45 / 84
日曜のランチタイムで過ごすひと時は
1
しおりを挟む
昨日は香と電話で話した後も宿題を片付けた後はやることも無く悶々と過ごした。
開けて日曜日。今日はどう過ごそうかと想い外を見ると雨は上がっていたものの曇り空。晴れていたら香でも誘って遊びに行こうかとも思ったが、なんだかそんな気も起きない。
ボーッとしながらコーヒーを飲みトーストを頬張るとスマホのバイブ音がなる。見ると仕事へ出ていた母からのメッセージだった、内容は、【ごめん、ハンコがいるんだけど忘れちゃったの、届けに来てくれない?】というもの。
一瞬面倒くさいなとは想った。が、仕事をしながら私達姉弟を育ててくれているのだ。感謝しなきゃなと思い直し職場の病院に向かうことにした。
母が勤めている月ヶ瀬総合病院は市の中心から少し離れた立地にある。往復だと結構な距離だ。
でも気分が沈んでいる今なら寧ろ外の空気を吸いながら身体を動かした方が気分転換になるかもしれない。そう想い散歩がてら徒歩で向かうことにした。
今日は日曜日なので正面玄関は空いていない。裏口に回った。時間は十一時三十分頃。扉前に少し苦笑いしながら待ちわびた様子の母の姿が目に入ってくる。
「ほら、持ってきたよ。もう、気をつけてよね」
私は渋った顔をしながらハンコを渡す。すると母は、
「ごめんごめん。ありがとうね、お昼まだでしょ、みつるにも何か買っていってあげて」と言って二千円くれた。
今日は豪華なお昼に出来そうだ。いや、みつるにはハンバーガーでも買っていって私は残り総取りにすることも……。途端に機嫌を良くした私は受け取りながら、
「ふふん。ありがとう。また何か忘れ物があったらいつでも言ってね」と答える。
「全くこの娘は現金なんだから。誰に似たのかしら」
「カエルの子はカエルってことでしょ」
「もう、減らず口ばかりね」母はそういいながら時計を見ると「あら、いけない。私もお昼にしなきゃ、気をつけて帰るのよ」と言って行ってしまった。
一人になった私はさて、どうしよう。
お金もあるしとりあえず駅の方まで行ってみようかと思っていると、
「あら、東雲さんじゃない。妙なところで会うわね」
後ろから声をかけられる。
母の同僚に知り合いもいるのだが、そういった人たちのものではない。でも、その声には聞き覚えがあった。
「滝田さん、偶然ですね」
驚いて振り返るとそこには品川刑事を従えた滝田刑事が立って
開けて日曜日。今日はどう過ごそうかと想い外を見ると雨は上がっていたものの曇り空。晴れていたら香でも誘って遊びに行こうかとも思ったが、なんだかそんな気も起きない。
ボーッとしながらコーヒーを飲みトーストを頬張るとスマホのバイブ音がなる。見ると仕事へ出ていた母からのメッセージだった、内容は、【ごめん、ハンコがいるんだけど忘れちゃったの、届けに来てくれない?】というもの。
一瞬面倒くさいなとは想った。が、仕事をしながら私達姉弟を育ててくれているのだ。感謝しなきゃなと思い直し職場の病院に向かうことにした。
母が勤めている月ヶ瀬総合病院は市の中心から少し離れた立地にある。往復だと結構な距離だ。
でも気分が沈んでいる今なら寧ろ外の空気を吸いながら身体を動かした方が気分転換になるかもしれない。そう想い散歩がてら徒歩で向かうことにした。
今日は日曜日なので正面玄関は空いていない。裏口に回った。時間は十一時三十分頃。扉前に少し苦笑いしながら待ちわびた様子の母の姿が目に入ってくる。
「ほら、持ってきたよ。もう、気をつけてよね」
私は渋った顔をしながらハンコを渡す。すると母は、
「ごめんごめん。ありがとうね、お昼まだでしょ、みつるにも何か買っていってあげて」と言って二千円くれた。
今日は豪華なお昼に出来そうだ。いや、みつるにはハンバーガーでも買っていって私は残り総取りにすることも……。途端に機嫌を良くした私は受け取りながら、
「ふふん。ありがとう。また何か忘れ物があったらいつでも言ってね」と答える。
「全くこの娘は現金なんだから。誰に似たのかしら」
「カエルの子はカエルってことでしょ」
「もう、減らず口ばかりね」母はそういいながら時計を見ると「あら、いけない。私もお昼にしなきゃ、気をつけて帰るのよ」と言って行ってしまった。
一人になった私はさて、どうしよう。
お金もあるしとりあえず駅の方まで行ってみようかと思っていると、
「あら、東雲さんじゃない。妙なところで会うわね」
後ろから声をかけられる。
母の同僚に知り合いもいるのだが、そういった人たちのものではない。でも、その声には聞き覚えがあった。
「滝田さん、偶然ですね」
驚いて振り返るとそこには品川刑事を従えた滝田刑事が立って
0
お気に入りに追加
15
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
膀胱を虐められる男の子の話
煬帝
BL
常におしがま膀胱プレイ
男に監禁されアブノーマルなプレイにどんどんハマっていってしまうノーマルゲイの男の子の話
膀胱責め.尿道責め.おしっこ我慢.調教.SM.拘束.お仕置き.主従.首輪.軟禁(監禁含む)
特殊捜査官・天城宿禰の事件簿~乙女の告発
斑鳩陽菜
ミステリー
K県警捜査一課特殊捜査室――、そこにたった一人だけ特殊捜査官の肩書をもつ男、天城宿禰が在籍している。
遺留品や現場にある物が残留思念を読み取り、犯人を導くという。
そんな県警管轄内で、美術評論家が何者かに殺害された。
遺体の周りには、大量のガラス片が飛散。
臨場した天城は、さっそく残留思念を読み取るのだが――。
密室島の輪舞曲
葉羽
ミステリー
夏休み、天才高校生の神藤葉羽は幼なじみの望月彩由美とともに、離島にある古い洋館「月影館」を訪れる。その洋館で連続して起きる不可解な密室殺人事件。被害者たちは、内側から完全に施錠された部屋で首吊り死体として発見される。しかし、葉羽は死体の状況に違和感を覚えていた。
洋館には、著名な実業家や学者たち12名が宿泊しており、彼らは謎めいた「月影会」というグループに所属していた。彼らの間で次々と起こる密室殺人。不可解な現象と怪奇的な出来事が重なり、洋館は恐怖の渦に包まれていく。
伏線回収の夏
影山姫子
ミステリー
ある年の夏。俺は十五年ぶりに栃木県日光市にある古い屋敷を訪れた。某大学の芸術学部でクラスメイトだった岡滝利奈の招きだった。かつての同級生の不審死。消えた犯人。屋敷のアトリエにナイフで刻まれた無数のXの傷。利奈はそのなぞを、ミステリー作家であるこの俺に推理してほしいというのだ。俺、利奈、桐山優也、十文字省吾、新山亜沙美、須藤真利亜の六人は、大学時代にこの屋敷で共に芸術の創作に打ち込んだ仲間だった。グループの中に犯人はいるのか? 俺の脳裏によみがえる青春時代の熱気、裏切り、そして別れ。懐かしくも苦い思い出をたどりながら事件の真相に近づく俺に、衝撃のラストが待ち受けていた。
《あなたはすべての伏線を回収することができますか?》
声の響く洋館
葉羽
ミステリー
神藤葉羽と望月彩由美は、友人の失踪をきっかけに不気味な洋館を訪れる。そこで彼らは、過去の住人たちの声を聞き、その悲劇に導かれる。失踪した友人たちの影を追い、葉羽と彩由美は声の正体を探りながら、過去の未練に囚われた人々の思いを解放するための儀式を行うことを決意する。
彼らは古びた日記を手掛かりに、恐れや不安を乗り越えながら、解放の儀式を成功させる。過去の住人たちが解放される中で、葉羽と彩由美は自らの成長を実感し、新たな未来へと歩み出す。物語は、過去の悲劇を乗り越え、希望に満ちた未来を切り開く二人の姿を描く。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる