恋の微熱に溺れて…

和泉 花奈

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3度:初めての夜…

8話

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「初めてだったのに、身体は大丈夫ですか?」

自分から先にお願いしたくせに、慧くんは確認を取ってきた。
どこまでも私を優先する気持ちに変わりはないんだなと思った。

「うーん、どうだろう?今のところ大丈夫だよ」

「そうですか。それならよかったです」

私の言葉を聞いて、慧くんは安心したみたいだ。
私自身も驚いていた。身体が平気なことに。
きっと慧くんが、なるべく身体に負担がかからないようにしてくれたんだと思う。
そういうところも含めて、細部にまで配慮するところに感心した。

「慧くん。大丈夫だから、もう一回しても大丈夫だよ?」

私の方が期待していたのかもしれない。もう一回、慧くんの熱を感じられるのを…。

「いいんですね?遠慮なく、おかわりさせて頂きます…」

慧くんが手を伸ばし、私の髪を掬うように触れてきた。
そのまま慧くんの手はどんどん下へ降りていき、慧くんの手によって、私の身体は再び熱を帯び始めた。
すぐに私の変化に気づいた慧くんは、更に追い打ちをかけてきた。またその熱に溺れた。

「京香さん。まだ頑張ってもらいますからね」

そう言った慧くんは、私を抱いた。これで二回目。
二回目は一回目よりも、更によく分からないまま、与えられる熱に答えるのに必死で。
私はそのまま深い眠りに落ちた…。


           *


陽射しが眩しい…。
陽の明るさに目を覚ますと、身体が気怠い。
いつもと違う気怠さに、私がもう処女ではなくなったことを実感した。

「京香さん、おはようございます」

隣で眠る慧くんに、朝の挨拶をされた。
慧くんは朝から爽やかで。その笑顔が眩しくもあり、同時に幸せな気持ちが込み上げてきた。

「おはよう…」

どうやら、私は寝落ちしてしまったようだ。
最低だ。最中に寝落ちしてしまうなんて…。

「昨日の京香さん、めちゃくちゃ可愛いかったです。終わった後、疲れてそのまま寝ちゃって。それだけ気持ちよかったってことですよね」

慧くんが前向きに捉えてくれているからいいものの、それが可愛いかどうかは、私には分からない。

「うん。そうだよ。慧くんは…?」

私じゃ至らない点も多いと思う。
それでも、慧くんの反応が気になった。

「今までにないくらい、いや、今までで一番気持ちよかったです。我を忘れるくらいに…」

熱のこもった声に、私の心と身体は熱が込み上げてきた。
朝からこんな状態になってしまうなんて、恥ずかしい…。

「京香さん、欲情してますか?」

慧くんにそう問われ、私の顔は一気に真っ赤になった。
そんな私の反応を慧くんが見逃すはずがなくて。
慧くんの手が、私の身体に触れ、どんどん私を熱の海に溺れさせていく。

「俺も朝ですけど、京香さんが欲しいです」

二人の利害は一致している。
もうこうなったら、お互いに求め合ってしまうのであった。

「うん。私も…」

一度知ってしまったら、もう戻れなかった。
あなたが欲しいという欲求が無限にあって。止まらなかった。
夜、二回したのに、朝から求めてしまい、再び一つに繋がった。
それでも止まらなくて。私達は疲れ果てるまで求め合った…。


           *


二度目のおはようで完全に目を覚まし、遅い朝食を二人で摂った。
今日は早く帰らなくてはならない。明日は仕事があるから。
頭では分かっていても、なかなか帰る気が起きなかった。もっと一緒に居たいと思った。

「京香さん、泊まってきます?」

慧くんはそう言ってくれたが、仕事用の鞄と制服がないため、どちらにせよ一旦帰らなくてはならない。

「そうしたいところなんだけど、色々持ち物を取りに帰らなくちゃいけないから…」

私の言葉を聞いて、慧くんは納得した表情を浮かべていた。

「そうですよね。それじゃ、途中まで送っていきますね」

名残惜しくも、解散することになった。
慧くん家を後にし、最寄りの駅まで一緒に歩いた。

「京香さん、また明日、職場で…」

まだ離れたくないと縋りたかったが、ここまで来たので、明日のことを考えて、ちゃんと帰ることにした。

「うん。また明日ね…」

そのままホームへと向かった。
ホームへ向かうと、私が来る車両が駅に到着するタイミングだった。
ナイスタイミングでやって来たので、それに乗り、私は家路へと向かった。
そんなタイミングで、スマホが鳴った。スマホをチェックすると、慧くんからメッセージが届いていた。

《デート楽しかったです。また家にも遊びに来てください。来週末もまたデートしたいです》

慧くんから送られてきたメッセージを読んで、私もまた早くデートがしたいと思った。

《私も楽しかった。来週もデートしよっか》

もしかしたら、来週も慧くんと肌を重ねるのかな?なんていう想像をしながら、期待に胸を膨らませているのであった。
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