『刻の輪廻で君を守る』

ぜのん

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03章『喧騒下のアブダクテッドな天使様』〈起〉

03章-21

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***03-21-12

 小さくても女の子一人を抱えていては、こちらの方が追いつける筈。

 ピエロが走りながら、一瞬こちらを振り返り、視線が交差した。

 その✖️の印の奥の右眼を見た瞬間、なぜか背筋がゾクリとする違和感。

『何だ!?』

 だが、すぐにピエロは視線をそらし、三叉路の角を左に曲がって消えていった。

 その後を追いかけて俺たちも左に曲がった、次の瞬間。

「そんな……」



 奴の姿はどこにも無かった。



 あたりに扉も隠れられる場所も、何も無い。高い塀が、路地の両脇に高くそびえるのみ。

 そして、まっすぐ坂を降った先は。


「……行き止まり……?」


「馬鹿な……リアン! リアンー!」

 悲痛なバルの叫び声が、こだまする。


 まるで、最初から存在しなかったようにヤツは忽然と消えた。リアンごと。

 ……逆の道は?


 三叉路のもう片方の道、上り坂を振り返る。

 その先は階段になっており、やはり両脇を高い塀が続いていた。

 どこにも隠れるところはない。


 そして、その階段の上がった先には、公園があり、更にその奥には例の時計塔の姿が。


 針は、


 13:45


 それが、俺たちが絶望した時刻だった。

⭐︎⭐︎⭐︎
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