『刻の輪廻で君を守る』

ぜのん

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06章『喧騒下のアブダクテッドな天使様』〈結〉

06章-13

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***06-13-09

「馬と御者をやるのだーーー!」

 背後のバルが大きく叫んだ。

『おおーー!』
『やってやらー!』
『馬車を止めろー!』

 そこかしこで呼応する声が上がる。

 同時に、ソレが馬車に襲い掛かる。

 バシバシと叩き込まれる、それは石ツブテ。

 いつの間にか付近にいた少年達——ギャング団員が次々と石ツブテを撃ち続ける。

 そのあまりの鋭さ、速さに、

「ぐぉッ!」

 頭を撃ち抜かれた御者は血を流し、石畳へと転げ落ちる。

 制御する主を無くして馬が走り続けるが、そこにも石ツブテが襲い、

 ヒヒーンッ!

 大きく馬はいななき、横に倒れ込む。

 同じく引かれていた馬車の荷台もゆっくりと傾き……その荷の酒樽ごと横向きに倒れる。



 やった……止めた!!



 歓声がそこらから上がる中、俺は必死に駆け込む。ここに、リアンが……!

「リアン、どこだなー!?」

 同じく、酒樽からリアンを必死に探すバル。

 ほとんどの酒樽は倒れた拍子に崩れてしまって中身が出ている。が、そこにリアンの姿はない。

「馬鹿な……そんな……リアンが……居ない!?」

 失敗……失敗したのか!? 失敗してしまったのか、俺は!?



 思わず、時計塔を仰ぎ見る。



 13:42



 あと、3分しかない。

 考えろ。考えるんだ! 決して諦めるな!

 観察し、分析し、推定しろ! アッシュ!

⭐︎⭐︎⭐︎
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