に含んだ瞬間、辛味がまず伝わり、程良い辛さに舌が少し痺れる。
これなら大丈夫な辛さだ。食べ続けたら辛さが蓄積されて辛いかもしれないけど…。
辛さよりも味が美味しいので、辛さが気にならない。食べる手が止まらず、どんどん進んで食べてしまう。

「ねぇ、どうしよう。美味しすぎて手が止まらない…」

余裕でおかわりできそうだ。それぐらい美味しい。
タコライスって家でも作れるのかな?一見作れそうなレシピな感じがするので、後でレシピを調べて作れそうなら作ってみようかな。
それぐらいタコライスにハマってしまった。二人で旅行の思い出に浸りながらお家でも一緒に食べたい。

「分かる。俺も気づいたら手が止まらなくて。食べ終わってた…」

愁が私にお皿を見せてくれた。本当に愁は完食していた。

「本当だね。…あれ?私もだ……」

自分では気づかないうちに食べ終わっていたみたいだ。
お腹を空かせていたのもあったが、このお店のタコライスがとても美味しかったというのもある。

「おかわりする?」

おかわりするのも悪くないが、ここはやっぱり…。

「うーん、おかわりしたいところだけど、せっかく沖縄旅行に来たから、もっと他にも色々な食べ物を食べてみたいかな」

事前に食べに行きたいお店もリストアップしておいた。元々回る予定でいた観光名所の近くのお店ばかりだが…。
もし事前に調べておいたお店が近くにあるのなら行きたいし、近くにないのであれば先程みたいに突発的に調べて、気になったお店に突撃してみるのも悪くない。
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