うつ病は甘えなの?

楪 彩郁

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2015/11/20 仕事を辞める決断

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 2015年11月20日。

 半分の量になったリフレックス錠を服用し続けたが、やはり眠気と倦怠感が強い。その日は寝坊し、初めて仕事に遅刻してしまった。不眠症になってからは睡眠時間が減っていたので、熟睡できること自体はいいのだが、これでは自分の生活をコントロールできない。それから次に病院に行くまでの間、私は寝坊が怖くなってしまい、薬の服用を止めてしまった。

 これは後から先生に言われたことなのだが、抗うつ薬は「自分の判断で勝手に服用を止めてはいけない」のだ。薬の血中濃度が低くなると、『離脱症状』といって、薬が身体に入ってこないせいで逆に副作用が起こる。当時の私はそれを知らず、体調が優れないまま、一週間以上を過ごすことになった。

 しかし、前述したとおり、勤務時間が減ったことで業務が滞り、その分を他のスタッフが手伝うことになっていた。男性ばかりの職場で、女性は私と事務員の女性のみ。今までと同じ仕事量をこなせない私に、事情を知っている同僚からは「病気だっていうのは分かるけど、そっちが時間内ちゃんとやってくれないと、こっちにしわ寄せがくるんだよね」と文句を言われた。悔しくて、泣きそうだった。

 確かに、仕事は仕事なのだから、やり遂げるのが社会人だ。それが会社のルールだ。彼の言っていることは正しい。私は何も言い返すことができず、上司に相談することもできず、退勤するときに、終わっていない仕事を持ち帰るようになった。(もちろん、社外秘のものは持ち出していないが)

 帰ってから、残りの仕事を終わらせる。そうすると、仕事をしていた時間は今までと変わらない。夜だけはただ、職場から自宅に移動しただけだ。薬も飲んでいないから、体調はよくならない。そうして、疲労とストレスが溜まり続けた。

 2015年11月25~27日あたり。日記が途切れている。

 何に落ち込んでいたのかは、はっきり覚えていない。毎日、誰かに気を遣わせ、誰かには文句を言われ、訳が分からなくなっていた。とにかく、仕事帰りの車の中で号泣しながら、なんとかアパートへと辿り着いた私は、そのまま過呼吸になった。息が苦しくて、涙がボロボロ出るのに、誰も助けてくれない。ハンカチで口と鼻を押さえ、床の上に寝転がる。その後、夜中に目が覚めるまで私は床の上で気を失っていた。

 そして、仕事を辞めることをようやく決断した。
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