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第1章
第36話 オートマタ
しおりを挟む「お、お待たせしましたセカイさん……」
「ワタルさんにカレンさん……あの……その格好は……」
「ん? ああ、何が起こるかわかんないからな。俺は用心深いんだよ」
「知らない土地に行く……当然」
フィロテスからアガルタへの招待を受けから2日後の深夜。
俺とカレンは自衛隊に話をつけて、静岡の演習場へUFOに迎えに来てもらうことにした。
ちなみに俺とカレンが戦っていた時にうろちょろしてた小型のUFOは『イシル』という名の戦闘機で、フィロテスと初めて会った時にいた大型のUFOは『フラーラ』という名の輸送機らしい。
んで俺は黒竜の革鎧を着て、カレンも黒竜の革のライダースーツモデルの服を着て待っていると、フラーラが現れてルンミールとフィロテスが降りてきた。
二人は俺とカレンの姿を見て固まっていたけど、未知の世界に行くんだ。これくらい当たり前だろ。フィロテスは信用してるけど、エルフは信用してないからな。アイツらはプライドのために、時折あと先考えない行動を取るから油断ならないんだよ。
なんらかの方法で結界を無効化された時のための備えは必要だ。UFOに仕掛けがされてるかもしれないから剣も最初から背負っている。吸収の魔結晶を嵌めたこの剣さえあれば、どんな罠があろうと切り抜けられるからな。
「ま、まあいいでしょう……警戒されることをした我々にも非がありますし、あのマジックバッグがある以上同じことですし」
「そ、そうですね……」
「フィロテスは信じてるけど、無防備に未知の世界に行くわけにはいかないんだ。悪く思わないでくれ」
俺は引きつった顔をしているフィロテスにそう言ってフォローをいれた。
「い、いえ。私が同じ立場であれば警戒したと思います。ワタルさんがカレンさんを守るために慎重になるのは当然かと」
「ん……フィロテスはわかってる」
「そう言ってもらえると助かるよ。じゃあUFOに初搭乗するかな! なにげに楽しみだったんだ」
「で、ではご案内します」
「ああ頼むよ」
俺はそう言ってカレンの腰を抱き、ルンミールとフィロテスの後ろをついていった。
相変わらずフィロテスの制服のスカートは短いな。今日は髪をアップにしていて褐色のうなじもそそるし。マジでダークエルフはたまんねえわ。
俺はフィロテスの尻を眺めつつ、エスカレーターも二段下に乗ってフィロテスの赤いパンツを後ろからガン見していた。
さっきまでハニートラップに引っ掛からないようにってカレンに8回抜かれたけど、これは別腹だな。チラリズムってすげーわ。
「ワタル……恐ろしい子」
「ばっか、こんくらいじゃなきゃカレンと子供なんかできねーだろ? 」
隣で俺の股間を見てドン引きしているカレンに、俺はエロくないといけないんだと自分を正当化した。
「ん……納得した……ワタルとの赤ちゃん欲しい」
「まあ100年後くらいにはできんじゃね? 」
人族とエルフの子に関しては過去にアガルタで研究がされていて、フィロテスが言うにはエルフ同士よりもでき難いが、作ることは可能らしい。まあ種族が違うんだし当然だよな。
アルガルータには人族は俺しかいなかったから、できるかどうか不安だったカレンはそれを聞いて大喜びしてたよ。俺はできてもかなり先だからまあいっかと思ってた。もともと責任は取るつもりだったし。もちろんハーレムの女の子全員のな!
「いっぱいすれば早まる……今夜もがんばる」
「いや、さすがに休ませてくれ……」
「大丈夫……ワタルはフィロテスを見てまた元気になった……子作りのためにほかの女もいるかも」
「だ、だろ? 違う刺激も必要なんだよ。だから早く増やそうぜ! 」
そうか! こういう攻め方もあったのか! これはイケるぞ!
「でも弱いのは駄目……ワタルを本気で好きじゃないともっと駄目」
「うっ……せめて強さの基準を下げてくれよな」
「考えとく……」
「頼むよホント……お? 着いたみたいだ」
俺がカレンといつも通りの会話のやり取りをしていると、エスカレーターがUFOの入口に着いた。そしてルンミールが入口横に手をかざすと、入口が静かにスライドをして開いた。
「どうぞお入りください」
「すげーな。エーテルの魔導回路が至るとこに張り巡らされてんだな」
入口手前に立つルンミールに促され、俺はドアの周りをキョロキョロ見ながらフィロテスの後をついてUFOの中へと入っていった。
「これがUFOの内部か……なんかSF映画で見たことあるな。あの映画監督乗ったことあんじゃねえか? 」
UFOの中に入るとトンネルのような通路になっており、壁は白い金属のような素材で継ぎ目などは一切無かった。そして通路は片側一車線の道路のように上りと下りで分かれており、床はそれぞれ逆方向にゆっくり動いていた。まあ動く歩道というやつだ。
そして俺とカレンはルンミールに促され手前の歩道に乗った。
それから動く歩道によって運ばれるまま少し進むと、それまで通り過ぎたドアとは違う銀色のドアの前で歩道が止まった。
そしてルンミールが入口でまた手をかざすとドアがスライドし、俺たちは中に入っていった。
中に入るとそこは30帖ほどの広い空間で、床にはベージュの絨毯が敷き詰められており、ソファーや木目調のテーブルなどが配置されていた。
SFチックな外とは違い割と現代風の普通の客室だな。そういえばフィロテスの部屋も木を使った家具が多かった。どんなに文明が発達しても、こういうところはあんまり変わらないもんなんだな。
俺がそんなことを考えていると、ふと横に不思議なエーテルの反応を感じたので視線を横に向けた。するとそこにはやたらスカートの丈の短いメイド服を着た、カレンと同じくらいの耳の長さの水色の髪の女性が立っていた。
ん? エルフにしてはエーテルの保有量が少ないな……
「ああ、そちらに立っておりますのは最上級の生体型オートマタの『108号』です。セカイさんのために新しく製造した物ですので、変な癖などもございません。地上の文化や言語など全てインストールしておりますので、ご自由にお使いください」
「ご主人様。108号です。なんなりとお申し付けしやがれです」
「え? 」
「なにか? 」
「い、いや、なんでもない」
俺は紹介されたオートマタである彼女の日本語に違和感を覚えつつも、きっと何かのアニメキャラをインストールしたんだろうなと勝手に納得して触れないことにした。
しかしエルフ社会はオートマタで回っていると聞いていたけど、エルフとそっくりだなこの子。確か人口3000万人に対して5000万体いるって言ってたな。
前にフィロテスが肌の色も体型もエルフそっくりで、違いは耳の長さと髪の色だけだと言ってた。けどこの子の体型はエルフというよりダークエルフそっくりなんだよな……
メイド服も胸もとがハート型に開いていて胸の谷間がくっきりと見えるし、スカートもひざ上30cmはありそうなほど短い。最上級のオートマタでエルフそっくりで、胸はEはありそうで短いスカートということは、そういうおもてなしもできるってこと? え? いいの?
「む? どうもニホン語がおかしいようですね。インストールに失敗したのかもしれません。すぐに再インストールしますので、少々お待ちください」
「いやいいよ。この方が人間味があるし。よろしくな、えーと108号だったか? 呼びにくいから10と8で『トワ』と呼ぶか。そう呼んでもいい? 」
「トワ……ご主人様の好きにしやがれです」
「そ、そう。ならそう呼ぶよ。俺はワタルでこの子は恋人のカレンて言うんだ」
俺は薄っすらと笑みを浮かべそう言うトワにカレンを紹介した。
「カレン……よろしく」
「カレン様。よろしくお願い致します。身の回りのお世話から護衛まで、私になんなりとお申し付けくださいませ。精一杯御奉仕させていただきます」
カレンがトワに話しかけると、トワは俺の時とは違い丁寧に頭を下げて普通の口調で応えていた。
「ん……いい子」
「え? あれ? 」
「なにか? 」
「いや……なんでもない」
なに? 男と女で対応が違う設定なの!? 誰得なんだよこれ!
「ワタルさん本当によろしいのですか? 恐らく技師が地上のお客様用と聞き、余計なことをしたと思うのですが……」
「ちょっとおかしな子だけどいいよ。もう産まれてきて意思を持ってるんだし。再インストールとかはなんかかわいそうでさ」
エルフによって造られたオートマタかもしれないけど、こうして一度話したんだ。もう物には見えない。あの話し方も、彼女の個性として受け入れてあげるべきなんだと思うんだよね。
「可哀想……ですか。巨人族と同じことをおっしゃるんですね」
「巨人族が? そっか……言いそうだな確かに」
俺と同じで心優しい人が多いからな。
「はい。巨人族だけは宇宙船用のオートマタしか売れません。ほかの種族は家事にサービス業にと、オートマタを使っているのですが……」
「同じ人間として見てるからだよ。まあ長いこと側にいて当たり前の存在だとわからないもんさ。さて、それじゃあ到着までここで待ってればいいんだよな? 外とか見れるのここ? 」
俺の言葉に不思議そうにしているフィロテスに、外の景色が見れるかを聞いて話題を逸らした。
「は、はい。離陸した後に、そちらの窓から見ることができます」
「そっか、ならここでおとなしく待ってるよ。トワはコーヒーを頼む」
俺は窓枠のみの白い壁を見てそう言うフィロテスに、本当に見えるのかよと思いつつもトワにコーヒーを頼んだ。
「承知しました」
「ではセカイさん、どうぞこちらで到着までおくつろぎください。エルサリオン王国に一番近いゲートへ移動してからアガルタへと行きますので、2時間ほどで到着する予定です。到着の際にはまたお迎えにあがります。私たちはこれで失礼致します」
「ワタルさん、また後ほど」
「ああ、あとでな」
俺は部屋から去るルンミールとフィロテスを見送り、ソファーへとカレンと座った。
「ふう……変な仕掛けは無さそうだな。カレンはどうだ? 」
「ん、大丈夫そう」
「しかし凄い技術だよな。でもさ、乗ってみてわかったけどこのUFOの動力はエーテルじゃないな」
「エーテルの塊は外側に集中してる……多分武器」
そう、エーテルを保管できる装置らしきものが、船体の外側に集中している反応を俺たちは感じていた。
当初エーテルをまとっていたから、このUFOはエーテルで飛んでいると思っていた。けど、どうやら違うっぽい。普通は燃料となるものは船の中央付近に配置するはずだからだ。外側じゃあ被弾したらすぐに飛べなくなる。
恐らく別の推進エネルギーがあるんだろう。
「あれだけ早速く長時間飛べる推進装置とか凄いよな。宇宙も飛べるみたいだしな……ん? いま浮いた? 」
「浮いたかも……」
俺は浮遊感を覚えたので、カレンを連れて窓枠しかない壁へと向かった。
俺たちが壁に近づくと、白い壁が一気にガラスのように透明になって外の景色を映し出した。
「感知式の窓にする意味がわかんないな。まあいいか、でもやっぱ飛んでるな。全然揺れないのはさすがだよな。外側がクルクル回転しているのが何か意味があるのかもな 」
しかし静かだ。ここまで静音性を保てるなんて凄いよな。かなりの高度になってるのに気圧の変化も感じないし。
お? 上昇を終えて一気に北へと飛んだな。マジか! Gすらも感じないのかよ。どうなってんだこれ?
俺はかなりの急発進をしたにもかかわらず、UFO内がまったく揺れないことに驚いていた。
「ご主人様、コーヒーができあがりました。早く飲みやがれです」
「あ、ああ……ありがとう」
俺はトワがいれてくれたコーヒーを飲むために、一旦窓から離れてソファーへと座った。
「うん、美味い。コーヒーを頼んでおいてなんだけど、アガルタにもコーヒー豆があるんだな」
「当たり前でやがります。ご主人様」
「ん……おいしい……トワ……あとで豆が欲しい」
「はい。用意いたしますカレン様」
「なんだかなぁ……」
これはなにか? キツイ女性が好きな男用なのか? 俺は優しい子が好きなんだけど……カレンが気に入っているみたいだから別にいいけどさ。それにしてもムチムチした太ももをしてるよな。
俺は隣で背筋を伸ばして正面を見ているトワの胸と太ももをじっと見ていた。
トワは俺の視線にまったく動じていない。
俺はこれはと思い、屈んでトワの正面に首を伸ばすとそこには黒い逆三角形が覗き見えた。
トワは相変わらず動じない。なんて素晴らしい子なんだこの子!
「ワタルはブレない……」
「い、いや……人間みたいだなってな? 好奇心だよ好奇心」
俺は左に座るカレンのヤレヤレという言葉に身を起こし、ただの好奇心だと説明した。スカートの中を覗くのは好奇心で間違いないと思うんだ。
それから仕方ないと言ってライダースーツのジッパーをお腹まで下ろしたカレンが、俺のズボンのチャックを下ろして股間に顔を埋めて頭を上下に動かし始めた。
ふと横を見るとトワがジッとその行為を観察している。
女の子に見られながらカレンに奉仕されることに興奮した俺は、ライダースーツから溢れ出るカレンの乳を揉みしだきつつカレンの舌の動きを味わっていた。
しかし俺の弱いところを知り尽くしたカレンの舌の動きに、俺は5分と保たずにカレンの口の中に吐き出した。
そして脱力感とともにカレンに口で綺麗にしてもらっていると、UFOが高度を下げ始めたのだった。
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