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5話 対面 2
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シグレ・クエイルン第五王子殿下と私は対面のソファに座っていた。王子殿下が上座で私は扉に近い下座。
ルック兄さまやドレーク兄さまは、私の後ろに立っている。
「ドレーク副団長。彼女との対話の時間を設けていただいたことに感謝するぞ」
「勿体ないお言葉でございます、王子殿下。我が妹との対話を望まれていらっしゃったわけですにで、私の選択肢は1つしかございませんでした」
「うむ、そう言ってもらえて何よりだ」
ドレーク兄さまとシグレ王子殿下との会話を聞く限り、私とシグレ王子殿下との対話は、シグレ王子殿下の方から望まれたことなの? それってつまり……そういうことよね? まあ、最初から私のことが気に入っていたと言われていたけれど。
「急に呼び出したことは済まなった、レミーラ嬢。改めて礼を言わせてもらいたい」
「いえ、王子殿下からのお呼び出しでございましたので、すぐに向かった次第でございます」
「ふむ、そうだったか。私の為に来てくれたと考えると、非常に嬉しいな」
シグレ様は長髪を後ろで束ねている格好をされている。服装は正装を少し着崩しているけど、全体的に黒い衣装だった。少し話してみて感じた印象は……ちょうど、ドレーク兄さまとルック兄さまの間くらいの気概をお持ちの方のような気がする。
ドレーク兄さまは騎士団の副団長をされているだけあって、話し方も雰囲気もとても怖そうに見える。ルック兄さまはどちらかというと賢人に該当する。
彼ら二人の雰囲気と比べると、シグレ王子殿下は本当に真ん中……確か、武人としても賢人としても優秀な方だと聞いているから、合っていると思う。
「既に其方の兄二人から聞いていると思うが……私が其方を呼んだ理由についてだ」
「は、はい……一応は伺っておりますが、まだ信じられない気持ちです……」
「はは、いきなり気に入ってしまったとか、レミーラ嬢からしたら不快だったかもしれないな」
「いえ、不快だなんて、それだけはありません……シグレ王子殿下」
確かにちょっと戸惑っているけれど、彼と少し話しただけでも不快な気持ちなんて消え去っていた。そもそも、ドレーク兄さまから出してくれた時点で、不快な気持ちになるわけはないんだけど。まあ、単純に王子殿下に好かれるというのは光栄なことだしね。
「はははっ、それを聞けて安心したよ。レミーラ嬢に不快な気持ちを持たれたままでは、この対話自体が意味がなくなってしまうからな」
「でも、シグレ王子殿下……私のことを気に入っていただけるのは、とても光栄なのですが……なぜ、私のことを?」
面識はそこまで多くはない第五王子殿下。私のことを好きになった理由は気になるところであった。一体、何で私だったのだろう?
「レミーラ嬢はパーティーなどで、使用人に対する態度が素晴らしいものだったからな。そういった場面を何度か見ている間に好きになってしまったのだと思う」
「えっ? その場面ですか……?」
確かに私は使用人、執事やメイドの人達には敬意を払っている方だとは思うけど。まさか、その部分を見られていたなんて……。
「自分達よりも下の身分の者である裏方。メイド達に敬意を払う貴族、王族は少ない。しかし、私はそういった裏方で頑張っている者達にこそ、敬意を表するべきだと考えていた。貴族達が集まる華やかな舞踏会は、彼らの裏からの支えがあって初めて成り立つのだからな」
「はい、それは間違いないと思っておりました」
「やはりそうか」
そうか、シグレ王子殿下は私と感性が似ているのかもしれない。だから、私のことを気に入ってくれたのか。そう考えると、納得がいった。
「私が其方を気に入った理由はそういったところにあるが……ところでレミーラ嬢はこの前、マグロ・フォルクス公爵と婚約解消をしたそうだな?」
「はい。やはり、シグレ王子殿下にも伝わっていましたか。噂話も色々と錯綜しているようでございまして……」
「錯綜しているのは、確かにその通りだろう。しかし、婚約解消の理由はマグロ殿が幼馴染のシエナ・ウィンドミル公爵令嬢を優先していたから、だそうだな。それを注意しても、マグロ・フォルクス公爵は考えを改めることはなかった、と聞いているが」
「はい、その通りでございます……」
「そうか……大変だったな、気の毒に思うよ」
シグレ王子殿下は私の予想以上に話の顛末を知っていた。情報源はドレーク兄さまだと思う。というより、兄さまは思った以上に王子殿下に詳細を話していたのね……。
そういえば、マグロ様と別れてから2か月近くが経過しているのね。今頃、彼はどうしているのかしら? なるべく考えないようにはしていたけれど、こうして彼の話が出て来ると思い出してしまうわね。
ルック兄さまやドレーク兄さまは、私の後ろに立っている。
「ドレーク副団長。彼女との対話の時間を設けていただいたことに感謝するぞ」
「勿体ないお言葉でございます、王子殿下。我が妹との対話を望まれていらっしゃったわけですにで、私の選択肢は1つしかございませんでした」
「うむ、そう言ってもらえて何よりだ」
ドレーク兄さまとシグレ王子殿下との会話を聞く限り、私とシグレ王子殿下との対話は、シグレ王子殿下の方から望まれたことなの? それってつまり……そういうことよね? まあ、最初から私のことが気に入っていたと言われていたけれど。
「急に呼び出したことは済まなった、レミーラ嬢。改めて礼を言わせてもらいたい」
「いえ、王子殿下からのお呼び出しでございましたので、すぐに向かった次第でございます」
「ふむ、そうだったか。私の為に来てくれたと考えると、非常に嬉しいな」
シグレ様は長髪を後ろで束ねている格好をされている。服装は正装を少し着崩しているけど、全体的に黒い衣装だった。少し話してみて感じた印象は……ちょうど、ドレーク兄さまとルック兄さまの間くらいの気概をお持ちの方のような気がする。
ドレーク兄さまは騎士団の副団長をされているだけあって、話し方も雰囲気もとても怖そうに見える。ルック兄さまはどちらかというと賢人に該当する。
彼ら二人の雰囲気と比べると、シグレ王子殿下は本当に真ん中……確か、武人としても賢人としても優秀な方だと聞いているから、合っていると思う。
「既に其方の兄二人から聞いていると思うが……私が其方を呼んだ理由についてだ」
「は、はい……一応は伺っておりますが、まだ信じられない気持ちです……」
「はは、いきなり気に入ってしまったとか、レミーラ嬢からしたら不快だったかもしれないな」
「いえ、不快だなんて、それだけはありません……シグレ王子殿下」
確かにちょっと戸惑っているけれど、彼と少し話しただけでも不快な気持ちなんて消え去っていた。そもそも、ドレーク兄さまから出してくれた時点で、不快な気持ちになるわけはないんだけど。まあ、単純に王子殿下に好かれるというのは光栄なことだしね。
「はははっ、それを聞けて安心したよ。レミーラ嬢に不快な気持ちを持たれたままでは、この対話自体が意味がなくなってしまうからな」
「でも、シグレ王子殿下……私のことを気に入っていただけるのは、とても光栄なのですが……なぜ、私のことを?」
面識はそこまで多くはない第五王子殿下。私のことを好きになった理由は気になるところであった。一体、何で私だったのだろう?
「レミーラ嬢はパーティーなどで、使用人に対する態度が素晴らしいものだったからな。そういった場面を何度か見ている間に好きになってしまったのだと思う」
「えっ? その場面ですか……?」
確かに私は使用人、執事やメイドの人達には敬意を払っている方だとは思うけど。まさか、その部分を見られていたなんて……。
「自分達よりも下の身分の者である裏方。メイド達に敬意を払う貴族、王族は少ない。しかし、私はそういった裏方で頑張っている者達にこそ、敬意を表するべきだと考えていた。貴族達が集まる華やかな舞踏会は、彼らの裏からの支えがあって初めて成り立つのだからな」
「はい、それは間違いないと思っておりました」
「やはりそうか」
そうか、シグレ王子殿下は私と感性が似ているのかもしれない。だから、私のことを気に入ってくれたのか。そう考えると、納得がいった。
「私が其方を気に入った理由はそういったところにあるが……ところでレミーラ嬢はこの前、マグロ・フォルクス公爵と婚約解消をしたそうだな?」
「はい。やはり、シグレ王子殿下にも伝わっていましたか。噂話も色々と錯綜しているようでございまして……」
「錯綜しているのは、確かにその通りだろう。しかし、婚約解消の理由はマグロ殿が幼馴染のシエナ・ウィンドミル公爵令嬢を優先していたから、だそうだな。それを注意しても、マグロ・フォルクス公爵は考えを改めることはなかった、と聞いているが」
「はい、その通りでございます……」
「そうか……大変だったな、気の毒に思うよ」
シグレ王子殿下は私の予想以上に話の顛末を知っていた。情報源はドレーク兄さまだと思う。というより、兄さまは思った以上に王子殿下に詳細を話していたのね……。
そういえば、マグロ様と別れてから2か月近くが経過しているのね。今頃、彼はどうしているのかしら? なるべく考えないようにはしていたけれど、こうして彼の話が出て来ると思い出してしまうわね。
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