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14話 ルインバーグ家へ 1

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「ようやく到着したか……」

「はい、そうですね」


 私達を乗せた馬車はルインバーグ家の屋敷に到着した。距離で言えば大したことはないけれど、随分と長旅をしたかのようだ。行く前から気が重いだからだと思う……はあ、と溜息が自然と出てしまう程に。


「大丈夫か、エルミナ? なんだか疲れているようだが」

「ローレック様、ありがとうございます。私は大丈夫ですので……」

「そうか? それなら良いのだが、無理だけはしないでくれよ? 君にこれ以上何かあるのは、耐えられないからな」

「はい、わかりました」


 同席してくれたローレック様が私を気遣ってくれる。こんな言葉をお父様やお母様に掛けられたことがあるだろうか? いや、あまり記憶にないわね。

「エルミナ姉さま、私は余所見をしていますので、ご安心ください」

「あなたは一体、何を言っているのかしら?」


 ランバーは子供に似合わず、しっかりと私とローレック様に気を遣っているようだった。まったく、この子は……本当に11歳かと疑うほどだわ……オデッセイも簡単に投げてしまうし。

「はははっ、将来が楽しみだな」

「それはそうかもしれませんが……」


 私達の雰囲気を読み取るのは、気を利かせすぎな気もするけれどね。しかも、今は気を遣われてもイチャイチャなんて出来る状況ではないのだし。

「……」


 なにせ、私やローレック様、ランバー以外にも馬車に乗っていた人物が居たからだ。お父様とアルフォンス様の二人だ。以前とは違って、私の周りには味方が大勢いたことになる。

 オデッセイに謝罪に来たわけだけれど、まさかここまで味方を集められるとは思ってもみなかった。


「ジョウストン子爵……いよいよですな」

「は、はい……ハミルトン公爵……」


 アルフォンス・ハミルトン公爵はお父様に話しかけてはいるけど、特別に叱責する様子は見せていなかった。まあ、空気が悪くなってしまうし、その辺りの配慮かもしれない。ただ、アルフォンス様も私やランバーの味方をしてくれているのは確かだ。

 お父様は自分が責められることを恐れているのか、暗い表情になっているけれど、私の心の中は晴れやかだった。


「さて……いよいよだな。ルインバーグ侯爵家の扉を叩くとしようか」

「はい、ローレック様……!」


 先陣を切ってくれたのはローレック様だ。私はその後ろから付いて行く。

 オデッセイはこのメンバーを見てどのような顔をするかしら? 私やランバーに行ったことは絶対に許されることではない……その辺りの落とし前をきっちりつけなければ。
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