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11話 3日後のパーティー 1

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【マグロ・フォルクス公爵視点】


「ルック・ヒュンケルと申します。マグロ・フォルクス公爵様……以前にもお会いしておりますが、以後お見知りおきを」

「同じく兄のドレーク・ヒュンケルと申します。よろしくお願いいたします……」

「あ、ああ……ルック殿にドレーク殿。よろしく頼む。僕はマグロ・フォルクス公爵だ」

「はい、存じております」

「う、うむ……そ、そうか……」


 な、何かがおかしい気がする……僕は公爵なんだけどな……あれ? ヒュンケル家って確か伯爵家だったよね?

 なんで格上のはずの僕が後ずさりしているんだろうか? いくら、レミーラの兄上とはいえ、年齢的には同年代くらいのはずだが……。僕は公爵だから、人生経験でも勝っているはずだ。そうだ、夜の店にだってお忍びで何度も通っているんだし……!

 しかし、なぜだろうか……? 顔つきが明らかに違う……。ルック・ヒュンケルと言えば、王家にも認められている賢人として有名な人物だ。国王陛下からも時々、その知恵を拝借されることもあるそうな。そして、その隣の武人……ドレーク・ヒュンケルは我が国が誇る騎士団の副団長というのは有名な話だ。

 騎士団長であるデルトイ・ハンバーグ公爵ですら、ドレーク殿には直接戦闘では敵わないと言っているのを聞いたことがある……。

 ひょっとして僕は、とんでもない人物を前にしているのかもしれない……。いや、落ち着け。僕は公爵なんだから、単なる伯爵家に恐れる必要はないのだ。


「マグロ様、1つよろしいでしょうか?」

「あ、ああ……何かな? ドレーク殿?」

「実は我が妹のレミーラは、3日後に行われるパーティーに参加予定なのです。よろしければ、マグロ様もご出席されませんか? 愛するお方をお連れして……」

「なに……? うむ、それは構わないが……」


 3日後のパーティーだと? レミーラも参加する予定なのか? なんだか話の方向性が変わって来たような。いや、それは問題ないか。二人はどうやら、僕を責める気はないようだしな。

「左様でございますか! 安心致しました……我が妹のレミーラは、今は複雑な状況でございましたので、マグロ様へ無礼を働いてしまったかもしれません。その点についてはお詫び申し上げます……大変失礼いたしました」

「い、いや気にしないで結構だ、ドレーク殿……僕の方こそ少し、強引だったようだ……また、改めるとしよう」

「そうしていただけますと、非常にたすかります」

「う、うむ……それでは3日後のパーティーを楽しみにしているよ、レミーラ!」

「は、はい……どうぞ、お楽しみくださいませ……」


 レミーラがやや不機嫌そうだったが、まあ気にすることはないか。どのみち、彼女の心は僕の物なんだから……。よ、よし……! 3日後のパーティーではシエナと一緒に臨むとしよう……それでレミーラの嫉妬心を煽ってやる! あはははははっ、君はどうやっても僕から逃れられないことを思い知らせてやるよ!
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