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5度:不穏
18話
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「私はカフェモカと、食べ物はドーナッツとサンドウィッチにする」
なんとなく見ていたら、案外すんなり決まった。
あとは慧くん待ちだ。
「俺は…ブラックコーヒーと、同じくサンドウィッチと、あとはケーキにします」
二人共決まったので、食べたい物と飲みたい物を選び、注文した。
あとは届くのを待つのみ。待ち遠しくて。ワクワクしている。
「さて。待っている間に、軽くゲームしませんか?」
慧くんが、ゲーム機のコントローラーを取り出した。最新のゲーム機のコントローラーを。
「京香さん、普段ゲームとかします?」
ゲームはあまりやらない。スマホのゲームもしない。
「全くやらないんだよね。だから、やり方を教えてもらってもいい?」
「そうなんですね。分かりました。任せてください」
慧くんに教わりながら、ゲームをしてみた。
とても面白くて。待ち時間があっという間に過ぎていった。
そんなタイミングで、玄関のチャイム音が鳴った。
「ピンポンが鳴ったので、今、確認してきますね」
慧くんはソファから立ち上がり、その場を一旦去った。
デリバリーを取りに行ってくれた。それをテーブルの上に並べて、一緒に食べる。
「それじゃ、手を合わせて…。いただきます」
「いただきます」
まずは飲み物から口をつけた。カフェのコーヒーということもあり、いつも飲むコーヒーの何倍も美味しく感じた。
「…美味しい」
「はい。俺も同じことを思いました」
二人して美味しいコーヒーを堪能した後は、食べ物を食べることにした。
私はドーナッツとサンドウィッチを注文。とりあえず、サンドウィッチから食べてみることにした。
ちなみに私は、卵サンドにした。卵が好きだからである。
一口頬張った瞬間、卵の甘みとパンの甘みがいい感じに混ざり合い、口の中で美味しくハーモニーを奏でている。
「美味しい!…ねぇ、慧くん。美味しいから一口食べてみて」
慧くんにもこの味の美味しさを分かってほしいと思い、自ら差し出した。
「いいんですか?ではお言葉に甘えて。いただきます…」
慧くんが私のサンドウィッチを一口食べた。
自分から勧めたくせに、慧くんがかぶりついて食べた瞬間、ドキッとした。
「めちゃくちゃ美味しいですね!卵がふわふわで、パンも美味しい…」
私の気持ちを分かってくれた上に、代弁してくれて嬉しい気持ちの反面、大胆な行動に出た自分が恥ずかしくなってしまった。
「…京香さん、どうかしましたか?」
私が黙っていたせいで、慧くんが心配している。
私は慌てて否定した。
「えっと…その、何も考えてなかったのね。改めて考えてみたら、間接キスだなと思って」
自分でも何を言っているのだろうかと思う。
こんなことを言われたら、変な空気になってしまうのに。
「確かにそうですね。でも、俺はあまり気にしないですよ。寧ろどんな形でも、京香さんとキスできて嬉しいです」
慧くんの方が更なる上をいく、爆弾発言をかました。
慧くんの言う通り、キスできて嬉しいけど、でもなんだか恥ずかしい。ただ食べ物を食べているだけなのに…。
「う、うん…。私もキスできて嬉しいよ?」
キスには色んな種類がある。慧くんと付き合い始めて、私は初めて知った。
全くそういった知識がなかったわけじゃない。ただ経験がないので、知らなかっただけだ。
知ったことにより、好きな人とするキスが、とても愛おしいと感じるようになった。
「それならよかったです。今度は俺のサンドウィッチも食べてみませんか?」
慧くんのサンドウィッチを差し出された。
どうしたらいいのか分からず、そのままパクッとサンドウィッチに口付けた。
慧くんの方のサンドウィッチは、ベーコンとチーズとレタスのサンドウィッチで。
中に入っているチーズが、良い感じに溶けていて美味しい。
「こっちも美味しいね。チーズとベーコンが良い感じに美味しい」
「そうなんですよ。この組み合わせが絶妙で。本当に美味しい」
お互いに味の感想を言い合い、楽しい食事をした。
その日は楽しい時間を過ごし、何事もなく終わった。
*
次の日の朝、目を覚ますと、隣に慧くんが眠っていた。
綺麗な顔だ。見ているだけでドキドキしてしまう…。
そして、そのまま洗面所に向かい、顔を洗うことにした。
その時、鏡を見て驚いた。首にたくさんのキスマークが付けられていた…。
「何これ…」
少し前からキスマークは付けられていたが、こんなにも分かりやすく、しかも隠しづらいところにたくさん付けられたのは初めてで。
これはもうどう考えても、如月くんに向けたメッセージでしかなかった。
私はこのキスマークを見て、複雑な気持ちになった。
本来なら嬉しいのかもしれないけど、私の心はモヤモヤしていた。
昨日みたいな守られ方は嬉しい。大切にされていると実感できるから。
でも、このキスマークは違う。これは私の気持ちを優先せず、慧くんの気持ちしか見えていない表れだ。
どうしてだろう。如月くんに同情してしまった。そして、同時に慧くんに対して怖いと感じた。
私はそのまま慧くんの家を出た。荷物を持って…。
その日はお休みだったため、そのまま自分ん家へと帰り、家から一歩も出なかった。慧くんからの連絡も無視した。
私はこの状況をどうしたらいいのか分からず、戸惑っていた。
ただ残された赤い跡を見ながら、誰の気持ちも受け止めきれずにいた。
なんとなく見ていたら、案外すんなり決まった。
あとは慧くん待ちだ。
「俺は…ブラックコーヒーと、同じくサンドウィッチと、あとはケーキにします」
二人共決まったので、食べたい物と飲みたい物を選び、注文した。
あとは届くのを待つのみ。待ち遠しくて。ワクワクしている。
「さて。待っている間に、軽くゲームしませんか?」
慧くんが、ゲーム機のコントローラーを取り出した。最新のゲーム機のコントローラーを。
「京香さん、普段ゲームとかします?」
ゲームはあまりやらない。スマホのゲームもしない。
「全くやらないんだよね。だから、やり方を教えてもらってもいい?」
「そうなんですね。分かりました。任せてください」
慧くんに教わりながら、ゲームをしてみた。
とても面白くて。待ち時間があっという間に過ぎていった。
そんなタイミングで、玄関のチャイム音が鳴った。
「ピンポンが鳴ったので、今、確認してきますね」
慧くんはソファから立ち上がり、その場を一旦去った。
デリバリーを取りに行ってくれた。それをテーブルの上に並べて、一緒に食べる。
「それじゃ、手を合わせて…。いただきます」
「いただきます」
まずは飲み物から口をつけた。カフェのコーヒーということもあり、いつも飲むコーヒーの何倍も美味しく感じた。
「…美味しい」
「はい。俺も同じことを思いました」
二人して美味しいコーヒーを堪能した後は、食べ物を食べることにした。
私はドーナッツとサンドウィッチを注文。とりあえず、サンドウィッチから食べてみることにした。
ちなみに私は、卵サンドにした。卵が好きだからである。
一口頬張った瞬間、卵の甘みとパンの甘みがいい感じに混ざり合い、口の中で美味しくハーモニーを奏でている。
「美味しい!…ねぇ、慧くん。美味しいから一口食べてみて」
慧くんにもこの味の美味しさを分かってほしいと思い、自ら差し出した。
「いいんですか?ではお言葉に甘えて。いただきます…」
慧くんが私のサンドウィッチを一口食べた。
自分から勧めたくせに、慧くんがかぶりついて食べた瞬間、ドキッとした。
「めちゃくちゃ美味しいですね!卵がふわふわで、パンも美味しい…」
私の気持ちを分かってくれた上に、代弁してくれて嬉しい気持ちの反面、大胆な行動に出た自分が恥ずかしくなってしまった。
「…京香さん、どうかしましたか?」
私が黙っていたせいで、慧くんが心配している。
私は慌てて否定した。
「えっと…その、何も考えてなかったのね。改めて考えてみたら、間接キスだなと思って」
自分でも何を言っているのだろうかと思う。
こんなことを言われたら、変な空気になってしまうのに。
「確かにそうですね。でも、俺はあまり気にしないですよ。寧ろどんな形でも、京香さんとキスできて嬉しいです」
慧くんの方が更なる上をいく、爆弾発言をかました。
慧くんの言う通り、キスできて嬉しいけど、でもなんだか恥ずかしい。ただ食べ物を食べているだけなのに…。
「う、うん…。私もキスできて嬉しいよ?」
キスには色んな種類がある。慧くんと付き合い始めて、私は初めて知った。
全くそういった知識がなかったわけじゃない。ただ経験がないので、知らなかっただけだ。
知ったことにより、好きな人とするキスが、とても愛おしいと感じるようになった。
「それならよかったです。今度は俺のサンドウィッチも食べてみませんか?」
慧くんのサンドウィッチを差し出された。
どうしたらいいのか分からず、そのままパクッとサンドウィッチに口付けた。
慧くんの方のサンドウィッチは、ベーコンとチーズとレタスのサンドウィッチで。
中に入っているチーズが、良い感じに溶けていて美味しい。
「こっちも美味しいね。チーズとベーコンが良い感じに美味しい」
「そうなんですよ。この組み合わせが絶妙で。本当に美味しい」
お互いに味の感想を言い合い、楽しい食事をした。
その日は楽しい時間を過ごし、何事もなく終わった。
*
次の日の朝、目を覚ますと、隣に慧くんが眠っていた。
綺麗な顔だ。見ているだけでドキドキしてしまう…。
そして、そのまま洗面所に向かい、顔を洗うことにした。
その時、鏡を見て驚いた。首にたくさんのキスマークが付けられていた…。
「何これ…」
少し前からキスマークは付けられていたが、こんなにも分かりやすく、しかも隠しづらいところにたくさん付けられたのは初めてで。
これはもうどう考えても、如月くんに向けたメッセージでしかなかった。
私はこのキスマークを見て、複雑な気持ちになった。
本来なら嬉しいのかもしれないけど、私の心はモヤモヤしていた。
昨日みたいな守られ方は嬉しい。大切にされていると実感できるから。
でも、このキスマークは違う。これは私の気持ちを優先せず、慧くんの気持ちしか見えていない表れだ。
どうしてだろう。如月くんに同情してしまった。そして、同時に慧くんに対して怖いと感じた。
私はそのまま慧くんの家を出た。荷物を持って…。
その日はお休みだったため、そのまま自分ん家へと帰り、家から一歩も出なかった。慧くんからの連絡も無視した。
私はこの状況をどうしたらいいのか分からず、戸惑っていた。
ただ残された赤い跡を見ながら、誰の気持ちも受け止めきれずにいた。
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