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第4話 ガソリンと空気の関係
理科アレルギーにつける薬
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「それが、じゃあギャス、わたしの理科や化学への苦手意識の根本にあるものってことなの…?」
彼はうなずいた。
「だからさ、それは『おつよん』の勉強じゃなくってもそうだろう。
何の勉強をするにしても、好きじゃないもの興味を持てないものが相手なら、おまえは何度でも似たような反応をするだろうな」
彼はいくらか表情を緩めて、少しほほえんでいた。
「それが勉強アレルギーってことだ」
わたしはつられて笑った。
その時点で「理科ぎらいのわたしでも、おつよんに受かるんだろうか?」という最初の自分の疑問に対する答えはすでに出ていた。
「言っておくけどな、おれはこんな感じの頭の悪そうな野郎に見えるが──ま、実際脳のデキはそれほどでもないだろうけど──勉強するのはけっこう好きなんだぜ。
今のおまえのようにだな、アレルギーは無い」
ギャスはそう得意気に口にした。
なんだか、彼にしてはかっこよく見えた。
もしあなたが「おつよん」を受験しようとしていて、当時のわたしとおなじように化学やら物理やらへの怖れや疑念を払拭できないのならば、ギャスの言ったこのシンプルなアドバイスを最後に頭の片隅に入れておこう。
「理系への苦手意識や抵抗感があるのなら、それへのたったひとつの解決する克服法は──慣らすこと、これに尽きる。それさえすればいい。
ゆっくりと毎日少しずつ触れる時間を持って、習慣をつけて、免疫をつけるだけだ。すると、なぜか自然と苦じゃなくなっていく。自分の思考の一部になってゆく」
ギャスはそう言いながらわたしの頭を指差した。
「たいていのヤツはだな、それすらやっていない。必要なのはやってみたい、知ってみたいという好奇心、それとファイア!情熱だ。
とにかく続けろ。だれだって初めから得意で好きな人間はいないんだぜ。チャリンコに乗れるようになるのといっしょだろ、ただひたすら公園で練習して慣れるのさ。そしたらいつか高速道路でバイクだって乗り回せる。
頭と体と目と手を『おつよん』のテキストや問題に今日から30分ずつでもいいから日々さらせ」
捨てゼリフみたいにそう告げて、彼は部室を出ていこうとした。
「いいか、インカ…おまえの理科アレルギーにつける薬は、これだけだ」
彼はうなずいた。
「だからさ、それは『おつよん』の勉強じゃなくってもそうだろう。
何の勉強をするにしても、好きじゃないもの興味を持てないものが相手なら、おまえは何度でも似たような反応をするだろうな」
彼はいくらか表情を緩めて、少しほほえんでいた。
「それが勉強アレルギーってことだ」
わたしはつられて笑った。
その時点で「理科ぎらいのわたしでも、おつよんに受かるんだろうか?」という最初の自分の疑問に対する答えはすでに出ていた。
「言っておくけどな、おれはこんな感じの頭の悪そうな野郎に見えるが──ま、実際脳のデキはそれほどでもないだろうけど──勉強するのはけっこう好きなんだぜ。
今のおまえのようにだな、アレルギーは無い」
ギャスはそう得意気に口にした。
なんだか、彼にしてはかっこよく見えた。
もしあなたが「おつよん」を受験しようとしていて、当時のわたしとおなじように化学やら物理やらへの怖れや疑念を払拭できないのならば、ギャスの言ったこのシンプルなアドバイスを最後に頭の片隅に入れておこう。
「理系への苦手意識や抵抗感があるのなら、それへのたったひとつの解決する克服法は──慣らすこと、これに尽きる。それさえすればいい。
ゆっくりと毎日少しずつ触れる時間を持って、習慣をつけて、免疫をつけるだけだ。すると、なぜか自然と苦じゃなくなっていく。自分の思考の一部になってゆく」
ギャスはそう言いながらわたしの頭を指差した。
「たいていのヤツはだな、それすらやっていない。必要なのはやってみたい、知ってみたいという好奇心、それとファイア!情熱だ。
とにかく続けろ。だれだって初めから得意で好きな人間はいないんだぜ。チャリンコに乗れるようになるのといっしょだろ、ただひたすら公園で練習して慣れるのさ。そしたらいつか高速道路でバイクだって乗り回せる。
頭と体と目と手を『おつよん』のテキストや問題に今日から30分ずつでもいいから日々さらせ」
捨てゼリフみたいにそう告げて、彼は部室を出ていこうとした。
「いいか、インカ…おまえの理科アレルギーにつける薬は、これだけだ」
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