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2話 幼馴染の元へ 1
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「エルミナ姉さま……その、お元気がないようですが大丈夫でございますか?」
「え、ええ……大丈夫よ、ランバー。心配掛けたようでごめんなさいね」
「いえ、僕としては、姉さまがお元気であれば嬉しいのですが……」
私室に入っていた私のところに、11歳の弟のランバーが訪ねて来た。ランバーは私に元気がないことを察知している様子だ。確かに先ほど、お父様とお母様に色々言われたから、へこんでいるのは事実なんだけれど。
私はまだ自分よりも背丈の小さいランバーを両腕で抱きしめた。
「ランバー……」
「エルミナ姉さま……やはり、お元気がないように思います。父様達に何か言われたのですか……?」
「まあ、間違ってはいないけれど。あなたはまだ11歳なんだし、あなたが気を遣うことではないわ」
「さ、左様でございますか……」
私を心配してくれるランバーはとても可愛らしい。私は自然と抱きしめる力が強くなっていた。
「あ、少し痛いかもです、エルミナ姉さま……」
「あ、ああ……ごめんなさい」
「いえ、構いませんが……」
ランバーは顔を赤くして私の視線から目を背けていた。ちょっとだけ、照れているのかもしれないわね。こういうしぐさもとても可愛らしいと思える。家族の中で唯一、気を許せる存在と言っても過言ではない。
「エルミナ姉さま……本当に、大丈夫でございますか?」
「ん~~、あんまり大丈夫じゃないかもしれないわね……婚約していたオデッセイ様には婚約破棄を言い渡されてしまったし。しかも、オデッセイ様はイリヤ姉さまと婚約をするみたいだし」
「そんなことが……エルミナ姉さま……」
11歳の弟に何を言っているんだろうか私は……ついつい、愚痴が零れてしまったわ。
「ごめんなさいね、ランバー。見苦しい愚痴をこぼしてしまって……原因は全て私にあるのよ。私がオデッセイ様の真実の愛の対象になれなかったのが悪いの……」
そう思わないと悲しさや虚しさで、精神的に病んでしまいそうだった……だから私は考え方を変えてみることにする。全ては私が悪いのだと……自分の魅力が不足していたからだと思い込むことにしたのだ。
「いいえ、エルミナ姉さま。それは違うと思います」
「えっ……ランバー?」
しかし意外なところから、否定の言葉が飛び出して来た。その発信源は弟のランバーだ。彼は自信に満ち溢れている表情をしていた。
「エルミナ姉さまは、自らを過小評価しているのだと思います」
「ランバー……そう言ってもらえるのは嬉しいんだけれど……」
真実の愛に適わなかったとして、オデッセイ様から婚約破棄をされたのは紛れもない事実だ。その事実は隠しようがなく、私を落ち込ませるのには十分と言えた。
「なるほど……では一度、あの方に婚約破棄をされたことを報告するのは如何でしょうか?」
「あの方……?」
私を擁護してくれる人なんて、そう多くはないはず……。お父様やお母様ですら、擁護してくれないのだから。ましてや他人ともなると……でもその時、私の脳裏には一人の人物が浮かび上がっていた。
「ローレック・ハミルトン公爵令息……?」
「はい、そうですね」
ランバーは満面の笑みを浮かべて頷いていた。ローレック様ならば確かに……私の中で光明が生まれた瞬間でもあった。
「え、ええ……大丈夫よ、ランバー。心配掛けたようでごめんなさいね」
「いえ、僕としては、姉さまがお元気であれば嬉しいのですが……」
私室に入っていた私のところに、11歳の弟のランバーが訪ねて来た。ランバーは私に元気がないことを察知している様子だ。確かに先ほど、お父様とお母様に色々言われたから、へこんでいるのは事実なんだけれど。
私はまだ自分よりも背丈の小さいランバーを両腕で抱きしめた。
「ランバー……」
「エルミナ姉さま……やはり、お元気がないように思います。父様達に何か言われたのですか……?」
「まあ、間違ってはいないけれど。あなたはまだ11歳なんだし、あなたが気を遣うことではないわ」
「さ、左様でございますか……」
私を心配してくれるランバーはとても可愛らしい。私は自然と抱きしめる力が強くなっていた。
「あ、少し痛いかもです、エルミナ姉さま……」
「あ、ああ……ごめんなさい」
「いえ、構いませんが……」
ランバーは顔を赤くして私の視線から目を背けていた。ちょっとだけ、照れているのかもしれないわね。こういうしぐさもとても可愛らしいと思える。家族の中で唯一、気を許せる存在と言っても過言ではない。
「エルミナ姉さま……本当に、大丈夫でございますか?」
「ん~~、あんまり大丈夫じゃないかもしれないわね……婚約していたオデッセイ様には婚約破棄を言い渡されてしまったし。しかも、オデッセイ様はイリヤ姉さまと婚約をするみたいだし」
「そんなことが……エルミナ姉さま……」
11歳の弟に何を言っているんだろうか私は……ついつい、愚痴が零れてしまったわ。
「ごめんなさいね、ランバー。見苦しい愚痴をこぼしてしまって……原因は全て私にあるのよ。私がオデッセイ様の真実の愛の対象になれなかったのが悪いの……」
そう思わないと悲しさや虚しさで、精神的に病んでしまいそうだった……だから私は考え方を変えてみることにする。全ては私が悪いのだと……自分の魅力が不足していたからだと思い込むことにしたのだ。
「いいえ、エルミナ姉さま。それは違うと思います」
「えっ……ランバー?」
しかし意外なところから、否定の言葉が飛び出して来た。その発信源は弟のランバーだ。彼は自信に満ち溢れている表情をしていた。
「エルミナ姉さまは、自らを過小評価しているのだと思います」
「ランバー……そう言ってもらえるのは嬉しいんだけれど……」
真実の愛に適わなかったとして、オデッセイ様から婚約破棄をされたのは紛れもない事実だ。その事実は隠しようがなく、私を落ち込ませるのには十分と言えた。
「なるほど……では一度、あの方に婚約破棄をされたことを報告するのは如何でしょうか?」
「あの方……?」
私を擁護してくれる人なんて、そう多くはないはず……。お父様やお母様ですら、擁護してくれないのだから。ましてや他人ともなると……でもその時、私の脳裏には一人の人物が浮かび上がっていた。
「ローレック・ハミルトン公爵令息……?」
「はい、そうですね」
ランバーは満面の笑みを浮かべて頷いていた。ローレック様ならば確かに……私の中で光明が生まれた瞬間でもあった。
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