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4度:頂上で…
6話
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「お待たせしました、どうぞ」
まさか、代わりに一人で買ってきてくれるなんて、思ってもみなかった。
私が恋愛経験に乏しいから、こういったことを予測できないのかもしれない。
年下に奢らせてしまったことを、申し訳なく思った。
「ごめんね。慧くんに買いに行かせちゃって…」
「気にしないでください。俺がやりたくてやったことなんで」
そう言われてしまうと、慧くんの優しさが嬉しいと思ってしまう。
なので、ここは慧くんのお言葉に甘えることにした。
「ありがとう。それじゃ遠慮なく、いただきます…」
目の前に置かれた食べ物や飲み物を手に取り、口付けた。
美味しい。慧くんと一緒に食べているから、いつもの何倍も美味しく感じるのかもしれない。
「美味しい…」
「はい。美味しいですね」
慧くんもとても美味しそうな表情を浮かべていた。
好きな人と一緒に居ると、どんなことでも幸せを感じられるなと思った。
「京香さん。食べ終わったら、またアトラクションに乗りませんか?」
このままずっとここでゆっくりしていても構わないが、慧くんがそうしたいのであれば、私は別にそれで構わなかった。
「いいよ。そうしよっか」
私がそう言ったら、慧くんは安心したみたいで。そこまでして乗りたいアトラクションがあるんだなと思った。
「それでは、食べ終わったら、アトラクションに向かいましょう」
慧くんの満面の笑みに、私の心は射抜かれたのであった…。
*
昼食を食べ終え、真っ先にアトラクションへと向かった。
向かった先は、コーヒーカップだった。
「京香さん、コーヒーカップは大丈夫ですか?」
乗る前に確認を取ってくれる、慧くんの優しさが素敵だなと感心した。
「うん。大丈夫だよ。でも、あんまり激しく回さないでもらえると助かる」
激しく回されると、目が回ってしまうので、そこさえ気をつけてもらえれば、基本大丈夫だ。
「安心してください。僕もあまり回しすぎると、目が回ってしまうので、程々に回しますよ」
その言葉が聞けて、私は安心した。
でも、苦手なのに、どうしてコーヒーカップに乗りたいのだろうか。慧くんの意図が分からなかった。
「そうなの?本当に?」
もしかしたら、私に気を使ってそう言ってくれているのかもしれない。
でも、本当に苦手な可能性だってある。その場合は二人して無理して乗る必要はない。その分、違うアトラクションに乗ればいいだけの話だ。
「本当ですよ。でも、コーヒーカップに乗るのが好きなんです」
どうやら、コーヒーカップが好きなようだ。
それなら、乗る理由がある。
「そっか。それなら、コーヒーカップに乗るの、楽しみだね」
慧くんの好きなものを知れて、慧くんとの距離が縮んだような気がした。
「はい。とても楽しみです!」
私達はコーヒーカップに乗り、楽しんだ。
その勢いのまま、色んなアトラクションに乗った。
気がついたら、日が暮れ始めていた。
「京香さん、次で最後のアトラクションです」
そう言われて、連れて来られたのは、観覧車だった…。
「高い所は大丈夫ですか?」
苦手ではないので、「大丈夫だよ」と答えた。
「それならよかったです。早速、乗りましょう」
順番に回ってきたゴンドラに乗った。
お互いに向き合う形で座った。
「京香さんと一緒に観覧車に乗れて嬉しいです」
どうして、慧くんはこんなにも私を喜ばせる言葉が言えるのだろうか。
紅い夕陽のように、私の頬は赤く染まっていた。
「私も嬉しいよ」
私がそう言った瞬間、慧くんの表情は真剣な表情に変わった。
「そっちに行ってもいいですか?」
どうやら、私の隣に来たいみたいだ。
拒否する理由がないので、「いいよ」と答えた。
私の答えを聞いて、慧くんが私の隣に座った。
私の鼓動は一気に高鳴った。
「京香さん。もうすぐ頂上ですね」
慧くんの言葉を聞き、私は上を見上げた。
まだ乗ったばかりだと思っていたのに、あっという間に上の方まで来ていたみたいだ。
「本当だ。結構、上の方だね」
次の瞬間、私は腕を掴まれ、向きを慧くんの方に変えられた。
そして、そのまま慧くんは私の唇にキスをした。
時が止まったかのように感じた。まるで少女漫画みたいなシチュエーションだなと思った。
「頂上でキスをすると、そのカップルは永遠に結ばれる…という逸話があるんです」
それこそ、少女漫画によくある展開だ。
その展開に、私はひたすらドキドキしていた…。
「そういうのあるよね。すごくドキドキした」
現実でこういうことをする人がいるんだなと思った。
「京香さん、この後、まだ時間はありますか?」
慧くんとのデートがある日に、他の予定なんか入れない。
「あるよ」
「よかったらこの後、家に来ませんか?」
まさか遊園地デートの後に、慧くん家にお邪魔する流れになるなんて、想像すらしていなかった。
「うん。いいよ…」
急遽、慧くん家にお邪魔することになった…。
まさか、代わりに一人で買ってきてくれるなんて、思ってもみなかった。
私が恋愛経験に乏しいから、こういったことを予測できないのかもしれない。
年下に奢らせてしまったことを、申し訳なく思った。
「ごめんね。慧くんに買いに行かせちゃって…」
「気にしないでください。俺がやりたくてやったことなんで」
そう言われてしまうと、慧くんの優しさが嬉しいと思ってしまう。
なので、ここは慧くんのお言葉に甘えることにした。
「ありがとう。それじゃ遠慮なく、いただきます…」
目の前に置かれた食べ物や飲み物を手に取り、口付けた。
美味しい。慧くんと一緒に食べているから、いつもの何倍も美味しく感じるのかもしれない。
「美味しい…」
「はい。美味しいですね」
慧くんもとても美味しそうな表情を浮かべていた。
好きな人と一緒に居ると、どんなことでも幸せを感じられるなと思った。
「京香さん。食べ終わったら、またアトラクションに乗りませんか?」
このままずっとここでゆっくりしていても構わないが、慧くんがそうしたいのであれば、私は別にそれで構わなかった。
「いいよ。そうしよっか」
私がそう言ったら、慧くんは安心したみたいで。そこまでして乗りたいアトラクションがあるんだなと思った。
「それでは、食べ終わったら、アトラクションに向かいましょう」
慧くんの満面の笑みに、私の心は射抜かれたのであった…。
*
昼食を食べ終え、真っ先にアトラクションへと向かった。
向かった先は、コーヒーカップだった。
「京香さん、コーヒーカップは大丈夫ですか?」
乗る前に確認を取ってくれる、慧くんの優しさが素敵だなと感心した。
「うん。大丈夫だよ。でも、あんまり激しく回さないでもらえると助かる」
激しく回されると、目が回ってしまうので、そこさえ気をつけてもらえれば、基本大丈夫だ。
「安心してください。僕もあまり回しすぎると、目が回ってしまうので、程々に回しますよ」
その言葉が聞けて、私は安心した。
でも、苦手なのに、どうしてコーヒーカップに乗りたいのだろうか。慧くんの意図が分からなかった。
「そうなの?本当に?」
もしかしたら、私に気を使ってそう言ってくれているのかもしれない。
でも、本当に苦手な可能性だってある。その場合は二人して無理して乗る必要はない。その分、違うアトラクションに乗ればいいだけの話だ。
「本当ですよ。でも、コーヒーカップに乗るのが好きなんです」
どうやら、コーヒーカップが好きなようだ。
それなら、乗る理由がある。
「そっか。それなら、コーヒーカップに乗るの、楽しみだね」
慧くんの好きなものを知れて、慧くんとの距離が縮んだような気がした。
「はい。とても楽しみです!」
私達はコーヒーカップに乗り、楽しんだ。
その勢いのまま、色んなアトラクションに乗った。
気がついたら、日が暮れ始めていた。
「京香さん、次で最後のアトラクションです」
そう言われて、連れて来られたのは、観覧車だった…。
「高い所は大丈夫ですか?」
苦手ではないので、「大丈夫だよ」と答えた。
「それならよかったです。早速、乗りましょう」
順番に回ってきたゴンドラに乗った。
お互いに向き合う形で座った。
「京香さんと一緒に観覧車に乗れて嬉しいです」
どうして、慧くんはこんなにも私を喜ばせる言葉が言えるのだろうか。
紅い夕陽のように、私の頬は赤く染まっていた。
「私も嬉しいよ」
私がそう言った瞬間、慧くんの表情は真剣な表情に変わった。
「そっちに行ってもいいですか?」
どうやら、私の隣に来たいみたいだ。
拒否する理由がないので、「いいよ」と答えた。
私の答えを聞いて、慧くんが私の隣に座った。
私の鼓動は一気に高鳴った。
「京香さん。もうすぐ頂上ですね」
慧くんの言葉を聞き、私は上を見上げた。
まだ乗ったばかりだと思っていたのに、あっという間に上の方まで来ていたみたいだ。
「本当だ。結構、上の方だね」
次の瞬間、私は腕を掴まれ、向きを慧くんの方に変えられた。
そして、そのまま慧くんは私の唇にキスをした。
時が止まったかのように感じた。まるで少女漫画みたいなシチュエーションだなと思った。
「頂上でキスをすると、そのカップルは永遠に結ばれる…という逸話があるんです」
それこそ、少女漫画によくある展開だ。
その展開に、私はひたすらドキドキしていた…。
「そういうのあるよね。すごくドキドキした」
現実でこういうことをする人がいるんだなと思った。
「京香さん、この後、まだ時間はありますか?」
慧くんとのデートがある日に、他の予定なんか入れない。
「あるよ」
「よかったらこの後、家に来ませんか?」
まさか遊園地デートの後に、慧くん家にお邪魔する流れになるなんて、想像すらしていなかった。
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