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魔法教師、宮廷を出る
53話 神子
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「お!ま!え!なぁ!!!!」
鉱山から出たら、魔物寄せの効果が切れたヴァルフゴールが入り口の前に仁王立ちしていた。
効果音をつけるなら、ゴゴゴゴって感じかな?わぁ怖いなぁ……、
般若の様な顔をして大股でズンズン近づいてきたかと思えば頭を鷲掴みにされた。
「イタタタ!!私ご主人様!アンタのご主人様なんだけど!?」
「説明しろ!!」
「いやどの説明!?」
「全部だ!!!」
後それは何だ!?と、指差した首元にフワフワを蓄える羽の生えた生き物。手の平大サイズの可愛い可愛い白雪の様な体躯の蜂。
「何って殺女王蜂だけど?」
「あ“あ”?」
「いやー、蜂蜜欲しいなぁとは思ってたんだよね。蜜蝋って言うクリームの元になるものも作れるし、蜂蜜自体美容にも健康にも良いから」
「説明になってねぇよ」
「そもそも一般的なクリームが粗悪品過ぎる!確かに、成分は悪く無いけど劣化は早いは取れる量は少ないわでどうしようかなぁって悩んでた事が始まりなんだけど」
この世界のグリセリンとかワセリンの用途で使われるものが、日本で言うちぎったらボンドみたいな白い液体が出てくる植物に似てる植物から取れる物なんだけど、繁殖は簡単でも取れる量が少ない。
それに、加工が施されてるわけじゃ無いからダメになるのが早い。冷暗所で保存ってなっても、快適な空調を維持できる魔道具があるわけじゃ無い。
「養蜂家って少ないし、そもそも生産量も少ないし」
沢山の養蜂家業を営む人と契約するにしても、品質は保ちたいし、と言うか一定にしたいけどそれは不可能だし。
魔物で、繁殖力も高く、巣も広範囲。一回で取れる蜂蜜の量も多いキラービーなら、そんな心配事も解決する訳。
「だからほしいとおもったんだよねえ」
小さく、拙く、ふと漏れ出た言葉。
…いや、欲しいと思ったって子供か!…ん?あれ私、利用できるかな?くらいの感覚でいってたんだけど…そう言えば、「欲しい」なんて…いつの間に思ってたっけ??
友達が困ってたから何とかしてあげたい。が、私欲に変わってた?いつから……?
最近こういう事が多い気がする。
思考がいつの間にか別のものにすり替わってる。
「マユラ、どうした」
「私、何か変わった事…ある?」
「あ?あー、思いつくのは、目的のためなら手段を選ばない事が増えた事くらいか?まぁ、
それがお前だろ?」
違う…いや、違わない。
いつから?いつの間に?
神に近づいているかの様な思考回路は…時々、私がマユラである事を阻んでる。
あれ?
「私って、今どっち?」
私の中には、繭村奏と神子がいる。
なら、今の私はマユラ?
同化してるのは自覚していた。だから、まるで幼子の様に我儘を通すような思考は仕方がないと思ってた。
でも、私が私のままだとどうしてそう思ってた?
「…あ」
ヴァルフゴールなら大丈夫だと思った?違う、近くに強い魔物は居ないから大丈夫だと思ってた。
さぁーっと血の気が引いた。
だって、強い魔物は居なくとも毒を持つ魔物は居る。居た。…なのに、それでもそれをわかっていながら魔物寄せを振りかけた。
「ゔぁ、ヴァルフゴール…」
「ん?」
「怪我、無い?」
「ねぇよんなの」
最低だ私は。
保身や打算ばっかり。
謝れば良いのに、怪我がないとわかってホッとした自分がいる。
私、何に対してホッとした?
この罪悪感は何に対しての罪悪感?
ああ駄目だ、また呑まれる。
私を乗っ取る、神子がいる。
来るな、
来るな、来るな、来るな、来るな、_______
_____来ないでよ!!
鉱山から出たら、魔物寄せの効果が切れたヴァルフゴールが入り口の前に仁王立ちしていた。
効果音をつけるなら、ゴゴゴゴって感じかな?わぁ怖いなぁ……、
般若の様な顔をして大股でズンズン近づいてきたかと思えば頭を鷲掴みにされた。
「イタタタ!!私ご主人様!アンタのご主人様なんだけど!?」
「説明しろ!!」
「いやどの説明!?」
「全部だ!!!」
後それは何だ!?と、指差した首元にフワフワを蓄える羽の生えた生き物。手の平大サイズの可愛い可愛い白雪の様な体躯の蜂。
「何って殺女王蜂だけど?」
「あ“あ”?」
「いやー、蜂蜜欲しいなぁとは思ってたんだよね。蜜蝋って言うクリームの元になるものも作れるし、蜂蜜自体美容にも健康にも良いから」
「説明になってねぇよ」
「そもそも一般的なクリームが粗悪品過ぎる!確かに、成分は悪く無いけど劣化は早いは取れる量は少ないわでどうしようかなぁって悩んでた事が始まりなんだけど」
この世界のグリセリンとかワセリンの用途で使われるものが、日本で言うちぎったらボンドみたいな白い液体が出てくる植物に似てる植物から取れる物なんだけど、繁殖は簡単でも取れる量が少ない。
それに、加工が施されてるわけじゃ無いからダメになるのが早い。冷暗所で保存ってなっても、快適な空調を維持できる魔道具があるわけじゃ無い。
「養蜂家って少ないし、そもそも生産量も少ないし」
沢山の養蜂家業を営む人と契約するにしても、品質は保ちたいし、と言うか一定にしたいけどそれは不可能だし。
魔物で、繁殖力も高く、巣も広範囲。一回で取れる蜂蜜の量も多いキラービーなら、そんな心配事も解決する訳。
「だからほしいとおもったんだよねえ」
小さく、拙く、ふと漏れ出た言葉。
…いや、欲しいと思ったって子供か!…ん?あれ私、利用できるかな?くらいの感覚でいってたんだけど…そう言えば、「欲しい」なんて…いつの間に思ってたっけ??
友達が困ってたから何とかしてあげたい。が、私欲に変わってた?いつから……?
最近こういう事が多い気がする。
思考がいつの間にか別のものにすり替わってる。
「マユラ、どうした」
「私、何か変わった事…ある?」
「あ?あー、思いつくのは、目的のためなら手段を選ばない事が増えた事くらいか?まぁ、
それがお前だろ?」
違う…いや、違わない。
いつから?いつの間に?
神に近づいているかの様な思考回路は…時々、私がマユラである事を阻んでる。
あれ?
「私って、今どっち?」
私の中には、繭村奏と神子がいる。
なら、今の私はマユラ?
同化してるのは自覚していた。だから、まるで幼子の様に我儘を通すような思考は仕方がないと思ってた。
でも、私が私のままだとどうしてそう思ってた?
「…あ」
ヴァルフゴールなら大丈夫だと思った?違う、近くに強い魔物は居ないから大丈夫だと思ってた。
さぁーっと血の気が引いた。
だって、強い魔物は居なくとも毒を持つ魔物は居る。居た。…なのに、それでもそれをわかっていながら魔物寄せを振りかけた。
「ゔぁ、ヴァルフゴール…」
「ん?」
「怪我、無い?」
「ねぇよんなの」
最低だ私は。
保身や打算ばっかり。
謝れば良いのに、怪我がないとわかってホッとした自分がいる。
私、何に対してホッとした?
この罪悪感は何に対しての罪悪感?
ああ駄目だ、また呑まれる。
私を乗っ取る、神子がいる。
来るな、
来るな、来るな、来るな、来るな、_______
_____来ないでよ!!
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