12 / 20
俺は幼馴染のバストサイズを知りたい
しおりを挟む
春奈は俺を見つめていた。とても静かにしている。さっきまで大きな声で『嫌い』を言い続けていた春奈はもういなかった。俺のなかにある嫌な引っ掛かりが取れた気がしてホッとしたが、そんなの一瞬のことだった。だ、だってさ…………、
『大好きだああああっーー!!!!』
俺……、何言ってんの!?
バクン、バクン、と大きな鼓動が鳴っている。その度に俺の全身が揺れる。そして『大好き』という言葉が、俺の頭の中を駆けまわる。
『大好き』って!? 大声で何言ってんだ!? よりにもよって春奈に!? なんで『大好き』って言ったし!? い、いや、それは春奈が悪い!! お、俺のこと嫌い、嫌い、って言うから!! お、俺はそうじゃないからさ!! だから『大好き』、って言いたくて……、って、それで素直に言うバカがどこにいる!! って、俺か!? う、うおおおおおおっ……!!
1人で勝手に悶えている俺。春奈の両肩を掴んでいる俺の手のひらが、小さく震える。春奈に、俺の動揺を伝えているみたいで、すごく恥ずかしい。お、落ち着け……!! と、とりあえずだな! 春奈の肩から手をどけ―――、
「そうたぁ……」
ふいに聞こえた囁き。
俺の意識と視線は、春奈に吸い寄せられる。
ただ真っ直ぐに俺を見つめて、何かを知りたがったいる顔付きだ。頬をとても赤く染めながら、恥ずかし気に聞いてきた。
「い、今言ったのって……?」
「つっ……!?!?」
ど、どう答える……!?
悩んでいるなか、でも答えはもう出ているんだ。素直に……、春奈のことが『大好き』だと。。でもな、改めて『大好き』って言いづらいんだよ!! さっきは勢いがあったから、『大好き』って言えたのもあったし!!
春奈の見開いた瞳に見つめられ、緊張する。
俺の顔が熱くなったのが分かった。
は、恥ずかしくて、ますます言いづらくなる。
すると、春奈の表情が不満と怒りと、悲しみが混じった、何とも言えない表情で、
「なんなのよ……」
「え……!?」
春奈の丸い瞳に涙が溜まり出した。俺の気持ちが、また焦り出す。
「何なのよ……、今日は……」
「は、春奈?」
「変なことばっかり言って……!!」
「いや、おい……!?」
「だってそうだもん!! 何なのよ、もう!! 爽太のバカバカバカ!!」
春奈が、俺の胸元を小さな拳でドンドンっとうち叩く。お、おい!? い、痛いって!?
「は、春奈!? 俺の胸元で太鼓の達人みたいなことすんなよ!?」
「つっ!? ま、また変な事言う!! もう、バカバカバカバカ!!」
春奈の叩く手は勢いを増すばかりで。俺の胸の痛みも増していく。それに、俺の胸の奥の何かも、痛みを増していく。
あ、あのな、俺の言った事を全部、変な事で片付けんなよ!!
俺は……、『バスト』が大好きなんだ!
「爽太の、バカバカバカ!!」
ああ、ほんとバカだと思う! でもな、大好きなんだ、ふくよかな『バスト』がさ!!
「バカバカバカ!!」
ああ、ほんとバカだよ! でもな、大好きなんだ、小さな拳でしきりに俺の胸元を叩いている間も、揺れているふくよかな『バスト』がさ!!
「ほんと、爽太のバカバカ!!」
ああ、ほんとバカだよな……。俺に痛い仕打ちをしているのに、すごくムカつくのに……、大好きなんだ……、『春奈』が!!
ほんと、色んなムカつきが合わさって、俺はもう吹っ切れた。俺もう決めた。春奈にこれからも、すごく怒られるけど、これからもずっと言おう。変なことを!! お、俺のありったけの気持ちを込めて!!
「春奈っ!!」
「ひゃっ!?」
驚いて、口を紡ぐ春奈。俺は春奈を真っ直ぐに見つめ、春奈の両肩を掴んでいる手のひらに力を込める。俺は、大きな声で叫んだ。
「大好きだああああっーー!!!!」
「なっ!?!?!?!?」
春奈の瞳が見開き、頬も、耳も真っ赤に染まっていく。うん、俺もきっと同じようになってんだろうな。でも、恥ずかしがってる場合じゃない。
「は、春奈!!」
「ひゃ、ひゃい!?」
「お、俺はな、大好きなんだ……!」
「ふぇ!? そ、そそそそ、それって……!?!?」
春奈が顔を真っ赤にし、答えを問う。俺は、息を吸い込み、春奈への想いを、大きく答えた。
「『春奈のバスト』が大好きだああああっーー!!」
「へぇ!?!?!?!?」
春奈に驚愕の表情を与えるほど、伝わっていた。大きな瞳はせわしなく瞬きを繰り返し、俺の言った事を理解しようと必死な感じだ。うん、春奈、理解してくれ、とても簡単なことのはずだ!
「ば、バカッ!!!!」
理解されなかった。ですよね~。
春奈が、口元をわなわなと震わせながら、声をあらげる。
「ば、ばばば、バス、が、大好き、って!?!?、あ、あたしの……!? つぅぅ!?!? ば、バカ爽太!! ほんとッ、バカバカバカ―――!!」
「バカで構わん!!」
「ふえっ!?」
「は、春奈っ!!」
「ふぇ!? な、なに!?」
「お、俺は―――」
涙目の春奈をしかと見つめ、俺は……、男らしく、新たに湧いた、いや、胸の奥にしまっていた想い、『春奈』・『バスト』・『大好き』から、導いた、俺なりのありったけの想いを、さらに叫んだ。
「バストサイズを教えてくれッーーー!!」
「なっ……!? は、はあっー!?!? な、何変なこと言って―――!!」
「変な事じゃない!!」
「えぇぇぇ!?!?」
「お、俺は、『春奈』が『大好き』なんだ!!」
「ふぇっ!? えっ!? ちょ、ちょ、ちょっと!?」
「でだな、お、俺は、『バスト』が『大好き』なんだ!!」
「なっ!?!? は、はいぃぃぃ!?!?」
もう表情が混乱している春奈。お、俺もきっとそうだろう。で、でもそんなこと知るか!!
「つ、つまりだな、『春奈のバスト』が『大好き』なんだよ、俺は!!」
「は、はわわわっ!?!?」
「だ、だから!! 『バストサイズ』を教えてくれ!!」
「ひいっ!?!? い、意味がわからないし!!!!」
「な、なんで分かんねぇんだよ!」
「わ、分かるわけないでしょ!?!?」
「分かるだろ!? 『大好き』だから知りたいんだ!!」
「な、なんかすごくムカつくッ!! どう言っていいかあれだけど、ほんとムカつく!!」
「だあああああ!! んなこといいから!! は、早く教えてくれ!! 俺の大好きな、春奈の、バストの、サイズを!!」
「ば、ば、バカバカバカ!! お、おし、教えるわけないでしょ!?!?」
「それはダメだ!!」
「ダメに決まってるよッ!?」
「ほんと、教えて、春奈!! バストサイズ!! バストサイズ!! バストサイズ!!」
「ばっ!? な、な、何言ってんのよッ!! お、大声で、い、言わないで!!」
「いいや、言うねっ!! 春奈!! 俺に教えてくれ!! バ―――」
バストサイズと言おうとして、俺は言えなかった。何故かって? それは、
バチコンッッ!!!!!
「ひでぶっ!?!?」
左頬に感じる激しい痛み。何が起こったのか一瞬解らなかったが、春奈の右手のフルスイングを目で捉えていたからすぐ理解した。超絶ビンタを食らったんですね、俺。い、痛ってえええええええ!?!?
あまりの痛さに尻もちをついた俺を、春奈は、真っ赤な顔で、怒りの形相で見降ろしていた。
「ふぅー! ふぅー! そ、そ・う・た!!!!!!」
「ひい!? は、はい!?」
春奈は、大声で俺に言い付けた。
「爽太の、バカあああああああああああーーーーーー!!!!!!」
そう言い放つや、文芸部の部室を飛び出し、廊下を走っていく春奈。
俺は、春奈の走り去っていく後ろ姿をただ、茫然と見つめていた。春奈が廊下を曲がって、見えなくなるまでさ。
シーンと、静かな、文芸部の部室のドアの前で、座り込んでいる俺は、
「……、ふっ、あははははは……、あはははははははっ!!」
左頬のビンタを食らった痛みをジンジン感じながら、俺は、決意を新たにする。
俺は、春奈(幼馴染)のバストサイズが知りたい!!
これが、俺のバストサイズストーリーの幕開けだった。
『大好きだああああっーー!!!!』
俺……、何言ってんの!?
バクン、バクン、と大きな鼓動が鳴っている。その度に俺の全身が揺れる。そして『大好き』という言葉が、俺の頭の中を駆けまわる。
『大好き』って!? 大声で何言ってんだ!? よりにもよって春奈に!? なんで『大好き』って言ったし!? い、いや、それは春奈が悪い!! お、俺のこと嫌い、嫌い、って言うから!! お、俺はそうじゃないからさ!! だから『大好き』、って言いたくて……、って、それで素直に言うバカがどこにいる!! って、俺か!? う、うおおおおおおっ……!!
1人で勝手に悶えている俺。春奈の両肩を掴んでいる俺の手のひらが、小さく震える。春奈に、俺の動揺を伝えているみたいで、すごく恥ずかしい。お、落ち着け……!! と、とりあえずだな! 春奈の肩から手をどけ―――、
「そうたぁ……」
ふいに聞こえた囁き。
俺の意識と視線は、春奈に吸い寄せられる。
ただ真っ直ぐに俺を見つめて、何かを知りたがったいる顔付きだ。頬をとても赤く染めながら、恥ずかし気に聞いてきた。
「い、今言ったのって……?」
「つっ……!?!?」
ど、どう答える……!?
悩んでいるなか、でも答えはもう出ているんだ。素直に……、春奈のことが『大好き』だと。。でもな、改めて『大好き』って言いづらいんだよ!! さっきは勢いがあったから、『大好き』って言えたのもあったし!!
春奈の見開いた瞳に見つめられ、緊張する。
俺の顔が熱くなったのが分かった。
は、恥ずかしくて、ますます言いづらくなる。
すると、春奈の表情が不満と怒りと、悲しみが混じった、何とも言えない表情で、
「なんなのよ……」
「え……!?」
春奈の丸い瞳に涙が溜まり出した。俺の気持ちが、また焦り出す。
「何なのよ……、今日は……」
「は、春奈?」
「変なことばっかり言って……!!」
「いや、おい……!?」
「だってそうだもん!! 何なのよ、もう!! 爽太のバカバカバカ!!」
春奈が、俺の胸元を小さな拳でドンドンっとうち叩く。お、おい!? い、痛いって!?
「は、春奈!? 俺の胸元で太鼓の達人みたいなことすんなよ!?」
「つっ!? ま、また変な事言う!! もう、バカバカバカバカ!!」
春奈の叩く手は勢いを増すばかりで。俺の胸の痛みも増していく。それに、俺の胸の奥の何かも、痛みを増していく。
あ、あのな、俺の言った事を全部、変な事で片付けんなよ!!
俺は……、『バスト』が大好きなんだ!
「爽太の、バカバカバカ!!」
ああ、ほんとバカだと思う! でもな、大好きなんだ、ふくよかな『バスト』がさ!!
「バカバカバカ!!」
ああ、ほんとバカだよ! でもな、大好きなんだ、小さな拳でしきりに俺の胸元を叩いている間も、揺れているふくよかな『バスト』がさ!!
「ほんと、爽太のバカバカ!!」
ああ、ほんとバカだよな……。俺に痛い仕打ちをしているのに、すごくムカつくのに……、大好きなんだ……、『春奈』が!!
ほんと、色んなムカつきが合わさって、俺はもう吹っ切れた。俺もう決めた。春奈にこれからも、すごく怒られるけど、これからもずっと言おう。変なことを!! お、俺のありったけの気持ちを込めて!!
「春奈っ!!」
「ひゃっ!?」
驚いて、口を紡ぐ春奈。俺は春奈を真っ直ぐに見つめ、春奈の両肩を掴んでいる手のひらに力を込める。俺は、大きな声で叫んだ。
「大好きだああああっーー!!!!」
「なっ!?!?!?!?」
春奈の瞳が見開き、頬も、耳も真っ赤に染まっていく。うん、俺もきっと同じようになってんだろうな。でも、恥ずかしがってる場合じゃない。
「は、春奈!!」
「ひゃ、ひゃい!?」
「お、俺はな、大好きなんだ……!」
「ふぇ!? そ、そそそそ、それって……!?!?」
春奈が顔を真っ赤にし、答えを問う。俺は、息を吸い込み、春奈への想いを、大きく答えた。
「『春奈のバスト』が大好きだああああっーー!!」
「へぇ!?!?!?!?」
春奈に驚愕の表情を与えるほど、伝わっていた。大きな瞳はせわしなく瞬きを繰り返し、俺の言った事を理解しようと必死な感じだ。うん、春奈、理解してくれ、とても簡単なことのはずだ!
「ば、バカッ!!!!」
理解されなかった。ですよね~。
春奈が、口元をわなわなと震わせながら、声をあらげる。
「ば、ばばば、バス、が、大好き、って!?!?、あ、あたしの……!? つぅぅ!?!? ば、バカ爽太!! ほんとッ、バカバカバカ―――!!」
「バカで構わん!!」
「ふえっ!?」
「は、春奈っ!!」
「ふぇ!? な、なに!?」
「お、俺は―――」
涙目の春奈をしかと見つめ、俺は……、男らしく、新たに湧いた、いや、胸の奥にしまっていた想い、『春奈』・『バスト』・『大好き』から、導いた、俺なりのありったけの想いを、さらに叫んだ。
「バストサイズを教えてくれッーーー!!」
「なっ……!? は、はあっー!?!? な、何変なこと言って―――!!」
「変な事じゃない!!」
「えぇぇぇ!?!?」
「お、俺は、『春奈』が『大好き』なんだ!!」
「ふぇっ!? えっ!? ちょ、ちょ、ちょっと!?」
「でだな、お、俺は、『バスト』が『大好き』なんだ!!」
「なっ!?!? は、はいぃぃぃ!?!?」
もう表情が混乱している春奈。お、俺もきっとそうだろう。で、でもそんなこと知るか!!
「つ、つまりだな、『春奈のバスト』が『大好き』なんだよ、俺は!!」
「は、はわわわっ!?!?」
「だ、だから!! 『バストサイズ』を教えてくれ!!」
「ひいっ!?!? い、意味がわからないし!!!!」
「な、なんで分かんねぇんだよ!」
「わ、分かるわけないでしょ!?!?」
「分かるだろ!? 『大好き』だから知りたいんだ!!」
「な、なんかすごくムカつくッ!! どう言っていいかあれだけど、ほんとムカつく!!」
「だあああああ!! んなこといいから!! は、早く教えてくれ!! 俺の大好きな、春奈の、バストの、サイズを!!」
「ば、ば、バカバカバカ!! お、おし、教えるわけないでしょ!?!?」
「それはダメだ!!」
「ダメに決まってるよッ!?」
「ほんと、教えて、春奈!! バストサイズ!! バストサイズ!! バストサイズ!!」
「ばっ!? な、な、何言ってんのよッ!! お、大声で、い、言わないで!!」
「いいや、言うねっ!! 春奈!! 俺に教えてくれ!! バ―――」
バストサイズと言おうとして、俺は言えなかった。何故かって? それは、
バチコンッッ!!!!!
「ひでぶっ!?!?」
左頬に感じる激しい痛み。何が起こったのか一瞬解らなかったが、春奈の右手のフルスイングを目で捉えていたからすぐ理解した。超絶ビンタを食らったんですね、俺。い、痛ってえええええええ!?!?
あまりの痛さに尻もちをついた俺を、春奈は、真っ赤な顔で、怒りの形相で見降ろしていた。
「ふぅー! ふぅー! そ、そ・う・た!!!!!!」
「ひい!? は、はい!?」
春奈は、大声で俺に言い付けた。
「爽太の、バカあああああああああああーーーーーー!!!!!!」
そう言い放つや、文芸部の部室を飛び出し、廊下を走っていく春奈。
俺は、春奈の走り去っていく後ろ姿をただ、茫然と見つめていた。春奈が廊下を曲がって、見えなくなるまでさ。
シーンと、静かな、文芸部の部室のドアの前で、座り込んでいる俺は、
「……、ふっ、あははははは……、あはははははははっ!!」
左頬のビンタを食らった痛みをジンジン感じながら、俺は、決意を新たにする。
俺は、春奈(幼馴染)のバストサイズが知りたい!!
これが、俺のバストサイズストーリーの幕開けだった。
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
わたしのことはお気になさらず、どうぞ、元の恋人とよりを戻してください。
ふまさ
恋愛
「あたし、気付いたの。やっぱりリッキーしかいないって。リッキーだけを愛しているって」
人気のない校舎裏。熱っぽい双眸で訴えかけたのは、子爵令嬢のパティだ。正面には、伯爵令息のリッキーがいる。
「学園に通いはじめてすぐに他の令息に熱をあげて、ぼくを捨てたのは、きみじゃないか」
「捨てたなんて……だって、子爵令嬢のあたしが、侯爵令息様に逆らえるはずないじゃない……だから、あたし」
一歩近付くパティに、リッキーが一歩、後退る。明らかな動揺が見えた。
「そ、そんな顔しても無駄だよ。きみから侯爵令息に言い寄っていたことも、その侯爵令息に最近婚約者ができたことも、ぼくだってちゃんと知ってるんだからな。あてがはずれて、仕方なくぼくのところに戻って来たんだろ?!」
「……そんな、ひどい」
しくしくと、パティは泣き出した。リッキーが、うっと怯む。
「ど、どちらにせよ、もう遅いよ。ぼくには婚約者がいる。きみだって知ってるだろ?」
「あたしが好きなら、そんなもの、解消すればいいじゃない!」
パティが叫ぶ。無茶苦茶だわ、と胸中で呟いたのは、二人からは死角になるところで聞き耳を立てていた伯爵令嬢のシャノン──リッキーの婚約者だった。
昔からパティが大好きだったリッキーもさすがに呆れているのでは、と考えていたシャノンだったが──。
「……そんなにぼくのこと、好きなの?」
予想もしないリッキーの質問に、シャノンは目を丸くした。対してパティは、目を輝かせた。
「好き! 大好き!」
リッキーは「そ、そっか……」と、満更でもない様子だ。それは、パティも感じたのだろう。
「リッキー。ねえ、どうなの? 返事は?」
パティが詰め寄る。悩んだすえのリッキーの答えは、
「……少し、考える時間がほしい」
だった。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
アルバートの屈辱
プラネットプラント
恋愛
妻の姉に恋をして妻を蔑ろにするアルバートとそんな夫を愛するのを諦めてしまった妻の話。
『詰んでる不憫系悪役令嬢はチャラ男騎士として生活しています』の10年ほど前の話ですが、ほぼ無関係なので単体で読めます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる