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9章:同棲生活スタート

37話

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そして私は服だけじゃなく、雑貨屋さんでアクセサリーも買った。たまたま好みの可愛いデザインに出会えたので、これは買わずにはいられないと思い、購入した。
まだ付ける機会がないため、アクセサリーは付けていないが、早く付けたくて仕方がない。
ちなみに購入したアクセサリーはピアスだ。ピアスは高校を卒業してすぐに穴を開けた。
髪も高校卒業と共に茶髪に染めた。ずっと憧れていた。髪色を変えるのも。ピアスの穴を開けるのも。
今も変わらずにピアスの穴は開いたままだし、髪も数ヶ月に一度、美容院で染めている。
お金はかかるが、オシャレができて楽しい。黒髪より茶髪の方が気に入っている。
ちなみに愁はずっと黒髪だ。染める気はないらしい。でも愁は黒髪が似合っているので、そのままでも充分だ。
髪型はうちの親に挨拶をしに行って以来、ずっと短髪のままだ。どうやら短髪が気に入ったみたいで。私も短髪な愁がかっこよくていいなと思っている。

そんな今日はお互いに大学もバイトもない休日だ。
たまには家で二人でゆっくりしたいなと思い、お互いに頑張って休みを合わせた。バイト先で散々揶揄われたが…。
こうやって揶揄われるのも悪くない。そう思えるくらい、今の私は浮かれていた。
同棲が想像していたほど苦ではなく、楽しいことだらけで。今となっては悩んでいた自分が嘘みたいだ。
それに愁の方が色々と家事をやってくれている。私は完全に甘えている。私なりに頑張っているつもりだが、それ以上に愁が頑張ってくれるので、私にやれる家事が残っていない。
今朝も朝食は私が作るつもりでいたが、愁が先に起きて作ってくれた。今まさに愁が作ってくれた朝食を食べるのを待っている状態である。

「朝飯、できたぞ」

愁は手際が良いため、あっという間に作り終えてしまった。
私はある程度の料理はできるが、愁ほど手際が良くないため、時間がかかってしまう。もっとスムーズにできたらいいのに…。まだまだ料理は勉強中だ。

「朝食作ってくれてありがとう。美味しそう…」

ちなみに愁が作ってくれた朝食は、バターを塗って焼いてくれた食パンに、サラダとヨーグルトとベーコンと目玉焼きという豪華なメニューになっている。これだけあればお腹いっぱいになりそうだ。
しかも淹れてたのコーヒー付き。喫茶店のモーニングを食べている気分だ。

「いえいえ。俺の方が先に起きたから作っただけだよ」

皆がそれをできるわけではないので、それをサラッと言える愁は本当にかっこいい。
あまりにもかっこよすぎて改めて惚れ直した。

「それでもすごいよ。朝からたくさん用意してくれて本当にありがとう」

一緒に住むようになり、今まで以上に愁を大事にしたいという気持ちが芽生えた。
一緒に居る時間が長くなったからこそ、当たり前になっていくことが増えていく。
だからこそ、相手に対して常に敬意を持っていたい。見返りを求めずに、相手のことを思いやる気持ちを忘れずに、小さなことでも“ありがとう”とこれからもずっと伝えていきたいと思っている。

「俺は幸奈に喜んでもらえるのが一番だから。俺の方こそ喜んでもらえて嬉しい。ありがとう」

作る側も喜んでもらえるからこそ、作りがいがある。愁に喜んでもらえて私も嬉しかった。

「いえいえ。こちらこそ。食べるのは得意なんで任せて」

堂々と宣言することでもないが、間違ったことは一つも言っていない。私ならいくらでも愁が作ってくれた料理を美味しく食べられる自信がある。
しかし食べ過ぎには要注意だ。食べた分太ってしまうから。ある程度は加減して食べないといけない。
ただ愁の手料理があまりにも美味しすぎるので、あっという間に太ってしまいそうで怖い…。食べ過ぎには気をつけようと改めて肝に銘じた。

「確かに幸奈は美味しそうに食べてくれるから、食べるの得意だよな」

自分では自分の食べている姿が見えないので、いつもどんなふうに食べているのかなんて分からない。
でも人から見た私は美味しそうに食べているみたいだ。人にポジティブなイメージを与えられるのは良いことだ。これからも変わらずに美味しそうに食べていきたいなと思った。

「改めてそう言われると恥ずかしくて照れちゃうけど、そう言ってもらえて嬉しい。私が美味しそうに食べられるのは愁の料理が美味しからだよ」

紛れもない本音だ。美味しい料理だからこそ、表情にも表れる。
美味しいだけじゃない。好きな人が作った料理というのも大きい。好きな人が作ってくれた料理だからこそ、心も満たされるのであった。

「嬉しいこと言ってくれるじゃん。モチベーションが上がるわ」

愁のやる気を上げたみたいでよかった。私も愁に見習って、頑張ろうと思う。

「私も頑張るね。もっと料理ができるようになりたいし」

誰か一人が頑張るのではなく、二人で一緒に頑張りたい。たとえ愁の方が料理が得意だとしても、私だってもっとできるようになりたい。愁に美味しい料理が振る舞えるように…。

「今度、一緒に時間がかかる料理に挑戦してみないか?」

悪くない提案だ。一緒に料理をするって同棲ならではの醍醐味で。想像するだけで楽しそうだなと思った。

「やる!是非、やりたいです!」

「それじゃ今度、やろう。楽しみだな」

学生同士の同棲なので、お金の面でやれることは限られているが、自分達で工夫して二人で一緒にできることを考えるのが楽しい。
これから先もこうやって二人で一緒にできることを増やしていこうと思う。

「うん。楽しみ」

早く一緒に作る日が来ないかな…と、今からその日を待ち侘びていた。

「そろそろいただきますか」

せっかく作りたてで美味しい朝食が目の前にあるというのに、その朝食には手をつけずにずっとお喋りに夢中で。すっかり朝食のことを忘れていた。
冷める前にいただこう。手を合わせて、「いただきます」と言ってから、愁が作ってくれた朝食をいただいた。
まずはサラダから。サラダはシンプルで。細かく刻んであるキャベツにミニトマト付きだ。胡麻ドレッシングをかけてくれている。至れり尽くせりだ。
箸で一口分の量を運び、口の中へと入れる。よく噛みながら、サラダの味を味わう。
サラダはさっぱりしているので食べやすい。まさに朝にぴったりなメニューだ。

「…ん、美味しい」

トマトは程良い酸味があるが、甘さが強い。トマトが美味しくて箸が止まらない。

「トマト、甘くて美味しいな」

愁もトマトが美味しいみたいだ。二人してトマトの美味しさを堪能する。

「うん。美味しい。トマト、当たりだね」

また美味しいトマトを近所のスーパーで買えたらいいな。こればかりは当たり外れがあるので、なかなか難しいが。そうなることを願った。

「だな。当たりだな」

すぐにトマトは無くなってしまった。残りのキャベツを胡麻ドレッシングと一緒に味わう。胡麻ドレッシングの味とキャベツの甘味が混ざることで生まれる旨味があり、それがとても美味しい。トマトと同等の美味しさだ。
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