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休日の朝方にモーニングコールで起こしてきたのは

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「図書室の鍵を持っててくれたのは四時頃だったんだよね」
『ああ、そうそう。確かにそうだった。一階に行くついでに持って行ってくれるって言ってたからてっきり帰ってるのかとは思ったんだけどね』
 香としても彼女がまだ校内に残っていたのは少し意外に思ったようだ。
「彼女鞄はもってたの?」
『んと、どうかな。はっきりは覚えてないけど、手ぶらだった気がする』
 確か彼女の鞄は保健室に置いてあったという話だった。という事は四時から四時半の間は保健室にいたのかもしれない。
「で、他のみんなは何時まで家政科室にいたの?」
『結局、五時二十分頃だったと想う』
「五時半前か。そりゃ随分長く居たんだね」
 試食会変わりにクレープを焼いてみたというには遅い時間まで残っていたもんだ。
『結局お喋りしながらダラダラ過ごしちゃったし、お腹空かせた運動部の連中なんかも合流したもんだから、際限ない感じだったのよ』
 気持ちは分からないでもない。授業以外にみんなで集まってワイワイやるというのが楽しいだろう。
『そうか、じゃあ随分参加者がいたんだね。ひょっとして日奈達も来たりしてた?』
『日奈はいなかったね。でも、しょう子は私が見つけて無理やり連れてったよ』
『おいおい、無理やりって穏やかじゃないね』
『あいつ甘いもん好きだって知ってたもん。初めは気まずそうにしてたけど、出されたものは美味しい美味しいって食べてたし。結局最後までいてさ、片付けなんかも手伝っていたよ』
『ふーん。やっぱり律儀で真面目なんだな』
『そりゃそうだよ。見た目を変えたってさ。そうそう性格まで変わらないって』
 実は浜野しょう子は香と同じ中学出身だったそうだ。しかも、三年間クラスが一緒で親しくつきあっていたらしい。香曰く、彼女は中学時代全く正反対なタイプだったそうだ。
 見た目は地味で静か。それに対して諸々想う所があったのかもしれない。
 中学卒業前、しょう子は香に【私、高校に行ったら今の自分を変えたいの。香ちゃんも協力して】と言ってきたという。結果、香も承諾した。のだが、
『まあ、そうは言うけどさ、自分を変えたいって思う気持ちは分からないでもないけどね、そういう行動ができるって大したもんじゃん』
『そりゃ、上手くいってればそれでいいかもしれないけどさ。結局失敗してるじゃん。それもツルんだ相手が下手打ったせいでしょ』
 そういう彼女の言葉には少しの怒気と後悔の念の様なものも見え隠れしていた。
『でも、そんな彼女が放っておけないんだろ』
 秋田日奈達が孤立した形になった。その中にはしょう子も含まれている。
 香はそんな中で旧友に折に触れて手を差し伸べようと想っている様だった。でも、しょう子も立場上それを素直に受け取れない。
『うん、まね。お節介だって思う?』
『思わないって。私だって同じ立場だったら気にするよ』
 実際、私はクラス委員長として彼女らと他のクラスメイトそしてエリナとの間を仲立ちしなければならない局面もある。だから、香の事も他人事ではない。
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