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54話 マグロの解体 3
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「遠洋漁業用の船に乗せられたのですか……? マグロ様が……?」
「うむ、大型の魚を獲る為に派遣された大型船にはなるが……遠海には魔物も居るからな、屈強な冒険者も同乗しているとか」
「そうなんですね……」
シグレ様から私はマグロ様の処罰について聞かされていた。既に処罰は実行されているけれど、まさか遠洋漁業に2年間も放り出されるなんて……大丈夫なのかしら?
「遠洋漁業に2年間も……マグロ殿には少しだけ、同情しますね」
「ネルファ王女殿下」
「ええ、そうですね……遠洋漁業はこの国ではまだ盛んではありませんが、2年間も陸に戻って来れないとなると、色々とね」
「えっ、ルック兄さま……?」
ネルファ王女殿下の隣に立っているのはルック兄さまだ。言葉ではマグロ様に同情しているようだけれど、明らかに表情は逆だった。むしろ、笑っているまである。
「ルック兄さま、色々というのはどういったことが想定されるのでしょうか? やはり、魔物に襲われる可能性とか?」
「まあ、それは同乗している冒険者や迎撃装備があるから問題はないだろう。運悪く巻き込まれて死んでしまう、と言うことも考えられなくはないけれどね」
「ルック様が心配しているのは、もっと別のことよ。そうでしょう、ルック様?」
「はい、その通りでございます、ネルファ様」
二人は急に良い雰囲気を作っていた。すっかり恋人同士といった感じだ。
「ネルファやルック殿が心配しているのは……まあ、こういう場面で言うべきことではないな」
「そうですか、シグレ兄さま? レミーラもそろそろ大人になるべき時でしょうし、別に構わないのでは?」
「いや、大人になるとかならないとか……そういう種類のものではないだろう……」
シグレ様は口にするのを避けているような感じだ。私としても予想が出来ていないわけではないけれど……どうしようかしら、口に出した方が良いのかな。
「……つまり、マグロ様の貞操関係が危ない、ということですよね?」
「その通りね。同乗者の中に居るかどうかは分からないけれど、相手が女性ならまだしも……ねえ?」
「男性であった場合は……マグロ殿は解体されてしまうのだろうな。レミーラも夜中にあまり想像するんじゃないぞ?」
「しませんよ……!」
マグロ様がどういう目に遭うかなんて興味がないし、想像するなんてことはないはず。私達の会話を聞いて、シグレ様は頭を抱えている様子だった。
「とにかく、マグロ殿は処罰を受けるのだから、その処罰が滞りなく終了することを祈ろうじゃないか」
「そうですわね、シグレ兄さま。私はマグロ殿が2年後に一皮むけて戻ってくることを祈っております」
「私も祈っておきましょうか」
「で、では私も……」
みんなそれぞれ、マグロ様の無事を祈っているようだった。ネルファ王女殿下とルック兄さまは別の意味で祈っているだろうけどね……。
---------------------
【マグロ視点】
私は現在、大型船の中に居る……割り当てられた部屋は個室ではなく3人部屋だった。残りの二人は背の高い屈強な男だ。
「お前がマグロか? 変な名前だな……随分と色白だが、遠洋漁業に耐えられる体力はあるんだろうな?」
「へっへっへ、よろしくな」
「あ、ああ……よろしく……」
なぜか分からないが、私を舐めまわすように見ている気がする……いや、大丈夫だ。元公爵である私が酷い目に遭うなんて考えられない……きっと大丈夫だ。
「うむ、大型の魚を獲る為に派遣された大型船にはなるが……遠海には魔物も居るからな、屈強な冒険者も同乗しているとか」
「そうなんですね……」
シグレ様から私はマグロ様の処罰について聞かされていた。既に処罰は実行されているけれど、まさか遠洋漁業に2年間も放り出されるなんて……大丈夫なのかしら?
「遠洋漁業に2年間も……マグロ殿には少しだけ、同情しますね」
「ネルファ王女殿下」
「ええ、そうですね……遠洋漁業はこの国ではまだ盛んではありませんが、2年間も陸に戻って来れないとなると、色々とね」
「えっ、ルック兄さま……?」
ネルファ王女殿下の隣に立っているのはルック兄さまだ。言葉ではマグロ様に同情しているようだけれど、明らかに表情は逆だった。むしろ、笑っているまである。
「ルック兄さま、色々というのはどういったことが想定されるのでしょうか? やはり、魔物に襲われる可能性とか?」
「まあ、それは同乗している冒険者や迎撃装備があるから問題はないだろう。運悪く巻き込まれて死んでしまう、と言うことも考えられなくはないけれどね」
「ルック様が心配しているのは、もっと別のことよ。そうでしょう、ルック様?」
「はい、その通りでございます、ネルファ様」
二人は急に良い雰囲気を作っていた。すっかり恋人同士といった感じだ。
「ネルファやルック殿が心配しているのは……まあ、こういう場面で言うべきことではないな」
「そうですか、シグレ兄さま? レミーラもそろそろ大人になるべき時でしょうし、別に構わないのでは?」
「いや、大人になるとかならないとか……そういう種類のものではないだろう……」
シグレ様は口にするのを避けているような感じだ。私としても予想が出来ていないわけではないけれど……どうしようかしら、口に出した方が良いのかな。
「……つまり、マグロ様の貞操関係が危ない、ということですよね?」
「その通りね。同乗者の中に居るかどうかは分からないけれど、相手が女性ならまだしも……ねえ?」
「男性であった場合は……マグロ殿は解体されてしまうのだろうな。レミーラも夜中にあまり想像するんじゃないぞ?」
「しませんよ……!」
マグロ様がどういう目に遭うかなんて興味がないし、想像するなんてことはないはず。私達の会話を聞いて、シグレ様は頭を抱えている様子だった。
「とにかく、マグロ殿は処罰を受けるのだから、その処罰が滞りなく終了することを祈ろうじゃないか」
「そうですわね、シグレ兄さま。私はマグロ殿が2年後に一皮むけて戻ってくることを祈っております」
「私も祈っておきましょうか」
「で、では私も……」
みんなそれぞれ、マグロ様の無事を祈っているようだった。ネルファ王女殿下とルック兄さまは別の意味で祈っているだろうけどね……。
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【マグロ視点】
私は現在、大型船の中に居る……割り当てられた部屋は個室ではなく3人部屋だった。残りの二人は背の高い屈強な男だ。
「お前がマグロか? 変な名前だな……随分と色白だが、遠洋漁業に耐えられる体力はあるんだろうな?」
「へっへっへ、よろしくな」
「あ、ああ……よろしく……」
なぜか分からないが、私を舐めまわすように見ている気がする……いや、大丈夫だ。元公爵である私が酷い目に遭うなんて考えられない……きっと大丈夫だ。
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