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吸血鬼への鉄槌
三日目
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澄み渡った青空の下、垂れた幾つもの太い縄が出番を待って揺れていた。
「いや! いや! お願いだから話を聞いて!! わたしは魔女じゃないったら!!」
後ろ手に縛られ縄の輪を首にかけられた女が観衆に向かって無様に泣き喚いた。
どす黒く腫れた顔にざんばらな髪を振り乱す様は、とてもまともじゃない。
平和な町に相応しくない、異端そのもの──消してしまわねばならぬ。
例えそれが、拷問の果ての有様だとしても。
それは仕方が無い、己の罪を吐き出させるためなのだから。
罪深き魔女の所行とその仲間達の名を。
騒ぐ女の両脇に立つのは、既に諦めきって目を瞑り微動だにしない老婆と、震えるだけの青ざめた中年男。
告発された『魔女』達だ。
老婆はそこそこの小金を貯めているが身寄りが無く、罪人の財は没収される。
男はこの町の牧師で、この魔女狩りこそが異端だと異例の告発を謀ったのだ。
役人の元へ駆け込まれる前に捕縛できたのはまったく僥倖だった。
密告を奨励するために小銭をばらまいていた甲斐があった。
町の広場に集う観衆は、今か今かとショーの開始を待ちわびている。
「呪ってやる」
嗄れた声が、この催しを仕切るトニーの耳へと届き、彼は驚いて声の主を見た。
俯いた老婆が皺に埋もれた唇を微かに動かしているだけなのに、呪詛の言葉ははっきりと聞こえる。
「いつかお前にも鉄槌が振るわれる。神が必ずやお前をお裁き給う」
トニーのうなじが悪寒で痺れた。
やはりこいつは魔女だ!
穢れた言葉で呪いを掛けやがった!!
「吊せ!」
彼の一言で、一斉に『魔女』達の縄が引かれ、吊され、干し肉の様に揺れる姿に歓声が上がる。
何て容易い仕事だったんだ。
『吸血鬼』の様に杭を打ち込むことも、血でこの手を汚すことも無い。
うなされるどころか夢に見ることすら無かった。
あの老婆の呪詛だってすぐに忘れた。
世間の魔女狩りへの懐疑と風当たりが強くなり、『吸血鬼狩り』へ鞍替えするまでは。
ラルクと賭けた最後の日。
誇り高き吸血鬼ハンターであるトニー・オーギュスタン・シェファー氏の姿は、村はずれの墓地にあった。
新しい墓が並ぶ手前は手入れされ整えられているが、奥へ行けば行くほど鬱蒼とした木々や生え放題の雑草に覆われて昼でも薄暗い。
人気の無い荒れ果てた墓場──吸血鬼の眠る舞台として相応しい。
その中の、どれでもいい、誰もが見放したと思しき墓を吸血鬼の塒としよう。
ああ、こいつがいい。
奥まって目立たぬ墓にしては、土が柔らかくて掘りやすそうじゃあないか。
「くそったれ!」
適当な家の納屋から無断拝借してきた犂を振るいながら、トニーは幾度も悪態をついた。
何で狩人の俺様が、またもやこんな農具で土を掘り返さねばならんのだ!
元々は農家の末子で、両親兄弟からこき使われても報われぬ貧乏暮らしから逃げ出し、ようやく……ようやくの地位を得たと言うのに!!
地位──
『魔女狩り』として、民衆より畏敬の念を受けた。
邪な女どもを吊し、その財産と村からの報酬を戴いた。
承認欲求も金も存分に潤って笑いが止まらぬ日々。
けれども、そんなやり方にもいつしか陰りは来る。
どこかの国で『魔女狩り将軍』と謳っていた男が、実は何の身分も与えられていなかった事が暴かれたせいで、魔女狩りの熱に浮かされていた民衆も正気に戻ってしまった。
それならばと目を付けたのが、魔女と同じく、いいやそれ以上に恐れられていた吸血鬼の存在。
人の血を吸い、堕落の道へと拐かす、不老不死の化け物──
確かに吸血鬼ハンターと言う身分は職業として確立されているそうだが、あいつらだって眉唾だ。
『吸血鬼』など、所詮『魔女』と同じ。
トニーの様に、狩る者がそうだと言えばそいつはそうなるのだから。
思った以上に容易く、土中の棺を掘り返すことが出来た。
さあ、あと一仕事だ。
棺の蓋を開けて──
何だこりゃ、蓋がずれてやがる。
土も浅くしかかけられていなかったし、葬られた者は余程身内に情を持たれていなかったのか随分と雑な扱いだ。
まあいい、そんな奴の方がやり易いってもんだ。
この棺の中の死体が腐りかけでも骸骨でもいい、とりあえず白木の杭をその胸に打ち込んで首を刎ね、村長とラルクに宣言すりゃいい。
「墓から這い出そうとした『吸血鬼』を仕留めた、と?」
棺の蓋にかけたトニーの手が、全身が、電流でも走ったかの様にびくんと跳ねた。
振り向けば、既に月は天頂まで昇っていて、その光を受け金に輝く男の髪が夜風に揺れる様まではっきりと見えた。
「ラルク……!」
その姿を認めた瞬間、トニーは決断した。
腰のホルスターから抜いた銃を、二十歩ほどの距離に現れたラルクへ向ける。
墓場から死体を漁る必要も無い。
今、この鉛玉で黒衣の胸をぶち抜き、白い首を刎ねて村長への土産にすれば、終わりだ。
墓場に現れたのが吸血鬼の証だと押し通す。
死の銃口を向けられても、ラルクの美貌は小揺るぎもしない。
それどころか、見つめるこちらの意識が陶然となり薄れてしまいそうになったトニーは目的以上の恐怖に駆られ、引き金に掛けた指に力を込めた
──その寸前、右足首に細く冷たい感触を感じ、トニーは悲鳴を上げて尻餅をついた。
ずれた棺の蓋の隙間から伸びる、蝋の様に白く固い指が、彼の足首を掴んでいた。
言葉にならない声で喚きながら、トニーは反対の足で白い手首を蹴りつけた。
「これはこれは、吸血鬼ハンターにあるまじき失態だな。単なる鉛弾で吸血鬼を斃し得るとでも?」
地を這い何とか危地から逃れたトニーの目の前で、彼が放り出した銃をラルクが掌で弄んでいた。
「ただの人である『魔女』ならともかく、な」
後退ろうとして、トニーは棺の蓋に躓き、またしても尻餅をついた。
そこに再び白い手が伸びてきたところを彼は這いつくばって逃れた。
「はひっ……ひぃっ……」
腰は抜け膝は笑いまくりで、とても立てやしない。
何だこれは。
棺から伸びる死者の腕? 屍が甦ろうとしている?
これが、吸血鬼──?
「お前が人の中から吸血鬼を見定める要は何だね? 日中に出歩けぬ者? 家畜が突然死んだ家の者? 原因の分からぬ長患いの者?」
ラルクがあげつらうそれは、かつてトニーが値踏みしてきた『犠牲者』の特徴。
「だからこそ、病に伏せ瀕死だった彼は、お前達がこの村に入る前に墓へ埋められることを余儀なくされてしまった様だ」
トニーが掘り返した棺から今や上半身を露わに這い出してきた中年男の屍──その両手の爪は無惨に剥がれ、赤黒い肉が見えていた。
ひっくり返された蓋の内側には無数の引っ掻き傷が見える。
早過ぎた埋葬──
土中で息を吹き返したものの、狭く暗い棺の中で碌に動けず息も出来ず、生き埋めの恐怖から生まれた化け物──
血走り濁った眼がトニーを見やった。
そこに浮かぶは、明らかな飢えの色。
丸々と肥え、血の気が良さげな獲物を見つけた眼だ。
裂けた口から剥き出される乱杭歯で決定的だ。
「少したりとも疑われてはならない。吸血鬼の兆候だと認められてしまえば、一族全て串刺しだ。魔女が弁明の余地無く吊られた様に」
そうだとも。
『魔女』と告白した者も告発された者も吊した。
『吸血鬼』はなおタチが悪い。
血に影響され支配されるあいつらは、血族全て絶やさねばならないと、吸血鬼ハンターの協会とやらも謳っていた筈だ。
「そうしてお前が生み出した吸血鬼に、誕生の祝いをくれてやってはどうかね? お前達の仲間の様に」
ああ、だからラルクは賭けを餌に俺達をこの村に引き留めたんだ。
吸血鬼が生まれ出でるまで──!
「魔女は人の善き隣人になれても、吸血鬼は生憎そう相容れぬが」
善き魔女も悪しき魔女もいる。
けれど、吸血鬼に善悪など当てはまろうはずもない。
屠殺場の家畜へ鉈を振り下ろす者、その肉を喰らう者へ誰がいちいちそんな思いを馳せようか。
『いつかお前にも鉄槌が振るわれる。神が必ずやお前をお裁き給う』
いつかの老婆の呪詛がトニーの頭の奥で反芻する。
目の前の男が、こいつが、そうだと言うのか。
こいつこそが、俺に鉄槌を下すものだと──
「お……お前が俺を裁くと言うのか? お前みたいな、化け物がっ……!!」
「ははははははははは!」
トニーの糾弾を受け、今度こそラルクは笑い出した。
さも気の利いたジョークでも聞いた様に、鈴の鳴るような声で、白い歯を見せて。
「裁く、だと?」
白い──おお、その二本の牙。
そら、俺は間違って無かったじゃねえか。
やっぱりこの男は──
「神の使徒として魔女と吸血鬼を裁き断罪の鉄槌を振るってきたお前が、裁かれる心当たりでもあるのかね? なれば裁かれる側の気分はどうだ? 『魔女』と『吸血鬼』と、どちらの罪を選ぶ?」
『魔女』として吊されるか、『吸血鬼』として胸を貫かれるか。
どちらにしろ、神が創りたもうた『人間』としての安らかな死は望むべくも無い。
そう、裁くのがこの、吸血鬼なのだから──
思わず視線を下へと伏せると、ラルクの足元に何やら大きな塊が転がっているのに気がついた。
気づかなけりゃ良かった。
暗がりに目が慣れていたとは言え、この時に月を覆っていた雲が流れていかなけりゃ、さっきのラルクの言葉の意味も分からずにいられたものを。
『お前が生み出した吸血鬼に誕生の祝いをくれてやってはどうかね? お前達の仲間の様に』
「一昨日と昨夜、お前の手下二人にそれぞれ声は掛けた。この墓場に吸血鬼がいると言う確かな証があるとね」
確かな証──吸血鬼本人。
おお、その足元に横たわるスペンサーとジェフの首元には、穿たれた二つの牙の跡があるのだろう。
祝福の血を貰い受けたのは、ラルクか、それとも棺から甦った方なのか。
「ああ、吸血鬼を斃すと言う約束は守れなんだが、金貨はくれてやったぞ」
仰向けの二人が苦悶の表情で大きく開けた口の中──見覚えのある大ぶりなコインが月明かりを受けてキラキラと輝いていた。
そう言えば、吸血鬼になるのを防ぐと言われる方法のひとつに、コインを口中に詰めると言うのがあったことをトニーはぼんやり思い出した。
硬いコインが邪魔で牙を噛み合わせる事が出来ないからだとか。
そんな知識も付け焼き刃で得たものばかり。
当たり前だ。
人が堕落して成る魔女はともかく、そもそも吸血鬼などと言う化け物がこの世に存在する筈が──
「何で……吸血鬼のてめえが、あんな賭けをしてまで……俺たちを……」
「何で?」
目を細め、トニーの言葉を反芻したラルクの白い喉が微かに鳴った。
押し殺そうとした笑いが思わず漏れてしまったかの様に。
「滅多に見られる見世物では無かろう。元は名高い『魔女狩り』が、果たして『吸血鬼』をも狩れるのか」
皮肉も軽蔑も無い、ただただ好奇心だけを浮かべた黄金の瞳が、色を失ったトニーの姿を眺めやる。
「魔女狩りへの締め付けが厳しくなって目を付けたのが吸血鬼とは、なかなか面白い」
真正の吸血鬼が嗤う。
「お前達が吊してきた女達。断罪されるべき魔術を振るう術を持たず、まして血を啜る牙や爪も無い──」
抗う術すら持たず、泣くか絶望するしか無い女達。
それらは悪で、狩る俺は聖なる者の筈だ。
「そんな狩人殿が、本物へどう鉄槌を振り回すのものか、見物したくもなるだろう」
地を這いずり寄ってきた『吸血鬼』の骨張った指に肩を掴まれ、尻を地に着けたままの背後から冷たく生臭い息を首筋へ吹きかけられた時、
「………!!」
トニーの生存本能が化け物への恐怖に打ち勝った。
地面に放り投げていた鋤を引っ掴み様に腰をひねり、今まさにその汚い牙を食い込ませようとした吸血鬼の喉へと突き込んだ。
その衝撃で吸血鬼の指が肩から離れた隙をつき、震えを忘れたトニーの足がしっかり立ち上がって相手の胸を片足で踏みつけ押さえ込む。
こんなところで、こんな死に方をしてたまるか!
俺こそが裁く側だ!
讃えられるべきはこの、魔女狩りにして吸血鬼狩りのトニー・オーギュスタン・シェファーだ!!
「くたばれ化け物が!!」
渾身の力を込めて振り下ろしたトニーの鋤の先端が、吸血鬼の胸に突き刺された。
骨を砕き腐肉を抉る、ぐずぐずとしたおぞましい感触。
生臭い血を顔面に浴びながらも怯まないトニーの足元で、断末魔の声すら上げず吸血鬼はそのまま動かなくなった。
ああ…やった……見ろ、やってやったぞ!
俺が、己の力で吸血鬼を屠ってやったんだ……!!
悲鳴が上がった。
金切り声に目をやると、墓地を遠巻きに囲む黒々とした集団の影が見えた。
「墓場荒らしだ!!」
「人殺し!」
手に手に、農具やライフルなどありったけの武器を掻き集めてきた村人達だ。
この派手な立ち回りの音を聞きつけたのだろうか。
彼らの目は、既に地に伏した吸血鬼など眼中には無く、墓地にて対決している二人の男を凝視していた。
息を荒げながら血塗れで立ち尽くす中年男、かたや一欠片の穢れも見えぬ気品漂う美しい男。
先に動いたのは、ラルクだ。
白い手が優雅にひらめき、トニーの銃を民衆の前へと放り投げてみせた。
その意図を悟った瞬間、トニーの血の気が引いた。
「待っ……」
トニーの叫びを鈍い銃声が掻き消した。
無慈悲な銃弾が彼の喉を貫き、トニーは血反吐を撒き散らしながらスペンサーとジェフの傍らへ倒れ込んだ。
薄らと硝煙をたなびかせる銃を構えた姿勢のまま震える顔に、ラルクは見覚えがあった。
吸血鬼狩りの来訪に怯え、我が子への『早過ぎる埋葬』を率先して執り行った、老母──
そんな事を知る由も無く、トニーはひたすら喉を押さえて身悶えしていた。
熱い
息が出来ない
苦しい! 苦しい! 苦しい!
死んじまう!!
死ぬ?
この俺が?
喉を撃ち抜かれても、絶命までは猶予がある。
苦痛を逸らす為の呻きすら上げられず、痛みと窒息の苦痛に身をよじりながら、じわじわと息絶える刻をただ待つだけの。
これが……こんなのが、俺の終わりだと?
息をしようと足掻く度に、口と喉の穴から咳と血泡が吹き出した。
跳ねた血の滴が、トニーの傍らに立つ黒い靴の先へと飛んだ。
「──っ!」
赤く濁っていく視界の中でも分かる、美しい吸血鬼。
ああ、俺は間違っていた。
創り上げたものじゃなく、本当に、悪魔はいたのだ。
人が触れてはならない、正真正銘の──
そしてそれを狩ろうとした俺は、選ばれた神の使徒では無かったのだ。
倒れた拍子に『魔女狩り』時代から身につけていたロザリオの紐が切れて地面へと散らばった珠のひとつが、目の前を転がってきた。
祈りの珠と十字架にまでも見離された。
トニーの両眼から、血では無い透明な滴が溢れて髭面を伝った。
これが、俺に振り降ろした鉄槌だってのか。
あんまりだろうが、神様よ。
血塗れの手を地に落ちた十字架へと必死に伸ばそうとして、力尽きた。
最期の救いすら得られず、村人達の憎悪だけを受け、偉大なる『魔女』『吸血鬼』ハンターであるトニー・オーギュスタン・シェファー氏は絶望に満ちた生をここに終えたのだった。
こうして、村を襲わんとした惨劇は未遂のままどうにか幕を閉じた。
ハンターを装った吸血鬼が埋葬されたばかりの棺をあさっていたところを、世にも美しい守護者の活躍によって守られたのだ。
墓を暴かれた死者はいかなる術をふるわれたものか、その肉体が灰白色の灰へと崩れ落ちてしまったが。
遺された老母が愛息子だったその灰を震える手で掻き集めて村のそばに流れる川へと流す姿は、人々の涙を誘った。
口に金貨を詰められた三体の屍を村の広場で燃やす炎を見守りながら、人々は褒め称えた。
「貴男こそ、この村の救い主、真の吸血鬼ハンター様です」
村人達の賛辞を受け、村を立ち去ろうとしたラルクの唇の端がほんの少しだけ皮肉に上がった。
それすら、彼らには天使の微笑に見えただろう。
裁くだの罪だのと、なかなか窮屈で便利な言葉遊びだ。
そうして自分の振り下ろしてきた鉄槌が、いつ我が身へも叩き落されるやとは思いもしない。
本当に、人の世は飽きることがない。
「いや! いや! お願いだから話を聞いて!! わたしは魔女じゃないったら!!」
後ろ手に縛られ縄の輪を首にかけられた女が観衆に向かって無様に泣き喚いた。
どす黒く腫れた顔にざんばらな髪を振り乱す様は、とてもまともじゃない。
平和な町に相応しくない、異端そのもの──消してしまわねばならぬ。
例えそれが、拷問の果ての有様だとしても。
それは仕方が無い、己の罪を吐き出させるためなのだから。
罪深き魔女の所行とその仲間達の名を。
騒ぐ女の両脇に立つのは、既に諦めきって目を瞑り微動だにしない老婆と、震えるだけの青ざめた中年男。
告発された『魔女』達だ。
老婆はそこそこの小金を貯めているが身寄りが無く、罪人の財は没収される。
男はこの町の牧師で、この魔女狩りこそが異端だと異例の告発を謀ったのだ。
役人の元へ駆け込まれる前に捕縛できたのはまったく僥倖だった。
密告を奨励するために小銭をばらまいていた甲斐があった。
町の広場に集う観衆は、今か今かとショーの開始を待ちわびている。
「呪ってやる」
嗄れた声が、この催しを仕切るトニーの耳へと届き、彼は驚いて声の主を見た。
俯いた老婆が皺に埋もれた唇を微かに動かしているだけなのに、呪詛の言葉ははっきりと聞こえる。
「いつかお前にも鉄槌が振るわれる。神が必ずやお前をお裁き給う」
トニーのうなじが悪寒で痺れた。
やはりこいつは魔女だ!
穢れた言葉で呪いを掛けやがった!!
「吊せ!」
彼の一言で、一斉に『魔女』達の縄が引かれ、吊され、干し肉の様に揺れる姿に歓声が上がる。
何て容易い仕事だったんだ。
『吸血鬼』の様に杭を打ち込むことも、血でこの手を汚すことも無い。
うなされるどころか夢に見ることすら無かった。
あの老婆の呪詛だってすぐに忘れた。
世間の魔女狩りへの懐疑と風当たりが強くなり、『吸血鬼狩り』へ鞍替えするまでは。
ラルクと賭けた最後の日。
誇り高き吸血鬼ハンターであるトニー・オーギュスタン・シェファー氏の姿は、村はずれの墓地にあった。
新しい墓が並ぶ手前は手入れされ整えられているが、奥へ行けば行くほど鬱蒼とした木々や生え放題の雑草に覆われて昼でも薄暗い。
人気の無い荒れ果てた墓場──吸血鬼の眠る舞台として相応しい。
その中の、どれでもいい、誰もが見放したと思しき墓を吸血鬼の塒としよう。
ああ、こいつがいい。
奥まって目立たぬ墓にしては、土が柔らかくて掘りやすそうじゃあないか。
「くそったれ!」
適当な家の納屋から無断拝借してきた犂を振るいながら、トニーは幾度も悪態をついた。
何で狩人の俺様が、またもやこんな農具で土を掘り返さねばならんのだ!
元々は農家の末子で、両親兄弟からこき使われても報われぬ貧乏暮らしから逃げ出し、ようやく……ようやくの地位を得たと言うのに!!
地位──
『魔女狩り』として、民衆より畏敬の念を受けた。
邪な女どもを吊し、その財産と村からの報酬を戴いた。
承認欲求も金も存分に潤って笑いが止まらぬ日々。
けれども、そんなやり方にもいつしか陰りは来る。
どこかの国で『魔女狩り将軍』と謳っていた男が、実は何の身分も与えられていなかった事が暴かれたせいで、魔女狩りの熱に浮かされていた民衆も正気に戻ってしまった。
それならばと目を付けたのが、魔女と同じく、いいやそれ以上に恐れられていた吸血鬼の存在。
人の血を吸い、堕落の道へと拐かす、不老不死の化け物──
確かに吸血鬼ハンターと言う身分は職業として確立されているそうだが、あいつらだって眉唾だ。
『吸血鬼』など、所詮『魔女』と同じ。
トニーの様に、狩る者がそうだと言えばそいつはそうなるのだから。
思った以上に容易く、土中の棺を掘り返すことが出来た。
さあ、あと一仕事だ。
棺の蓋を開けて──
何だこりゃ、蓋がずれてやがる。
土も浅くしかかけられていなかったし、葬られた者は余程身内に情を持たれていなかったのか随分と雑な扱いだ。
まあいい、そんな奴の方がやり易いってもんだ。
この棺の中の死体が腐りかけでも骸骨でもいい、とりあえず白木の杭をその胸に打ち込んで首を刎ね、村長とラルクに宣言すりゃいい。
「墓から這い出そうとした『吸血鬼』を仕留めた、と?」
棺の蓋にかけたトニーの手が、全身が、電流でも走ったかの様にびくんと跳ねた。
振り向けば、既に月は天頂まで昇っていて、その光を受け金に輝く男の髪が夜風に揺れる様まではっきりと見えた。
「ラルク……!」
その姿を認めた瞬間、トニーは決断した。
腰のホルスターから抜いた銃を、二十歩ほどの距離に現れたラルクへ向ける。
墓場から死体を漁る必要も無い。
今、この鉛玉で黒衣の胸をぶち抜き、白い首を刎ねて村長への土産にすれば、終わりだ。
墓場に現れたのが吸血鬼の証だと押し通す。
死の銃口を向けられても、ラルクの美貌は小揺るぎもしない。
それどころか、見つめるこちらの意識が陶然となり薄れてしまいそうになったトニーは目的以上の恐怖に駆られ、引き金に掛けた指に力を込めた
──その寸前、右足首に細く冷たい感触を感じ、トニーは悲鳴を上げて尻餅をついた。
ずれた棺の蓋の隙間から伸びる、蝋の様に白く固い指が、彼の足首を掴んでいた。
言葉にならない声で喚きながら、トニーは反対の足で白い手首を蹴りつけた。
「これはこれは、吸血鬼ハンターにあるまじき失態だな。単なる鉛弾で吸血鬼を斃し得るとでも?」
地を這い何とか危地から逃れたトニーの目の前で、彼が放り出した銃をラルクが掌で弄んでいた。
「ただの人である『魔女』ならともかく、な」
後退ろうとして、トニーは棺の蓋に躓き、またしても尻餅をついた。
そこに再び白い手が伸びてきたところを彼は這いつくばって逃れた。
「はひっ……ひぃっ……」
腰は抜け膝は笑いまくりで、とても立てやしない。
何だこれは。
棺から伸びる死者の腕? 屍が甦ろうとしている?
これが、吸血鬼──?
「お前が人の中から吸血鬼を見定める要は何だね? 日中に出歩けぬ者? 家畜が突然死んだ家の者? 原因の分からぬ長患いの者?」
ラルクがあげつらうそれは、かつてトニーが値踏みしてきた『犠牲者』の特徴。
「だからこそ、病に伏せ瀕死だった彼は、お前達がこの村に入る前に墓へ埋められることを余儀なくされてしまった様だ」
トニーが掘り返した棺から今や上半身を露わに這い出してきた中年男の屍──その両手の爪は無惨に剥がれ、赤黒い肉が見えていた。
ひっくり返された蓋の内側には無数の引っ掻き傷が見える。
早過ぎた埋葬──
土中で息を吹き返したものの、狭く暗い棺の中で碌に動けず息も出来ず、生き埋めの恐怖から生まれた化け物──
血走り濁った眼がトニーを見やった。
そこに浮かぶは、明らかな飢えの色。
丸々と肥え、血の気が良さげな獲物を見つけた眼だ。
裂けた口から剥き出される乱杭歯で決定的だ。
「少したりとも疑われてはならない。吸血鬼の兆候だと認められてしまえば、一族全て串刺しだ。魔女が弁明の余地無く吊られた様に」
そうだとも。
『魔女』と告白した者も告発された者も吊した。
『吸血鬼』はなおタチが悪い。
血に影響され支配されるあいつらは、血族全て絶やさねばならないと、吸血鬼ハンターの協会とやらも謳っていた筈だ。
「そうしてお前が生み出した吸血鬼に、誕生の祝いをくれてやってはどうかね? お前達の仲間の様に」
ああ、だからラルクは賭けを餌に俺達をこの村に引き留めたんだ。
吸血鬼が生まれ出でるまで──!
「魔女は人の善き隣人になれても、吸血鬼は生憎そう相容れぬが」
善き魔女も悪しき魔女もいる。
けれど、吸血鬼に善悪など当てはまろうはずもない。
屠殺場の家畜へ鉈を振り下ろす者、その肉を喰らう者へ誰がいちいちそんな思いを馳せようか。
『いつかお前にも鉄槌が振るわれる。神が必ずやお前をお裁き給う』
いつかの老婆の呪詛がトニーの頭の奥で反芻する。
目の前の男が、こいつが、そうだと言うのか。
こいつこそが、俺に鉄槌を下すものだと──
「お……お前が俺を裁くと言うのか? お前みたいな、化け物がっ……!!」
「ははははははははは!」
トニーの糾弾を受け、今度こそラルクは笑い出した。
さも気の利いたジョークでも聞いた様に、鈴の鳴るような声で、白い歯を見せて。
「裁く、だと?」
白い──おお、その二本の牙。
そら、俺は間違って無かったじゃねえか。
やっぱりこの男は──
「神の使徒として魔女と吸血鬼を裁き断罪の鉄槌を振るってきたお前が、裁かれる心当たりでもあるのかね? なれば裁かれる側の気分はどうだ? 『魔女』と『吸血鬼』と、どちらの罪を選ぶ?」
『魔女』として吊されるか、『吸血鬼』として胸を貫かれるか。
どちらにしろ、神が創りたもうた『人間』としての安らかな死は望むべくも無い。
そう、裁くのがこの、吸血鬼なのだから──
思わず視線を下へと伏せると、ラルクの足元に何やら大きな塊が転がっているのに気がついた。
気づかなけりゃ良かった。
暗がりに目が慣れていたとは言え、この時に月を覆っていた雲が流れていかなけりゃ、さっきのラルクの言葉の意味も分からずにいられたものを。
『お前が生み出した吸血鬼に誕生の祝いをくれてやってはどうかね? お前達の仲間の様に』
「一昨日と昨夜、お前の手下二人にそれぞれ声は掛けた。この墓場に吸血鬼がいると言う確かな証があるとね」
確かな証──吸血鬼本人。
おお、その足元に横たわるスペンサーとジェフの首元には、穿たれた二つの牙の跡があるのだろう。
祝福の血を貰い受けたのは、ラルクか、それとも棺から甦った方なのか。
「ああ、吸血鬼を斃すと言う約束は守れなんだが、金貨はくれてやったぞ」
仰向けの二人が苦悶の表情で大きく開けた口の中──見覚えのある大ぶりなコインが月明かりを受けてキラキラと輝いていた。
そう言えば、吸血鬼になるのを防ぐと言われる方法のひとつに、コインを口中に詰めると言うのがあったことをトニーはぼんやり思い出した。
硬いコインが邪魔で牙を噛み合わせる事が出来ないからだとか。
そんな知識も付け焼き刃で得たものばかり。
当たり前だ。
人が堕落して成る魔女はともかく、そもそも吸血鬼などと言う化け物がこの世に存在する筈が──
「何で……吸血鬼のてめえが、あんな賭けをしてまで……俺たちを……」
「何で?」
目を細め、トニーの言葉を反芻したラルクの白い喉が微かに鳴った。
押し殺そうとした笑いが思わず漏れてしまったかの様に。
「滅多に見られる見世物では無かろう。元は名高い『魔女狩り』が、果たして『吸血鬼』をも狩れるのか」
皮肉も軽蔑も無い、ただただ好奇心だけを浮かべた黄金の瞳が、色を失ったトニーの姿を眺めやる。
「魔女狩りへの締め付けが厳しくなって目を付けたのが吸血鬼とは、なかなか面白い」
真正の吸血鬼が嗤う。
「お前達が吊してきた女達。断罪されるべき魔術を振るう術を持たず、まして血を啜る牙や爪も無い──」
抗う術すら持たず、泣くか絶望するしか無い女達。
それらは悪で、狩る俺は聖なる者の筈だ。
「そんな狩人殿が、本物へどう鉄槌を振り回すのものか、見物したくもなるだろう」
地を這いずり寄ってきた『吸血鬼』の骨張った指に肩を掴まれ、尻を地に着けたままの背後から冷たく生臭い息を首筋へ吹きかけられた時、
「………!!」
トニーの生存本能が化け物への恐怖に打ち勝った。
地面に放り投げていた鋤を引っ掴み様に腰をひねり、今まさにその汚い牙を食い込ませようとした吸血鬼の喉へと突き込んだ。
その衝撃で吸血鬼の指が肩から離れた隙をつき、震えを忘れたトニーの足がしっかり立ち上がって相手の胸を片足で踏みつけ押さえ込む。
こんなところで、こんな死に方をしてたまるか!
俺こそが裁く側だ!
讃えられるべきはこの、魔女狩りにして吸血鬼狩りのトニー・オーギュスタン・シェファーだ!!
「くたばれ化け物が!!」
渾身の力を込めて振り下ろしたトニーの鋤の先端が、吸血鬼の胸に突き刺された。
骨を砕き腐肉を抉る、ぐずぐずとしたおぞましい感触。
生臭い血を顔面に浴びながらも怯まないトニーの足元で、断末魔の声すら上げず吸血鬼はそのまま動かなくなった。
ああ…やった……見ろ、やってやったぞ!
俺が、己の力で吸血鬼を屠ってやったんだ……!!
悲鳴が上がった。
金切り声に目をやると、墓地を遠巻きに囲む黒々とした集団の影が見えた。
「墓場荒らしだ!!」
「人殺し!」
手に手に、農具やライフルなどありったけの武器を掻き集めてきた村人達だ。
この派手な立ち回りの音を聞きつけたのだろうか。
彼らの目は、既に地に伏した吸血鬼など眼中には無く、墓地にて対決している二人の男を凝視していた。
息を荒げながら血塗れで立ち尽くす中年男、かたや一欠片の穢れも見えぬ気品漂う美しい男。
先に動いたのは、ラルクだ。
白い手が優雅にひらめき、トニーの銃を民衆の前へと放り投げてみせた。
その意図を悟った瞬間、トニーの血の気が引いた。
「待っ……」
トニーの叫びを鈍い銃声が掻き消した。
無慈悲な銃弾が彼の喉を貫き、トニーは血反吐を撒き散らしながらスペンサーとジェフの傍らへ倒れ込んだ。
薄らと硝煙をたなびかせる銃を構えた姿勢のまま震える顔に、ラルクは見覚えがあった。
吸血鬼狩りの来訪に怯え、我が子への『早過ぎる埋葬』を率先して執り行った、老母──
そんな事を知る由も無く、トニーはひたすら喉を押さえて身悶えしていた。
熱い
息が出来ない
苦しい! 苦しい! 苦しい!
死んじまう!!
死ぬ?
この俺が?
喉を撃ち抜かれても、絶命までは猶予がある。
苦痛を逸らす為の呻きすら上げられず、痛みと窒息の苦痛に身をよじりながら、じわじわと息絶える刻をただ待つだけの。
これが……こんなのが、俺の終わりだと?
息をしようと足掻く度に、口と喉の穴から咳と血泡が吹き出した。
跳ねた血の滴が、トニーの傍らに立つ黒い靴の先へと飛んだ。
「──っ!」
赤く濁っていく視界の中でも分かる、美しい吸血鬼。
ああ、俺は間違っていた。
創り上げたものじゃなく、本当に、悪魔はいたのだ。
人が触れてはならない、正真正銘の──
そしてそれを狩ろうとした俺は、選ばれた神の使徒では無かったのだ。
倒れた拍子に『魔女狩り』時代から身につけていたロザリオの紐が切れて地面へと散らばった珠のひとつが、目の前を転がってきた。
祈りの珠と十字架にまでも見離された。
トニーの両眼から、血では無い透明な滴が溢れて髭面を伝った。
これが、俺に振り降ろした鉄槌だってのか。
あんまりだろうが、神様よ。
血塗れの手を地に落ちた十字架へと必死に伸ばそうとして、力尽きた。
最期の救いすら得られず、村人達の憎悪だけを受け、偉大なる『魔女』『吸血鬼』ハンターであるトニー・オーギュスタン・シェファー氏は絶望に満ちた生をここに終えたのだった。
こうして、村を襲わんとした惨劇は未遂のままどうにか幕を閉じた。
ハンターを装った吸血鬼が埋葬されたばかりの棺をあさっていたところを、世にも美しい守護者の活躍によって守られたのだ。
墓を暴かれた死者はいかなる術をふるわれたものか、その肉体が灰白色の灰へと崩れ落ちてしまったが。
遺された老母が愛息子だったその灰を震える手で掻き集めて村のそばに流れる川へと流す姿は、人々の涙を誘った。
口に金貨を詰められた三体の屍を村の広場で燃やす炎を見守りながら、人々は褒め称えた。
「貴男こそ、この村の救い主、真の吸血鬼ハンター様です」
村人達の賛辞を受け、村を立ち去ろうとしたラルクの唇の端がほんの少しだけ皮肉に上がった。
それすら、彼らには天使の微笑に見えただろう。
裁くだの罪だのと、なかなか窮屈で便利な言葉遊びだ。
そうして自分の振り下ろしてきた鉄槌が、いつ我が身へも叩き落されるやとは思いもしない。
本当に、人の世は飽きることがない。
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