31 / 57
9度:旅行デート
31話
しおりを挟む
「その気持ち、よく分かるよ。美味しいものを食べると、もっとその味を堪能したくなっちゃうよね」
口の中がずっと美味しい味で満たされたらと思うと、とても夢が広がる。
そんな想像をしてしまうほど、美味しいものを口にしてしまうと、人は理性を失ってしまうことが分かった。
「そうなんですよ。欲張っちゃいます」
仕方がないのかもしれないしれない。それは人の性だから。
「仕方ないよ。だって、美味しすぎるのがいけないから」
時に美味しい食べ物は罪になる。人の欲求には逆らえない。食は人間の三代欲求の一つだから。
「ですね。確実に帰ったら太ってると思います」
それは一理ある。そろそろ年齢的に痩せにくい体質になってきているので、少し食べ過ぎるだけでも痩せるのが大変だ。
「そう…だね。あまり考えたくないけど」
今は現実逃避するしかない。未来の自分が少しでも太っていないことを願った。
「とりあえず、一旦このことは忘れて、思いっきり食べましょう」
慧くんの言う通りだ。今は現実的なことはどうでもいい。この場を思いっきり楽しまないと損だ。
「だね。とりあえず、食べられるだけ食べよっか」
後先のことは考えず、二人して夢中になって、目の前にある美味しい食べ物を食べた。
気がついたら、あっという間に目の前の食べ物がなくなっていた。
*
旅館の従業員さんが、食べ終わったお料理のお皿を下げてくれた。
私達は楽しみにしていた地酒を飲みながら、ゆっくりした時間を過ごしていた。
ちなみに地酒は美味しい。これはお土産に買って帰りたいくらいだ。
「もうダメかも。少し酔ってきちゃった…」
私はあまりお酒が強くない。寧ろいつもより飲めているぐらいだ。
でも、そろそろ限界は近いみたいだ。もうこれ以上飲んだら、酔い潰れてしまいそうだ。
「そろそろお酒は引き上げましょうか」
慧くんはそう言ってから、グラスに残っているお酒を一気に飲み干した。
そして、グラスをテーブルの上に優しく置き、私の腕を掴んだ。そのまま寝室へと連れて行かれた。
「京香さん…」
熱を帯びた瞳で、私を見つめてくる。その視線から私は目を逸らせない。どんどん熱に浮かされていく。
「いいですか?しても…」
そんなの聞かれなくても、答えは一つしかない。
「いいよ。しよっか」
私がそう言うと、慧くんは私の頬に優しく触れてきた。
優しい手がどんどん下に降りていき、流れるように浴衣を脱がされる。
そのまま唇が重なり、どんどん激しいキスを交わしていく。
「今日は手加減しませんので」
慧くんはわざわざする前に宣言してきた。私は最初からそのつもりでいたので、首を縦に頷いた。
私の首の頷きと同時に、慧くんは行為の続きを再開した。
私は慧くんの手にどんどん溺れていった。気がついたら、深い沼へと落ちていた。
*
目覚めたら、次の日の朝を迎えていた。
昨日の夜の慧くんは、激しさはあれど、とても優しく抱いてくれた。
私は慧くんの優しさに愛を感じた。その愛が心地良くて。もっと慧くんに愛されたいと願ってしまった。
「おはよう…」
微睡んでいたら、隣から愛おしい人の声が聞こえてきた。
私はすぐに彼の方に顔を向けた。
「おはよう…慧くん」
起きたての顔を見られるのは恥ずかしいが、恥ずかしさよりも好きな人の顔を見たいという気持ちの方が勝った。
「まだゆっくりしてます?それとも起きて、朝風呂でも入ります?」
どちらも素敵な案なので捨て難いが、ここはせっかくなのでこちらの案を選んだ。
「うーん、そうだな。せっかくだし、朝風呂に入ろっか」
ついでに顔も洗える。できれば少しでも好きな人には綺麗な自分を見せたいと思うのが乙女心だ。たとえ慧くんが気にしないとしても、私が気にする。
そんな乙女心もあるが、せっかくの温泉旅行に来たので、温泉にも入りたい。寧ろ温泉に入るのがメインだ。イチャイチャは二の次である。
それでも抗えない欲望には逆らえないわけだが。朝は自分に打ち勝ち、温泉に入ろうと思う。
「それじゃ、朝は大風呂に入ってみましょうか」
個室の内風呂ではなく、大風呂に入りたいみたいだ。
私も大風呂に入ってみたいと思っていたので、ここはせっかくなので、大風呂に入ることにした。
「いいね。大きいお風呂に入るの楽しみ」
個室の内風呂も家のお風呂と違い、充分な広さがあり、ゆっくりできて快適だった。
でも、大風呂はもっと大きい。大きいお風呂に入るというだけで、ワクワクしてしまう。
「俺も楽しみです。大きいお風呂ってだけで、ワクワクしますよね」
どうして大きいお風呂ってだけで、ワクワクするのだろうか。
理由はない。温泉ってだけでテンションが上がることは間違いなかった。
「だね。それじゃ、準備しよっか」
お互い旅館の大きなお風呂を楽しみに、温泉に行く準備を始めた。
想像だけで今からお風呂に入るのが楽しみだ。ルンルン気分のまま、お風呂へと向かった。
*
「それじゃ、後で合流しましょう」
さすがに温泉では男女別々なため、ここで一旦、お別れだ。
それぞれで良いお湯を楽しみ、後でお風呂の感想について語ろうと思う。
「だね。また後で」
それぞれ暖簾を潜り、中へと入って行く。
朝ということもあり、数人しかいない。さすがにまだ寝ている人の方が多いみたいだ。
この人数なら、久しぶりの温泉とはいえども、恥ずかしさはあまりない。
というより、慧くんと楽しく温泉に入ったお陰で、恥ずかしいという抵抗感が薄れた。
同性相手に身構えすぎても、逆に挙動不審だ。堂々と身構えているくらいの方がいい。誰も自分の裸なんて気にしていないのだから。
そう思えば思うほど、色々なことが良くなり、私は堂々と服を脱ぎ、お風呂へと向かった。
口の中がずっと美味しい味で満たされたらと思うと、とても夢が広がる。
そんな想像をしてしまうほど、美味しいものを口にしてしまうと、人は理性を失ってしまうことが分かった。
「そうなんですよ。欲張っちゃいます」
仕方がないのかもしれないしれない。それは人の性だから。
「仕方ないよ。だって、美味しすぎるのがいけないから」
時に美味しい食べ物は罪になる。人の欲求には逆らえない。食は人間の三代欲求の一つだから。
「ですね。確実に帰ったら太ってると思います」
それは一理ある。そろそろ年齢的に痩せにくい体質になってきているので、少し食べ過ぎるだけでも痩せるのが大変だ。
「そう…だね。あまり考えたくないけど」
今は現実逃避するしかない。未来の自分が少しでも太っていないことを願った。
「とりあえず、一旦このことは忘れて、思いっきり食べましょう」
慧くんの言う通りだ。今は現実的なことはどうでもいい。この場を思いっきり楽しまないと損だ。
「だね。とりあえず、食べられるだけ食べよっか」
後先のことは考えず、二人して夢中になって、目の前にある美味しい食べ物を食べた。
気がついたら、あっという間に目の前の食べ物がなくなっていた。
*
旅館の従業員さんが、食べ終わったお料理のお皿を下げてくれた。
私達は楽しみにしていた地酒を飲みながら、ゆっくりした時間を過ごしていた。
ちなみに地酒は美味しい。これはお土産に買って帰りたいくらいだ。
「もうダメかも。少し酔ってきちゃった…」
私はあまりお酒が強くない。寧ろいつもより飲めているぐらいだ。
でも、そろそろ限界は近いみたいだ。もうこれ以上飲んだら、酔い潰れてしまいそうだ。
「そろそろお酒は引き上げましょうか」
慧くんはそう言ってから、グラスに残っているお酒を一気に飲み干した。
そして、グラスをテーブルの上に優しく置き、私の腕を掴んだ。そのまま寝室へと連れて行かれた。
「京香さん…」
熱を帯びた瞳で、私を見つめてくる。その視線から私は目を逸らせない。どんどん熱に浮かされていく。
「いいですか?しても…」
そんなの聞かれなくても、答えは一つしかない。
「いいよ。しよっか」
私がそう言うと、慧くんは私の頬に優しく触れてきた。
優しい手がどんどん下に降りていき、流れるように浴衣を脱がされる。
そのまま唇が重なり、どんどん激しいキスを交わしていく。
「今日は手加減しませんので」
慧くんはわざわざする前に宣言してきた。私は最初からそのつもりでいたので、首を縦に頷いた。
私の首の頷きと同時に、慧くんは行為の続きを再開した。
私は慧くんの手にどんどん溺れていった。気がついたら、深い沼へと落ちていた。
*
目覚めたら、次の日の朝を迎えていた。
昨日の夜の慧くんは、激しさはあれど、とても優しく抱いてくれた。
私は慧くんの優しさに愛を感じた。その愛が心地良くて。もっと慧くんに愛されたいと願ってしまった。
「おはよう…」
微睡んでいたら、隣から愛おしい人の声が聞こえてきた。
私はすぐに彼の方に顔を向けた。
「おはよう…慧くん」
起きたての顔を見られるのは恥ずかしいが、恥ずかしさよりも好きな人の顔を見たいという気持ちの方が勝った。
「まだゆっくりしてます?それとも起きて、朝風呂でも入ります?」
どちらも素敵な案なので捨て難いが、ここはせっかくなのでこちらの案を選んだ。
「うーん、そうだな。せっかくだし、朝風呂に入ろっか」
ついでに顔も洗える。できれば少しでも好きな人には綺麗な自分を見せたいと思うのが乙女心だ。たとえ慧くんが気にしないとしても、私が気にする。
そんな乙女心もあるが、せっかくの温泉旅行に来たので、温泉にも入りたい。寧ろ温泉に入るのがメインだ。イチャイチャは二の次である。
それでも抗えない欲望には逆らえないわけだが。朝は自分に打ち勝ち、温泉に入ろうと思う。
「それじゃ、朝は大風呂に入ってみましょうか」
個室の内風呂ではなく、大風呂に入りたいみたいだ。
私も大風呂に入ってみたいと思っていたので、ここはせっかくなので、大風呂に入ることにした。
「いいね。大きいお風呂に入るの楽しみ」
個室の内風呂も家のお風呂と違い、充分な広さがあり、ゆっくりできて快適だった。
でも、大風呂はもっと大きい。大きいお風呂に入るというだけで、ワクワクしてしまう。
「俺も楽しみです。大きいお風呂ってだけで、ワクワクしますよね」
どうして大きいお風呂ってだけで、ワクワクするのだろうか。
理由はない。温泉ってだけでテンションが上がることは間違いなかった。
「だね。それじゃ、準備しよっか」
お互い旅館の大きなお風呂を楽しみに、温泉に行く準備を始めた。
想像だけで今からお風呂に入るのが楽しみだ。ルンルン気分のまま、お風呂へと向かった。
*
「それじゃ、後で合流しましょう」
さすがに温泉では男女別々なため、ここで一旦、お別れだ。
それぞれで良いお湯を楽しみ、後でお風呂の感想について語ろうと思う。
「だね。また後で」
それぞれ暖簾を潜り、中へと入って行く。
朝ということもあり、数人しかいない。さすがにまだ寝ている人の方が多いみたいだ。
この人数なら、久しぶりの温泉とはいえども、恥ずかしさはあまりない。
というより、慧くんと楽しく温泉に入ったお陰で、恥ずかしいという抵抗感が薄れた。
同性相手に身構えすぎても、逆に挙動不審だ。堂々と身構えているくらいの方がいい。誰も自分の裸なんて気にしていないのだから。
そう思えば思うほど、色々なことが良くなり、私は堂々と服を脱ぎ、お風呂へと向かった。
0
お気に入りに追加
16
あなたにおすすめの小説
最後の恋って、なに?~Happy wedding?~
氷萌
恋愛
彼との未来を本気で考えていた―――
ブライダルプランナーとして日々仕事に追われていた“棗 瑠歌”は、2年という年月を共に過ごしてきた相手“鷹松 凪”から、ある日突然フラれてしまう。
それは同棲の話が出ていた矢先だった。
凪が傍にいて当たり前の生活になっていた結果、結婚の機を完全に逃してしまい更に彼は、同じ職場の年下と付き合った事を知りショックと動揺が大きくなった。
ヤケ酒に1人酔い潰れていたところ、偶然居合わせた上司で支配人“桐葉李月”に介抱されるのだが。
実は彼、厄介な事に大の女嫌いで――
元彼を忘れたいアラサー女と、女嫌いを克服したい35歳の拗らせ男が織りなす、恋か戦いの物語―――――――
淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。
狂愛的ロマンス〜孤高の若頭の狂気めいた執着愛〜
羽村美海
恋愛
古式ゆかしき華道の家元のお嬢様である美桜は、ある事情から、家をもりたてる駒となれるよう厳しく育てられてきた。
とうとうその日を迎え、見合いのため格式高い高級料亭の一室に赴いていた美桜は貞操の危機に見舞われる。
そこに現れた男により救われた美桜だったが、それがきっかけで思いがけない展開にーー
住む世界が違い、交わることのなかったはずの尊の不器用な優しさに触れ惹かれていく美桜の行き着く先は……?
✦・━・✦・━・✦・━・✦・━・✦・━・✦・━・✦
✧天澤美桜•20歳✧
古式ゆかしき華道の家元の世間知らずな鳥籠のお嬢様
✧九條 尊•30歳✧
誰もが知るIT企業の経営者だが、実は裏社会の皇帝として畏れられている日本最大の極道組織泣く子も黙る極心会の若頭
✦・━・✦・━・✦・━・✦・━・✦・━・✦・━・✦
*西雲ササメ様より素敵な表紙をご提供頂きました✨
※TL小説です。設定上強引な展開もあるので閲覧にはご注意ください。
※設定や登場する人物、団体、グループの名称等全てフィクションです。
※随時概要含め本文の改稿や修正等をしています。
✧
✧連載期間22.4.29〜22.7.7 ✧
✧22.3.14 エブリスタ様にて先行公開✧
【第15回らぶドロップス恋愛小説コンテスト一次選考通過作品です。コンテストの結果が出たので再公開しました。※エブリスタ様限定でヤス視点のSS公開中】
隠れ御曹司の手加減なしの独占溺愛
冬野まゆ
恋愛
老舗ホテルのブライダル部門で、チーフとして働く二十七歳の香奈恵。ある日、仕事でピンチに陥った彼女は、一日だけ恋人のフリをするという条件で、有能な年上の部下・雅之に助けてもらう。ところが約束の日、香奈恵の前に現れたのは普段の冴えない彼とは似ても似つかない、甘く色気のある極上イケメン! 突如本性を露わにした彼は、なんと自分の両親の前で香奈恵にプロポーズした挙句、あれよあれよと結婚前提の恋人になってしまい――!? 「誰よりも大事にするから、俺と結婚してくれ」恋に不慣れな不器用OLと身分を隠したハイスペック御曹司の、問答無用な下克上ラブ!
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
なし崩しの夜
春密まつり
恋愛
朝起きると栞は見知らぬベッドの上にいた。
さらに、隣には嫌いな男、悠介が眠っていた。
彼は昨晩、栞と抱き合ったと告げる。
信じられない、嘘だと責める栞に彼は不敵に微笑み、オフィスにも関わらず身体を求めてくる。
つい流されそうになるが、栞は覚悟を決めて彼を試すことにした。
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる