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47話 国王陛下とマグロ様 3
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【マグロ・フォルクス公爵視点】
「……なるほど、フォルクス公爵、いやマグロ殿……あなたの気持ちが伝わったよ」
「さ、左様でございますか……イオン国王陛下」
何か踏んではいけない部分を踏んでしまったのだろうか? イオン国王陛下の表情は先ほどまでとは明らかに異なっていた。彼の呼び方がフォルクス公爵からマグロ殿、に変わったことも恐怖だ。本来であれば、喜ぶべきところなのかもしれないけれど……。
「王家……つまりはシグレやネルファ達の監視を解いて欲しいということだね?」
「は、はい……そういうことになりますでしょうか……」
イオン国王陛下の迫力に気圧され、僕はまともに回答出来なかった。これが政務をしっかりと行う時のイオン国王陛下の態度か……流石は一国の最高権力者を務めているだけはある。公爵という立場の僕でも恐怖を感じてしまうのだから。
「ふむ……そうか。ヴァイス大臣はどう思う?」
「私に意見を求めるのですか、陛下?」
「そうだよ、ヴァイス大臣の意見は参考になるからね」
「さ、左様でございますか……それでは」
あれ? なんだか、話の流れがおかしな方向に言っているような気がする。ヴァイス大臣は僕に視線を向けて話し出した。
「フォルクス公爵……今回の王家による管理下の話ですが」
「は、はい……」
ヴァイス大臣は何を思っている……? まったく想定外なだけに恐怖心しか生まれてこないけど……イオン国王陛下は彼が発言するまで、一切の表情を変えることはなかった。まるで自分の言葉を代弁してくれると信じているみたいに……。
「いけませんな、これは……まさか、フォルクス公爵ともあろう人物が、王家の管理下に置かれるというだけで大きな失態だと言うのに……それを解除してくれという申し出は、話になりませんな」
「ヴぁ、ヴァイス大臣……?」
僕は予期せむ言葉に耳を疑ってしまった。でも、大臣の表情を見る限り、冗談というわけじゃなさそうだ。
「ありがとう、大臣。私の言いたいことを代弁してくれ……本当に感謝するよ」
「いえ、とんでもないことでございます、国王陛下」
やはり代弁だったのか……? でも、おかしい……さっき、イオン国王陛下は僕のことを信用できると言っていたのに。
「信用できると思っていたんだけどね、フォルクス公爵。まさか、王家の管理下を解いて欲しいなんてお願いが来るなんて思ってもいなかったよ。君は私の信頼を最悪な形で裏切ったんだ」
「そ、そんな……国王陛下……!?」
イオン国王陛下は先ほどまでの態度とは違い、僕を蔑んだ瞳で見つめている。そんなバカな……どうして、僕がこんな目に遭わないといけないんだ? ただ、王家からの監視を外して欲しいというお願いをしに来ただけなのに……。
「……なるほど、フォルクス公爵、いやマグロ殿……あなたの気持ちが伝わったよ」
「さ、左様でございますか……イオン国王陛下」
何か踏んではいけない部分を踏んでしまったのだろうか? イオン国王陛下の表情は先ほどまでとは明らかに異なっていた。彼の呼び方がフォルクス公爵からマグロ殿、に変わったことも恐怖だ。本来であれば、喜ぶべきところなのかもしれないけれど……。
「王家……つまりはシグレやネルファ達の監視を解いて欲しいということだね?」
「は、はい……そういうことになりますでしょうか……」
イオン国王陛下の迫力に気圧され、僕はまともに回答出来なかった。これが政務をしっかりと行う時のイオン国王陛下の態度か……流石は一国の最高権力者を務めているだけはある。公爵という立場の僕でも恐怖を感じてしまうのだから。
「ふむ……そうか。ヴァイス大臣はどう思う?」
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「そうだよ、ヴァイス大臣の意見は参考になるからね」
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あれ? なんだか、話の流れがおかしな方向に言っているような気がする。ヴァイス大臣は僕に視線を向けて話し出した。
「フォルクス公爵……今回の王家による管理下の話ですが」
「は、はい……」
ヴァイス大臣は何を思っている……? まったく想定外なだけに恐怖心しか生まれてこないけど……イオン国王陛下は彼が発言するまで、一切の表情を変えることはなかった。まるで自分の言葉を代弁してくれると信じているみたいに……。
「いけませんな、これは……まさか、フォルクス公爵ともあろう人物が、王家の管理下に置かれるというだけで大きな失態だと言うのに……それを解除してくれという申し出は、話になりませんな」
「ヴぁ、ヴァイス大臣……?」
僕は予期せむ言葉に耳を疑ってしまった。でも、大臣の表情を見る限り、冗談というわけじゃなさそうだ。
「ありがとう、大臣。私の言いたいことを代弁してくれ……本当に感謝するよ」
「いえ、とんでもないことでございます、国王陛下」
やはり代弁だったのか……? でも、おかしい……さっき、イオン国王陛下は僕のことを信用できると言っていたのに。
「信用できると思っていたんだけどね、フォルクス公爵。まさか、王家の管理下を解いて欲しいなんてお願いが来るなんて思ってもいなかったよ。君は私の信頼を最悪な形で裏切ったんだ」
「そ、そんな……国王陛下……!?」
イオン国王陛下は先ほどまでの態度とは違い、僕を蔑んだ瞳で見つめている。そんなバカな……どうして、僕がこんな目に遭わないといけないんだ? ただ、王家からの監視を外して欲しいというお願いをしに来ただけなのに……。
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