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05章『喧騒下のアブダクテッドな天使様』〈転〉
05章-13
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***05-13-09
「は?」
今度こそ、バルは目が点になった。
そして、数瞬後、爆発する。
「何を言ってるんだよー! 言ったろ! もう無理なんだよ! 蒸気船に乗られたら、港を出られたら追いつけやしない! 何を訳の分からないことを……」
「それでも、俺はリアンを救う。守るんだ!」
俺とバルの視線がかち合う。
「……本気なん?」
バルは一瞬、言葉を詰まらせ、じっと俺を見る。静かな沈黙が流れて二人の視線が交差する。
「ああ」
俺の覚悟を見てとったバルは一度だけ、大きく呼吸をためて深呼吸をし、そしてゆっくりと左手をあげた——
そして、それを見た周りの子供達は各々、その武器を降ろすのだった。
だが、
「ちゃんと聞かせてもらえるんだよなー」
そう。バルは理由を求めたのだった。
地下室の隅、その古ぼけた木のテーブルと椅子代わりの木箱に腰掛け俺たちはバルと相対した。
懐中時計の時刻は14:25
時間がどんどん迫ってくる。
時計の針が一秒ずつ進む音が、俺の鼓動と重なり、焦りを煽る。
刻戻りが発動できる猶予は、もうすぐだ。
15分——この短い時間の中で、リアンを救わなければならない。
——落ち着け、俺。
バルに気づかれないように静かに深呼吸をする。
まだだ。まだ、観察し、分析する。作戦を推定するのはまだだ。
⭐︎⭐︎⭐︎
「は?」
今度こそ、バルは目が点になった。
そして、数瞬後、爆発する。
「何を言ってるんだよー! 言ったろ! もう無理なんだよ! 蒸気船に乗られたら、港を出られたら追いつけやしない! 何を訳の分からないことを……」
「それでも、俺はリアンを救う。守るんだ!」
俺とバルの視線がかち合う。
「……本気なん?」
バルは一瞬、言葉を詰まらせ、じっと俺を見る。静かな沈黙が流れて二人の視線が交差する。
「ああ」
俺の覚悟を見てとったバルは一度だけ、大きく呼吸をためて深呼吸をし、そしてゆっくりと左手をあげた——
そして、それを見た周りの子供達は各々、その武器を降ろすのだった。
だが、
「ちゃんと聞かせてもらえるんだよなー」
そう。バルは理由を求めたのだった。
地下室の隅、その古ぼけた木のテーブルと椅子代わりの木箱に腰掛け俺たちはバルと相対した。
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時間がどんどん迫ってくる。
時計の針が一秒ずつ進む音が、俺の鼓動と重なり、焦りを煽る。
刻戻りが発動できる猶予は、もうすぐだ。
15分——この短い時間の中で、リアンを救わなければならない。
——落ち着け、俺。
バルに気づかれないように静かに深呼吸をする。
まだだ。まだ、観察し、分析する。作戦を推定するのはまだだ。
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