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白い部屋で目覚めた私は
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しおりを挟む勿論、想像はついていた。私の教室は三階だ。そして、その教室の窓から見えたあの影。
上から下に落ちる瞬間を私自身が見てしまっている。ということは少なくとも四階以上から落ちたことになる筈。
しかも地面に落下したその姿も目に焼き付いているのだ。
助かる見込みなどない。それでも、言葉で改めて聞かされた衝撃は強過ぎて返す言葉が見つから無かったのだ。
その沈黙を優斗君が破る。
「東雲さん、君も見たんだよね。その……地面に落ちているエリナの姿を」
やはり、彼も気になっていたのだろう。何故私が教室で倒れていたのか。恐らく、外で騒ぎが起きたので彼女が地面に倒れている所を目撃してショックを受けたと思っているのだ。それは、半分正しいが正確には違う。
「うん。それどころか、私、その。見ちゃったの。教室の窓の外をエリナが丁度飛び降りる所」
「え? じゃ、じゃあ、あなたが生きているあの娘を見た最後の人って事?」
私の言葉を聞いてしおり先生が声は驚きの声を上げる。
「ええ。多分、そういうことだと思います」
すると、そこに「あら、これはこれは中々興味深いことをお話されてますね。よろしければ詳しくお聞かせ願いませんか」
聞きなれぬ女性の声がふいに耳に飛び込んできた。
そちらに顔を向けると、保健室の中へ白いスーツとブラウス姿の小柄な女性が入って来たのが目に入る。
若いという程ではないが、それほど歳をとっているようにも見えない。更にその後ろには茶がかったスーツ姿の年配の男性が控えている。
「えっと……。どちらさま?」
想わぬ闖入者に戸惑いながら尋ねると、その後ろから知った顔が割って入ってくる事に気が付いた。それは我らが担任のフル先こと降矢先生だった。
彼はまず二人の闖入者に「ちょ、ちょっと。生徒に直接声をかける前にこちらに話を通してくださいよ」と声を掛ける。そしてに続けて私に顔を向けて言った。
「ああ、こちら警察の方だ。東雲、お前大丈夫か? 具合悪いんだろ」と心配気に顔を向けてくる。
その表情でそれを聞かれるのも三人目だ。
なんだか申し訳なくなってしまいながらも、私は、「いえ。大丈夫です。それより、先生も私を運んでくれたんですよね。ありがとうございました」と返事をした。
すると彼も「いやいや、問題なければいいんだ」と言った後「彼女は少し調子を悪くしてるようなんですよ。余り無理はさせたくないんですけど」と女性達向き直って話す。
「あら、そうなんですか。うーん、そうですね。なら明日改めてお話を聞かせて貰いましょうか」頬に手を当ててこちらに目を向けながら女性は年配の男性に顔を向けて言う。
状況が段々のみこめてきた。この人たちはエリナの件を調べにやって来た警察の刑事さんだ。
それで私の話が聞きたいのだろう。状況から見て彼女がああなる直前に接触したのは私という事になる。だから、警察が話を聞きたいといってきているのだ。恐らく拒否はできまい。
それでもフル先は私の様子を見て気を利かせて日延べさせることを提案したつもりなのだろう。
でも、冗談じゃない。明日はお休みの日。ただでさえ気が滅入る事が起きたというのに、せっかくの休みに警察と話をして潰すなんていうのは更に気が乗らない。
それに自分が知っている事なんて多寡が知れているのだ。どうせ話さなければならないなら、今日済ませた方が良い。
「いえ、お気遣いなく。知っている事ならお話します」
「あら、本当に? 嬉しいわ。ご協力感謝します。私、月ヶ瀬警察署刑事課の滝田です」
女性の方が先に名乗ると年配の男性も「品川です」と続けて頭を下げた。
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