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「凄いなイツキ。アイツあれでもSランク最上位の男なのに…」

そう言うと、僕をギュッとしてから背中を撫で始めた。

「ちょっと落ち着いて聞いてね。実は黙ってたんだけど昨日、迷惑にもウールドの奴が家に押し掛けてきて無理矢理泊まっていったんだよ。一応イツキが怖がるから、気配は消すように言ってあるし、イツキに姿は絶対に見せるなって厳命してあるんだけどね」
「まだ帰って…ない?」
「うん。今は私にも居場所が分からないけど、まだ家の中のどこかに居る筈だよ。ちなみに今アイツが何処に居るのかイツキには分かる?」

言われて僕はビクビクしながら目を閉じ、違和感のある場所を探し始めた。
怖くてしばらくあちこちの気配を探っていると、空気が違うみたいな感じの、妙な場所を1か所だけ見つける事が出来た。

………居る!
たぶんあそこだ。

僕は目を開きアヤさんに向かって頷いてみせると、アヤさんは黒い笑顔で『どこ?』と声に出さずに聞いてきた。

『冷蔵庫の前』

僕も真似して声にせず答えると、アヤさんは間髪入れずに無限収納アイテムボックスから取り出した短剣を冷蔵庫に向かって投げ付けた。

「うわっ!何すんだ、いきなり!」

急に声がして見ると、冷蔵庫の前で短剣が空中に浮いていた。

「凄いよイツキ!でも無傷か、チッ惜しかったな…」

アヤさんが残念そうに舌打ちして呟くと、何も居ない筈の冷蔵庫前の空間が蜃気楼のように揺らめいて、昨日見たデカい細マッチョおじさんが短剣の刃を指2本で挟んだ状態で現れた。

「何で分かったんだ?俺の【隠密】と【隠蔽】はレベル10テンだぞ。完璧だった筈だろ?」
「フフン!この子が探してくれたんだよ、凄いだろう」

胸を張るアヤさんに、ヒシッとしがみ付いて僕が怯えていると、ウールドは肩をすくめて溜め息を吐いた。

「内緒にしとけよ。俺の居場所が分かるような能力あんのバレたらソイツ、とっ捕まって大変な事になるぜ?」

???
大変な事!?

意味が分からなくて思わず震えながらアヤさんを見ると、アヤさんは「大丈夫、大丈夫」と背中を撫でてくれた。

「イツキのステータスは私が完璧に隠蔽してるし、何処へ行くにも必ず外出の際はもれなく私が付いてくるから、心配しなくても平気だからね」

過保護を通り越して軽くストーカー宣言された事にも気付かず、僕が「ありがとうございます」と嬉しそうに頭を下げていると、ウールドはそれを微妙な顔で見詰めていた。

「お前それ、保護者お母さんのレベル超えてるだろう?やり過ぎだぞ、バカが…」
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