上 下
1 / 50
1章:いきなりピンチ?!新しいアルバイトを…?

1話

しおりを挟む
晴れて私達は恋人同士となり、無事に大学二年生にもなった。
でも、私達の平穏な時は、終わりを告げようとしていた。
それはある日のこと。蒼空とはあれから連絡を取っていなかったが、突然、蒼空から連絡がきた。
どうやら蒼空は、私のことを心配して連絡してくれたみたいだ。
そしてついでに、“幸奈って今、アルバイトしてるか?”…と聞かれ、返事を忘れていたら、蒼空から電話がかかってきた。

「俺のバイト先、人手が足りなくて。アルバイト募集中なんだけど、そういや幸奈ってアルバイトしてるか聞いてなかったなと思って、聞いてみたんだ。
もしかして、もうどこかでバイトしてたりする?」

そろそろ本格的にアルバイトを探そうかと考えていたので、このタイミングで紹介してもらえてラッキーだと思った。

「今はアルバイトしてないよ。少し前に辞めちゃったの。
蒼空はどんなアルバイトをしてるの?少し話を聞かせてもらってもいい?」

私がそう聞き返すと、蒼空は丁寧に答えてくれた。

「本屋とカフェが合体してる店なんだけど、俺は裏方で働いてるんだ。
ちなみに募集してるのはホールなんだけど、幸奈は接客は大丈夫か?」

一応、前のアルバイトが接客業だったため、接客経験はある。
でも、飲食店は初めてなので、不安はある。

「前のアルバイトがコンビニだったから、できなくはないと思うけど…」

「本当か?なら助かる。よかったら、うちでバイトしてみないか?」

興味はあるが、不安な気持ちもある。
自分の想いを素直に伝えてみることにした。

「蒼空、待って。私、飲食店での経験がないから、上手く注文した食べ物とか飲み物を運べるか不安…」

「うちのお店は、注文した品を運ぶことはないよ。カウンター形式だから。
一応、業務内容としては、注文の受け答えと、あとはコーヒーが作れるようになれれば問題ないかな」

運ぶことはないという不安は消えたが、新たな問題が浮上した。
コーヒーが上手く作れるか不安だ。

「俺は幸奈を信用してるから、誘ってるんだけど。
やりたくなければやりたくないって、はっきり断ってくれ」

カフェのアルバイトは少し憧れていた。
やってみたいという思いが、芽生え始める。

「働く条件をもっと詳しく教えてもらってもいいかな?時給とか、待遇とか、教えてもらえると助かる。
それを聞いた上で返事がしたいんだけど、聞かせてもらってもいいかな?」

その後、蒼空から詳細を説明してもらい、話を聞いた上でやってみたいと思った。

「幸奈、どうだ?やってみないか?」

「やりたい!面接受けたいです!」

「分かった。俺から店長に話を通しておくから、後で詳しいことは連絡する。それじゃ、またな」

そこで一旦、電話は切れた。まだ知り合って間もないのに、自分にここまで親切にしてくれるなんて、心優しい人だなと感心した。
カフェでアルバイトができるかもしれないと浮かれていたら、バイトを終えた愁が私の家うちへ帰ってきた。

「ただいま。疲れた…」

「お疲れ様。ゆっくり休んでね」

「やっと終わった…。幸奈に早く会いたくて頑張った」

愁は完全に甘えモードに突入している。
こうなった愁は、なかなか離れてくれない。

「はいはい。私も早く愁が終わるのを待ってたよ。
でも、その前にお風呂へ早く入ってほしいな。お願い…?」

頑張って上目遣いでアピールした。
卑怯と言われても構わない。彼氏に何としてでも早くお風呂へ入ってほしいため、手段は選ばない。

「その目と声はズルいな。分かった。入るよ…」

渋々お風呂へと、愁は入ってくれた。
愁がお風呂に浸かっている間、愁が帰ってくるまでの間、作っておいた料理を温めておいた。
料理を温めながら、どのタイミングでアルバイトのことと、蒼空のことを話そうか悩んでいた。
早く話さないと拗れてしまいそうなので、今すぐにでも話してみることにした。

「ふぅ…。いいお湯だった…」

そうこうしているうちに、愁がお風呂から出てきた。
まだ心の準備はできていないが、今話さないと、あとで蒼空の存在を知った時の愁が怖い。

「しゅ、愁、火使ってるから危ないよ?」

料理を温めている最中に、愁にバックハグをされ、心臓が飛び跳ねた。

「そんなのダーメ。関係ない。今は幸奈に甘えてもいい時間だから」

「もう分かったよ。仕方ないな。抱きついててもいいから、少しだけ手伝ってね」

話すタイミングを見失ってしまった。
もし話すタイミングを間違えでもしたら、愁の機嫌が悪くなり、アルバイトができるかどうかも怪しい。
もし、そうなった時は、断りの連絡だけでも入れよう。彼氏が嫉妬して…とでも説明をして。
なんてことを頭の中で考えていたら、思わぬハプニングが起きてしまった。

「幸奈、携帯鳴ってるぞ?」

テーブルの上に置いてある、私の携帯が鳴り響いていた。
この着信音は間違いなく電話だ。急ぎの用事かもしれないと思い、手が空いていなかったため、愁に取ってもらうことにした。

「愁、悪いんだけど、手が話せないから、代わりに私の携帯を取ってきてくれない?」

「いいよ。幸奈のためなら」

すんなり言うことを聞いてくれた。
…なんて思ったのも束の間、すっかり私は忘れていた。あの人の存在を。

「……幸奈、コイツ誰?」

「えっと…、どこから説明したらいいのやら……」

頭が困惑していた。上手く説明しようと思えば思うほど、言葉に詰まる。
やましいことは何一つないし、していない。
でも、心の中のどこかで罪悪感を感じている自分がいた。
やっぱりアルバイトのこと、断るべきだよね?他の男性に紹介されたアルバイト先で働くなんて、嫌に違いない。
自分がもし、逆の立場だったら、嫌な気持ちになる。
だから、ササッと関係を説明して、アルバイトのことは断ろう。
そして、彼氏ができたことも報告しよう。よし、そうしよう。

「ふーん。別にいいけど」

私が歯切れを悪くしたため、愁の機嫌を損ねてしまった。
誤解してほしくないため、ちゃんと説明することにした。

「待って。ちゃんと話を聞いて。その人は蒼空そらって言って。えっと…」

付き合う前とはいえども、合コンに行ったなんて言ったら、どう思うだろうか。
少し怖いけど、勇気を持って言うことにした。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

隣の人妻としているいけないこと

ヘロディア
恋愛
主人公は、隣人である人妻と浮気している。単なる隣人に過ぎなかったのが、いつからか惹かれ、見事に関係を築いてしまったのだ。 そして、人妻と付き合うスリル、その妖艶な容姿を自分のものにした優越感を得て、彼が自惚れるには十分だった。 しかし、そんな日々もいつかは終わる。ある日、ホテルで彼女と二人きりで行為を進める中、主人公は彼女の着物にGPSを発見する。 彼女の夫がしかけたものと思われ…

結構な性欲で

ヘロディア
恋愛
美人の二十代の人妻である会社の先輩の一晩を独占することになった主人公。 執拗に責めまくるのであった。 彼女の喘ぎ声は官能的で…

車の中で会社の後輩を喘がせている

ヘロディア
恋愛
会社の後輩と”そういう”関係にある主人公。 彼らはどこでも交わっていく…

これ以上ヤったら●っちゃう!

ヘロディア
恋愛
彼氏が変態である主人公。 いつも自分の部屋に呼んで戯れていたが、とうとう彼の部屋に呼ばれてしまい…

私は何人とヤれば解放されるんですか?

ヘロディア
恋愛
初恋の人を探して貴族に仕えることを選んだ主人公。しかし、彼女に与えられた仕事とは、貴族たちの夜中の相手だった…

隣の席の女の子がエッチだったのでおっぱい揉んでみたら発情されました

ねんごろ
恋愛
隣の女の子がエッチすぎて、思わず授業中に胸を揉んでしまったら…… という、とんでもないお話を書きました。 ぜひ読んでください。

処理中です...