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3話 ジスパ第二王子殿下 1

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 ジスパ・ウィクリフ第二王子殿下……年齢は私よりも6歳上の22歳だ。

 第一王子殿下のアルドー・ウィクリフ様と同等、若しくはそれ以上に国王陛下に近い存在と言われている人物だ。そんなお方がなぜ私を呼び出したのか……いえ、普通に考えると予想は出来るのだけれど。

 でも、やっぱり分からなかった。ボルドー様の一件だと思われるけど……王家の人間が、そんなに早くこの一件に絡むなんてことがあるだろうか? あったとしても、ボルドー様自らが出て来ると思うけど。

 まあ、深く考えても仕方ない。私は既にジスパ様のお部屋の前に立っているのだから……専属メイドのアリア共に。私は緊張しながら、目の前のドアを叩いた。

「入ってくれ」

「は、はい……! 失礼いたします……!」

 名乗る前に入室の許可が出た。ならば、入る他はないだろう。私はそのままドアを開け、入室する。


 窓付近に立っていたジスパ様を視線に捉え、私はロングスカートの先を持ちながら、挨拶をした。

「フリージア・イルハートと申します、ジスパ王子殿下……本日はお呼びいただき光栄でございます」

「いや、それはこちらのセリフだが……いや、まあ、来てくれたことに感謝する、フリージア嬢」

「いえ、とんでもないことでございます、ジスパ王子殿下」


 ボルドー様の一件があるから、王家にはあまり良い印象は持っていないけれど……それとこれとは別問題だ。ジスパ様の敬意の籠った言葉には相応の対応をしなければならない。彼が悪いわけじゃないのだから……。


「ジスパ様……本日お呼びいただきました、ご用件をお伺いしてもよろしいでしょうか?」

 あまり時間を掛けるのは得策ではない……まずは用件を聞くことが重要だ。私は最低限の挨拶を済ませると、早速、本題に入ることにした。

「用件……か。まあ、其方も分かっていることだとは思うが……」

「は、はい……」


 ジスパ様は真剣な表情になっていた。今まで、彼がこのような表情になったことを見たことはない。やはり、想像通りの用件だということか。

「弟のボルドーに関してのことだ……婚約破棄に遭ったそうだな?」

「それは……はい」


 私は正直に答える。専属メイドのアリアが何かを言いたそうにしていたけれど、それは止めることにした。まずは、相手の出方を伺う必要があるしね。


「我が弟である、ボルドーが貴公に大変な迷惑を掛けてしまった……このような謝罪などでは償えないのは分かっているが……申し訳なかった!」

「ジスパ様……?」


 ある意味では以外な発言と言えるのかもしれない……ジスパ第二王子殿下は、まったく王族としてのプライドを感じさせることなく、私に謝罪をしたのだ。それも深々と頭を下げながら……私は正直、どういう反応をして良いのか分からなかった。
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