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1話 婚約の解消
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「レミーラ、一体、どういうことなのだ……? 婚約の解消をしたいなどと……」
「申し訳ございません、マグロ様……私はマグロ様の妻として、誠心誠意、お仕えしたいと思っておりましたが……」
私の名前はレミーラ・ヒュンケル。階級は伯爵令嬢に当たる。私は今、公爵様であり婚約者であるマグロ・フォルクス様に婚約解消の申し出をしていた。
マグロ様は公爵だけあり、クエイルン王国で知らぬ者が居ないほどに有名なお方だ。そんなお方の婚約者になれたことは、非常に名誉なことだったのだけど……私は彼の浮気に我慢が出来なくなっていた。だからこそ本日、彼に婚約解消のお願いをしているのだ。
「なぜだ……? なぜ、いきなり婚約解消などを言い出すのだ? 私の態度が悪かったのか? お前にはなるべく優しく接していたつもりだったが……それは、私の勘違いだったのか!?」
マグロ様は非常に取り乱している。私の年齢は18歳だけれど、彼も21歳と若い。その年齢で公爵という立場に就いているのは、素直に尊敬するところだけれど。それに、彼の私への態度は紳士的と言えた。彼の態度そのものに不満があるわけではない。
不満があるのは……マグロ様の幼馴染との関係性についてだ。
「いえ……マグロ様の私への態度に不満があるわけではありません。マグロ様は非常にお優しく接してくださいました。その点に関しては、感謝の気持ちでいっぱいでございます……!」
「で、ではなぜ婚約解消を持ち出すのだ……? 意味が分からないぞ?」
「はい、その理由としては……マグロ様の幼馴染である、シエナ・ウィンドミル公爵令嬢との関係にあります」
「し、シエナとの関係だと……?」
マグロ様の表情が明らかに変化した。私はそれを見逃さない。彼は……幼馴染である、シエナ公爵令嬢に肩入れ」し過ぎている。悪気があるかどうかは別にしても……ほぼ、浮気といっても良い関係になっていることは知っている。
伯爵令嬢の身で偉そうなことは言えないけれど……あまりにも彼は、幼馴染に加担し過ぎていた。私の立場としてはそれを受け入れるのは難しい。
「マグロ様がシエナ様のことを大切に想われる気持ちは分かります……しかし、流石に肩入れし過ぎなのではないでしょうか?」
「そ、それは……!」
マグロ様も言葉が詰まっているようだ。おそらくは身に覚えがあるのだろう。私の調査に間違いがなければ……二人は肉体関係にまで進んでいるはずだから。ちなみに私とマグロ様に肉体関係はまだない。
「マグロ様がシエナ様との関係性を考え直していただけるのであれば、私は婚約関係を続けたいと考えております……しかし、それはおそらく難しいのではないでしょうか?」
「……そうだな、確かにシエナとの関係を見直すことは、難しいと言えるだろう」
「左様でございますか……それであれば、私はやはり婚約の解消を望みたいと考えております」
「そうか……非常に残念ではあるが、それがレミーラの望みとあれば仕方あるまい……」
私はこの時悟ってしまった……彼が、幼馴染のシエナ様を選んだということを。通常であれば、婚約者であるはずの私を優先してくれるだろうから。これ以上の会話は意味を成さないわね。
「非常に残念に思います、マグロ様……貴方様にこの身を捧げたいと思っていたのですが、それは叶わないようでございますね」
「そのようだな、レミーラ。私としても残念だよ……こんな形で婚約の解消になってしまうとは、夢にも思わなかった」
「私もです……」
私はそこまで話すと、マグロ様の私室からすぐに出ることにした。溢れ出て来る涙を見せたくなかったからだ。こうして私の婚約は破談に終わった……。
「申し訳ございません、マグロ様……私はマグロ様の妻として、誠心誠意、お仕えしたいと思っておりましたが……」
私の名前はレミーラ・ヒュンケル。階級は伯爵令嬢に当たる。私は今、公爵様であり婚約者であるマグロ・フォルクス様に婚約解消の申し出をしていた。
マグロ様は公爵だけあり、クエイルン王国で知らぬ者が居ないほどに有名なお方だ。そんなお方の婚約者になれたことは、非常に名誉なことだったのだけど……私は彼の浮気に我慢が出来なくなっていた。だからこそ本日、彼に婚約解消のお願いをしているのだ。
「なぜだ……? なぜ、いきなり婚約解消などを言い出すのだ? 私の態度が悪かったのか? お前にはなるべく優しく接していたつもりだったが……それは、私の勘違いだったのか!?」
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不満があるのは……マグロ様の幼馴染との関係性についてだ。
「いえ……マグロ様の私への態度に不満があるわけではありません。マグロ様は非常にお優しく接してくださいました。その点に関しては、感謝の気持ちでいっぱいでございます……!」
「で、ではなぜ婚約解消を持ち出すのだ……? 意味が分からないぞ?」
「はい、その理由としては……マグロ様の幼馴染である、シエナ・ウィンドミル公爵令嬢との関係にあります」
「し、シエナとの関係だと……?」
マグロ様の表情が明らかに変化した。私はそれを見逃さない。彼は……幼馴染である、シエナ公爵令嬢に肩入れ」し過ぎている。悪気があるかどうかは別にしても……ほぼ、浮気といっても良い関係になっていることは知っている。
伯爵令嬢の身で偉そうなことは言えないけれど……あまりにも彼は、幼馴染に加担し過ぎていた。私の立場としてはそれを受け入れるのは難しい。
「マグロ様がシエナ様のことを大切に想われる気持ちは分かります……しかし、流石に肩入れし過ぎなのではないでしょうか?」
「そ、それは……!」
マグロ様も言葉が詰まっているようだ。おそらくは身に覚えがあるのだろう。私の調査に間違いがなければ……二人は肉体関係にまで進んでいるはずだから。ちなみに私とマグロ様に肉体関係はまだない。
「マグロ様がシエナ様との関係性を考え直していただけるのであれば、私は婚約関係を続けたいと考えております……しかし、それはおそらく難しいのではないでしょうか?」
「……そうだな、確かにシエナとの関係を見直すことは、難しいと言えるだろう」
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「そうか……非常に残念ではあるが、それがレミーラの望みとあれば仕方あるまい……」
私はこの時悟ってしまった……彼が、幼馴染のシエナ様を選んだということを。通常であれば、婚約者であるはずの私を優先してくれるだろうから。これ以上の会話は意味を成さないわね。
「非常に残念に思います、マグロ様……貴方様にこの身を捧げたいと思っていたのですが、それは叶わないようでございますね」
「そのようだな、レミーラ。私としても残念だよ……こんな形で婚約の解消になってしまうとは、夢にも思わなかった」
「私もです……」
私はそこまで話すと、マグロ様の私室からすぐに出ることにした。溢れ出て来る涙を見せたくなかったからだ。こうして私の婚約は破談に終わった……。
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