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  Blue Moon 15

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「え……」

「あの時のあなたの笑顔と優しさが忘れられなくて、会いたくてたまらなくて……、どうにか話すきっかけが欲しくて、あのバルガーでプリンを買いに行ってたんだ。学校と学校に内緒のアルバイトがあったから、時間が作れたらずっと」

「嘘!?」

 ああ、だけど。朱羽はあたしにわざわざバルガーのプリンを買ってきてくれた。あたしひと言も、そこのプリンが好きだとは言っていなかったのに。

「本当だよ、これでもかとプリン買ってきた」
 
 まるで記憶がない。

 というか、あの頃……コンビニでの仕事は、細やかなところが曖昧なのだ。ただプリンと店長の思い出だけはあるけれど、時間帯によってはかなり客が来ていて、ひとりひとり見ていられなかった。

 それとあの頃、やたら眠くてぼんやりとしていて記憶があまりないのも事実。もしかすると記憶が薄い高校三年の終わりから、結城と出会う大学二年までの間は、催眠療法が効きすぎていたのかもしれない。……満月の発作以外は。

「あなたは毎日ずっとバイトをしていたわけではなく、不定期だっただろう? 待ち伏することも出来ないほど、毎回変な時間帯で」

「あ、うん。店長が忙しい時間帯に入れてくるから」

「だろうな。俺が行くときいつも混んでいるし、目が合ってもリアクションがないから、さすがに俺もあなたに覚えられてないとわかったんだけれど、なんて話しかけていいのかわからなくて。で、ある夜、本当に偶然にばったりあなたに会ったんだけれど、あなたは大学の飲み会かなにかで、大人っぽい男性と女性と笑いながら歩いて、俺の横を通り過ぎたんだ」

「そんなことが……」

 あたしは想像する。

 朱羽が昔慕っていたあたしが、彼に気づかず通過する場面を。
 朱羽が向けようとした笑顔が曇っていく瞬間を。

「あったんだ。俺悔しくて。どうしていいかわからない自分の不甲斐なさに泣けてきて。それで、俺を覚えて貰えないのは、俺が子供すぎるからだと思ったんだ」

 朱羽はあたしの手を弄った。

「もう少しの誕生日で15歳になる。丁度学校で、昔は15歳で元服して大人の仲間入りをしたと聞いたから、それを支えに俺、あなたが一緒に歩いていた大学生のように髪を金髪に染め、精一杯背伸びして告白しようと思った。告白がうまくいかなかったとしても、俺を覚えて貰えると。覚えて貰えたら、後は俺がもっと大人になって、あなたが振り向くまで頑張り続ければいい」

「……っ」

「あなたのそのキラキラと輝く瞳に俺を映して、俺をひとりの男として愛して貰いたかった。そんな一大決心をして誕生日にコンビニに行ったら、あなたは居なかった。……辞めたと聞いた。あなたの名前も住所も教えてくれなくて」

――香月くん、今何歳ですか?

――おととい15歳になった……。

 ああ、そうだ。
 あの満月の数日前に、あたしはコンビニを辞めたんだ。

「だけど諦めきれずに、毎日バルガーに通っていたら、あなたが現われた。どんなに嬉しかったか。やっぱり辞めてなかったと」

 辞めたのに店長から応援を頼まれ、あの満月の日限定で仕事をしたんだ。

「髪をまた金髪に染めた。薬局で売ってる後で洗い落とせるような、一時的な染色だ。染めるのは校則で禁じられていたから」

 あたしは、朱羽と寝た朝、朱羽の枕が凄いことになっていたことを思い出す。彼が黒髪だと初めて知った。

 朱羽の目が優しく細められた。

「九年前のあの満月の夜――、あなたを追っていた俺はあなたに声をかけられて、幸せすぎて死にたくなるくらい嬉しかったんだ。あなたは黒歴史であったとしても」

「……っ」

「だけど告白の前に、告白すらしていないのに、そういうことをしてもいいのか、それで躊躇したよ」

「え、チサという別の女の子が好きだったからじゃ? あたしをチサの代用で経験しようとしたんでしょう? だからあんなにチサが好きだって、すごくチサチサ言ってたじゃない」

 朱羽はあたしの額にデコピンを食らわせてくる。

「いったぁぁぁ」

「あなたが自分をチサと言ったんじゃないか。だから俺、あなたの名前を知れたのが嬉しくて、あなたが本当にチサだと思って何度も呼んだのに。好きだと言ったのに。覚えてない?」

――好きだよ、チサ。

「あれ、あたし?」

「そう、陽菜に向けていた。あの時言っていた言葉は、拙かったかもしれないけれど、15歳なりに真剣だった。本気に陽菜が可愛いと思ったし、あなたを愛おしいと思って抱いていた。伝えていたつもりだったんだけれどね」

「……っ、だけど、次の日に告白するとかあたしに言ったじゃない」

――俺……、明日頑張って告白してみようかな、ずっと好きだったって。

「寝て起きたら、あなたに告白する気だったんだよ、俺は。俺初めてだったから不安で、だからあなたに聞いたら、大丈夫だっていうから。俺……」

 あたしを……、満月のあたしを15歳の時から愛おしいと思ってくれていたの? あんなに乱れて、朱羽を食らった動物じみた女を初めて抱いて。

 本当にこのひとは、満月のあたしを受容してくれる――。

 そう思ったら、胸が熱くてたまらなかった。

 感動なのか喜悦なのかわからない、灼熱の朱羽への想いが溢れて、胸を内から焦し溶かし尽くそうとしている。
 
「俺本当に世間知らずの子供だったから、そういう行為で俺を必死に求めてくれるあなたを勘違いして、あなたも俺のことを好きなんだと思ってしまった。両想いになったのだと。それであなたに大丈夫だと言われて、俺達は身体が先だったけれど、恋愛でも結ばれて、身も心も恋人になったんだと浮かれてたんだ」

 美しく妖艶だった、15歳の朱羽。

 あの時初めて会った成人男性だと勝手に思い込んで、最初から一夜限りと割り切り、朱羽が中学生だとわかって逃げた。

「目が覚めたら、お金が置いてあるだけであなたがいない。それで俺は初めて、あなたにとってはもう二度と会う気はない、遊びだったんだと理解した。中学生でもさすがにね」

「ご、ごめん……」

 朱羽はあたしの頬を優しく手で撫でた。

「俺、あなたに捨てられたと思って、凄く泣いた。全力であなたを愛した俺にとって、ヤリ捨てというのはとてもキツすぎて現実を認めたくなかった」

「……っ」

 罪悪感に言葉が出てこない。

「このままあなたとの縁が切れたくない、繋がりたいと思うあまり……あの後、あの髪の色でバルガーに行ったけれど、その日からあなたを見なかった。あのコンビニしか俺はあなたのことがわからない。あまりにしつこく俺が行くから店長が困って、あなたの大学名と、チサというのはバイトに居ないとだけ教えてくれたんだ。あなたの本当の名前もどこに住んでいるかも教えてくれなかった」

「………」

「……制服を着たまま、大学にも行った。行って思い知らされた。中学生の俺とは世界が違ったから。そう思ったら、あなたを好きであなたを抱いた現実がとっても汚く儚く思えた。俺が抱いたあなたは、あなたが名乗ったチサでもなかった。俺を信じて認めてくれる存在は元からいなかったのだと」

「ごめん、本当にごめん」

 言葉とは裏腹に、朱羽は優しく微笑んでいた。

「その頃家の関係でもストレスがたまって、心臓も悪くしたり、少し荒んだ時期もあったけれど、ある時アメリカで、あなたの大学のHPにあなたが映った画像を見た」

 あたし、HPに載っていたんだ。

 ……ねぇ、傷ついてもあたしの大学をネットで見ていてくれたの?
 
「あなたは現実に存在すると思い知らされたようで、もう一度日本であなたに会いたくなった。そのために早く大人になりたくて仕方が無かった」

「……っ」

「渉さんに頼んでようやくあなたを見つけて、シークレットムーンの上階に居ても、俺が窓から見下ろした先にあなたは居るのに、あなたの隣には結城さんが居た。……あなたの恋人だと思った」

 朱羽は重い口調で言った。

「だから俺がシークレットムーンに来た時、あなたが俺のことなんて忘れて、俺としたみたいな、あなたからの愛を錯覚するようなことを結城さんや他の男としているだろうと思ったら腹立たしくて、あなたに対して嫌な態度をとった。……ごめん」

 朱羽は額をあたしの額にコツンとぶつけて、弱々しく謝る。

 確かに、最初から朱羽は挑発的だった。恨まれていると思ったほどに。

「本当はまた会えて嬉しかったんだ。フルネームを言ったのは、九年前にあなたが俺の写真を見ていたのが、散らばったままの状態からわかっていたから。たとえあなたが今まで忘れていたとしても、覚えて貰えていない昔とは違って、九年前を思い出すほどにはあなたの心に俺が居た――だから、もう逃がさないと思った」

 鉄仮面で冷ややかで、だけどあたしを惑わせた有能な上司。
 あたしが困っているときは必ず手を差し伸べ、ひっぱりあげてくれた。

 好き。
 朱羽が本当に好き。

 朱羽への想いが大きすぎて、抱えるのが苦しくて、涙が溢れてくる。

 朱羽はくっつけていた額を静かに離し、至近距離からあたしの顔をやるせなさそうに見つめながら、指で涙を拭ってくれた。

 視線が絡む。

「今度こそ、あなたを捕まえたい。俺に捕まって欲しい」

 しっとりと濡れた茶色い瞳が、滾るような強さをもった。


「――あなたが好きだ」


 一瞬で周りからすべての音が消え、心臓がどくどくと忙しく拍動する音を耳の奥で感じた。


「今もずっと。……いや、昔よりずっと」
 

 心が奮え、手が小刻みに震撼する。
 丸めたその手を上からぎゅっと朱羽は握った。


「陽菜」


 こんなにドキドキして身体が熱いのに、朱羽の目から視線を外せない。

「あなたとの年の差が三歳に縮まったこの日に、俺は言いたかった。俺はあなたの年に追いついたり追い越したりすることは出来ないけれど、この先同じ年数を過ごして行くことは出来る」

 握ったままの手を持ち上げ、丸めたままのあたしの指に口づける。


「あなたが好きだ、陽菜」


 僅かに震えたその声は、いつも余裕であたしを振り回していた彼とは違い、どこかあたしに請うような切迫感があって。


「俺の恋人になって欲しい。俺の横で笑っていて欲しい」


「あたし……朱羽を傷つけたよ?」

 ぽろぽろと落ちる涙が止まらない。

「それでもあなたがいい」

「あたし、身も心も綺麗じゃないよ?」

「綺麗だよ、俺が保証するから」

 涙を指で拭ってくれる朱羽の微笑みは、とても美しくて。

 体中から、"好き"が溢れる。

「あたし、いじっぱりだよ?」

「はは……。お互い様だ」

「あたし……」

「次はなに? いいよ、言ってご覧」


「あたし、朱羽が好きなの」

 朱羽の指が、あたしの頬の上で止まる。


「年下とか子供とかじゃなく、男として朱羽が好き。好きでたまらない」

 驚いた美麗な顔がある。

「好きなの。好きだから、触れて貰いたいの。好きだから……あたし、ブルームーンを朱羽と過ごしたい、の……っ」

 その顔が苦しげに歪んだ。

 伝われ。
 朱羽の気持ちがあたしの心を奮わせたように、あたしの気持ちも朱羽の心に届け。

「好き……っ」

「陽、菜……」

 朱羽がぎゅっとあたしを抱きしめてくる。苦しいほどに。

「本当に? 本当に?」

 あたしの背中に回った朱羽の手が震えていた。

「俺、勘違いじゃなくて本気にするよ? あなたを俺の恋人だって、渉さんや沙紀さんにも言うよ? それでもいいの?」

「うん!」

「結城さんや真下さんにも言えるの?」

「もうふたりは、あたしが朱羽のことを好きだってわかってる。宮坂専務も、沙紀さんも……」

「……なんだよ、俺だけか、知らないの」

 拗ねる朱羽が可愛くて。

「知っていたと思うよ、朱羽は。あたし朱羽には気持ちを隠さなかったから。好きで好きでたまらないという顔をしていたはずだから」

「……ふふ、そうだね。ああ……陽菜」

「ん?」

「――俺、凄く幸せで泣きそうなんだけど。こういうの夢に見てはいたけれど、だけど本当にきたら……本気に泣きそう」

 朱羽の涙混じりの声が愛おしくてたまらない。

「あたしもう泣いてるよ?」

「はは」

「ふふふ」

 笑い合うのも、幸せで。

「……今夜はあたし朱羽にそれを言いたかったの。朱羽がどう想ってくれているんだろうとかが考えられないほど、あたしが朱羽が好きだから、聞いて貰おうと。……初めてなの、男のひとに自分の気持ちを告白するのって。告白だけじゃないね、こんなに男のひとを好きになったことも。……あたしのハジメテを、朱羽にあげる」

「そんなこと言われたら、俺幸せで倒れるよ」

「倒れちゃ駄目。だって最後まで抱いてくれるんでしょう?」

「っ!! あなたはなんで、そんなこと……っ」

「好きだよ、朱羽。本当に好きなの、切なくなるくらい」

「俺の方が好きだよ」

「あたしの方が好き」

 そして同時にあたし達は笑った。


「――俺の方が、愛してる」


 身体がカッと熱くなった時、がさがさと音がして、首筋が対照的にひんやりとした。
 

「え……?」

 あたしの首に、なにかが下がっている。

 朱羽の身体が離れ、それを指で掬うようにしてよく見てみると、銀色の三日月の横に大きめのダイヤが5つもついている……ペンダントトップのネックレス。

「うん。似合うよ」

 端麗な顔は本当に満足そうで。……幸せそうで。

「え、なに?」

「あなたに俺の想いが届いたら、なにかプレゼントしたかったんだ。本当は指輪にしたかったけれど、最初からは重いかなと思って」

「ちょっと待って。これプラチナとダイヤだよね? こんな高価なもの……」

「いいんだよ、いつでもあなたを繋いでいたいという独占欲の象徴だから」

「でも、今日は朱羽の誕生日なのに、あたしが貰ったら……」

「俺があげたかったの。素直に貰うのも、俺の誕生日プレゼントだよ」

「……わかった。ありがとう」

「どういたしまして」

 うう……。

 このひとの笑顔に、胸が苦しいほどきゅんとしてしまう。

 眩しいほどくらくらするのは、この照明のせいだけではないはずだ。

「陽菜、好きだよ」

「……っ」

「夜通し伝えるから。あなたの身体全体で感じて」

「うん。……朱羽も感じてね。それと多分満月のせいじゃなくても、すごくあたしの身体も感じやすくなってると思う。だけど今夜は……やめないでね」

「………」

「………」

「……ああ、くそっ。結局俺の負けかよ」

 朱羽は手伸ばして、マティーニを呷り、あたしは火照りを抑えたいためにブルームーンを口にする。
 
 マティーニが三分の一くらいになった。

「マティーニ大丈夫? お酒強いの?」

「どうだろう。酒豪の渉さんに鍛えられたから、普通の男よりは弱くはないと思うけれど」

「ああ……専務は、社長に鍛えられてそうだよね。社長はお酒強いけど、衣里に潰されたから衣里が一番だ」

「凄いね、今度渉さんと飲ませてみたい」

 朱羽が持つカクテルが美味しそうに見えて、ちょっとねだってみた。

「あたしも味見していい? 朱羽が美味しそうに飲むから」

 朱羽は目を細めて笑いながら、優雅な仕草さでまたマティーニを飲んだ。

 その後をくれるのかと思い手を伸ばしたら、その手をぐいと引かれ腰をもっと近くに引き寄せられた。

 あたしがねだったマティーニはテーブルに置かれ、あたしの顎を手で摘まみ上げた朱羽は、上から艶めいた目を落としてきながら、口に含んだままだったらしいマティーニを、あたしの口の中に移してきた。

「んん……」

 熱い唇から流れ込む冷たい液体は、熱を帯びて。

 舌先が感じるマティーニの痺れるような強い味が、朱羽の唇の甘さに柔和され、どこまでも甘美なものとしてあたしの体内に浸透し、全身の細胞が奮え体が熱くなる。

 熱い液体をこくりと嚥下する際に、あたしの口端から流れた滴を朱羽の舌が舐め取りながら、あたしの口腔内を攪拌するかのようにねっとりと朱羽の舌が忍んできて、マティーニに入っていたオリーブが入ってくる。

「ぅんん……っ」

 だがそれを朱羽の舌に奪われ、気づいたらオリーブを取り合うように舌を絡ませあっている。

 しめやかになされる蜜事は、甘い吐息と淫靡な水音を奏でる。

 朱羽と心が通じた後のキスはいつも以上に情熱的で、顔にかかる朱羽の熱い吐息が、あたしが呑み込んだマティーニの匂いを放ち、朱羽自身の甘い匂いと溶け合いながら、官能的な香りを放つ。
 
 吐き出る息が、甘くてたまらない。

 心地よい微熱とこのムードにまどろむようになりながら、あたしの身体をすべて朱羽に預けるようにして、濃厚なキスに酔い痴れる。

 もっと、もっと。朱羽の熱を溶かして注ぎ込んで貰いたい。

 朱羽の熱で溶け合いたい――。

 朱羽の熱を感じたくて、朱羽の首に両手を回せば、朱羽の両手があたしの背中を撫で、首元にあるワンピースのチャックを引き下ろし、直の背中を撫でてくる。

 ワンピに線が出てしまうから、キャミを着てこなかったのだ。

 あたしの身体が持ち上げられ、朱羽の膝の上に後ろ向きに乗せられた。

 背中のチャックを腰まで下げられて、背中を朱羽の熱い唇と唾液で濡れた舌で愛撫される。

「ぁああ……」

 あたしの口の中のオリーブが転げ落ちそうになり、慌てて食べた。

 朱羽の片手が、背中から肌を撫でるようにして前に回る。

 ワンピの中で、もぞもぞと動く手は、ブラの上から強く乳房を揉み込んで。もう片方の手はスカートの中から内股をまさぐる。

 まだ弱いところに直で触れられていないのに、身体がびくびくして止らない。

「朱羽、駄目、ねぇあたし感度があがってるの、だから駄目っ」

 朱羽の熱を直に感じた肌は、それ以上の熱を求めている。

「……部屋に行こうか、陽菜。あなたを愛したくてたまらない」

「……っ」

「それと、そのカクテル、ブルームーンだけれど」

 朱羽は背中に頬をすりすりしながら言った。

「そのバイオレットリキュールのパルフェタムールって、フランスのものでさ。フランス語でパルフェは"完全な"、タムールは"愛"で、"完全な愛"という意味があるんだ」

「そうな……んんっ、ねぇ、チャック上げてよ」

 朱羽が背中に、キスマークをつけているようだ。

「だからブルームーンは、断りのカクテルであると同時に、完全な愛とか、幸福な瞬間という意味がある。……行こうか、部屋に。愛を完成させて、一緒に幸せを感じよう?」

 チャックを上に上げ、朱羽はあたしの耳元に熱い吐息混じりに囁いた。


 
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