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第4章:ふたりの想い、消えゆく笑顔
133話
しおりを挟む龍司と出会った頃は、4人の中で最も戦闘能力が高かったゼロに比べると戦闘スキルはやや劣っていたのだが、訓練のおかげもあってか今ではゼロに負けず劣らずの力を習得出来たのだ。
特別背丈も体格も良いとは言えないが、小柄な分2人よりも小回りも利くし、何よりルカだけが持つ俊敏な動きと磨かれた戦闘スキルは4人の中では随一である。
外国人形のような綺麗な容姿を持つルカだが、侮ってはいけない。
見た目に騙されてはいけないとはこの事だ。
これまでどのくらい多くの人間が、ルカに返り討ちにあったか…数が多すぎて覚えていられない程である。
アキの問いかけに、ルカの部下の人間を思い出しながら誰が適正かと考えるも今後顧客になるかもしれないクライアントだ。
ルカの部下として訓練は受けているが、ルカと比べれば力は足りない。
まだ半人前の人間を護衛に付ける訳にはいかない。
「明日の仕事で護衛に付けるのは…アキ。お前が行けるか?」
明日はアキの仕事量はそこまで多くなかったはずだ。13時から10時間の護衛であれば問題なくできるだろう。
秘書となったアキの腕は今でもかなり高く、安心して任せられる。
『私…ですか…?はい、特に問題はございません。…ではクライアント様に連絡を取り、打ち合わせの件を話させてもらいます。時間が分かり次第、またご連絡いたします。』
「あぁ、わかった。」
龍司は電話を切ると楽しそうに会話を弾ませている湊とルカの所に近づく。
龍司に気づいた湊が小走りで近寄ってくれば、いくつか高い位置にある龍司の顔を見上げてきた。
「電話もう終わった?」
「あぁ、長くなって悪い。仕事の依頼が入って…その連絡だった。」
駆け寄ってきた湊の頭を撫でながら言えば、嬉しそうに笑顔を浮かべる湊に愛しさが込みあげてくる。
「龍司は行かなくても大丈夫なの?」
「夕方に少し打ち合わせが入ったが、それまで時間はある。…気にするな。」
「…社長。仕事というのはいつもの護衛ですか?」
少し離れた場所にいたルカがゆっくり歩いてくれば龍司に尋ねる。
「護衛なのであれば自分が――っ…!」
「お前には、湊の護衛という大切な任務があるだろう。…大丈夫だ。こっちの護衛はアキに任せた。」
「アキに?そうですか…かしこまりました。」
アキの名前に一瞬驚いた表情を浮かべるも、すぐに安心したような表情を龍司に向けた。
ルカにとってアキとゼロ、そしてセリは孤児院からずっと一緒だったかけがえのない大切な仲間でもあり、家族でもある。その強さはルカが1番知っていた。
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