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17話 向かう矛先 2

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【マグロ・フォルクス公爵視点】


「なんで私に話を向けるの、マグロ……!?」

「えっ、だ、だって……事実だろう……!?」


 僕は何か間違ったことを言ってしまったのだろうか? シエナはやけに怒っているように感じられる。いや、実際に確実に怒っているだろう。しかし、内容としては真実を述べただけだ。

 レミーラに挨拶に来たのは良かったけれど、なんとその隣にはシグレ第五王子殿下の姿があったのだから。僕だけでなく、シエナも大いに戸惑ったはずだ! なぜ、レミーラやルック殿やドレーク副団長に混じって王子殿下が居るのかは不明だけれど……。

 そんな彼から、第二夫人の話を言われたのであれば、例え責任逃れだと罵られようとも事実を告げる他なかった。シグレ王子殿下に嘘を言うのは、そのまま不敬罪に直結してしまうからだ。シエナの不機嫌は後からどうとでもなるからな。


「なるほど、マグロ殿はあくまでも婚約者であるシエナ嬢から言われた、と言いたいのだな?」

「そ、それは……は、はい。事実でありますので……」

「……マグロ……!」


 今までにない程の睨みで私はシエナから見られている。だが、こればかりは仕方ないことだ。彼女が私にレミーラを第二夫人にと提案したのは事実なのだし。相手が第五王子殿下でなければ、適当に誤魔化しても問題はなかったかもしれないが……うん、こればかりは仕方のないことだ。

 私はしっかりと真実を話したのだ……私はまったく悪くないはずだ。


「シグレ王子殿下……これは、あまり好ましい状況ではございませんな」

「ドレーク殿もそう思われるか? 私も実は同じ意見なのだ」

「はい、公爵様であれば、例えそれが真実なのだとしても、女性のせいにはして欲しくないものですな」

「えっ……? ど、どういうことですか……?」


 あ、あれ……おかしいぞ? 話の矛先はシエナに向かったのではないのか……? 私はそう認識していたのだが。


「マグロ殿……私は貴殿がどのような回答をするのか、興味があった。一度は振った相手であるレミーラ嬢を第二夫人にするという礼儀知らずな行為に対して、どのような回答をするのかと考えていたのだが……まさか、現在の婚約者であるシエナ嬢のせいにするとはな。非常に残念な気持ちだよ、公爵という立場の男であれば、そのくらいの責任は自ら取って欲しいものだったが……」


 ば、馬鹿な……私は選択肢、答えを間違ったとでも言うのか? いや、そんなはずは……。


「確かにレミーラ嬢を第二夫人にと、進言したのは私ですわ。しかし、それを行動に移したのはマグロに他なりません。彼がいきなり私のせいにするなんて……残念で仕方ありませんわ」

「ふむ、そういうことだったか……シエナ嬢としては、さぞ残念な結果であろうな」

「はい……シグレ王子殿下……残念でなりません」


 おかしい……おかしいぞ? 周囲の人間の視線が全て私に集まっているような……私はこれからどうなってしまうのだ!?
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