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付録・短編
第2話 後編
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44 けがれた黄金
第一章 凍てついた欲望
第二話
「…週に二回、真夜中の同じ時間に同じルートで、外車が数台通る」
「構成員のお遣いか…」
卓也たちは歩道から車道を見て、何やらきな臭い話をしていた。
「存在しない金だ…この先の裏通りに事務所がある」
「運んでいるブツはかなり期待できそうだな」
「本当に奪う気か?」
「ああ…でも一人でできる仕事じゃない…助っ人がいるな」
卓也がそう言うと、情報屋は何か言いたげな表情を浮かべた。
「…心当たりはある、和田岬に探偵事務所があるんだが…」
「探偵…?何の役に立つんだ?」
「探偵は表向きだ…裏ではやばい案件を扱っているらしい」
「その探偵と組むってことか?」
「一度会ってみたらいい」
「……ちっ」
その時、卓也は気が進まなかったが、一緒に悪行を働く仲間を見つけることができず、結局、達洋たちを頼るしかなかった。
卓也は、達洋たちに反社会組織の裏金強奪の手伝いをさせようとしていた。達洋の探偵事務所はすんなりと彼の依頼を受けたわけだが…
時間は現在に戻り…
「…ちょっと出掛けてくる、適当に寝とけ」
達洋は夏女と食事を済ませた後、独り夜の街へと向かった。
神戸の高架下街に達洋の行きつけのバーがある。彼はそこで一人寂しく飲むわけではなく、誰かと待ち合わせしているようであった。
カラン~
その時、三十代くらいのスーツを着た男が来店した。彼は達洋の姿を確認すると、かすかに笑みを浮かべて歩み寄った。
「お待たせしました…」
「悪いな、急に呼び出して…」
達洋が待っていたのは,彼の刑事時代の後輩であった。
名は斗真。階級は警部補。達洋が刑事を辞めた後も交流関係がある。
「先輩と同じものを…」
斗真はバーマスターに注文して、達洋と話をしようとした。
「…最近、調子はどうだ?相変わらず女にフラれているのか?」
「ほっといてください!用件は何ですか?」
達洋は斗真をからかい、子供のように笑みを浮かべた。
「…頼みたいことがある、実は今日、うちに依頼人が来てな…」
達洋は本題に入り、斗真に卓也のことを話した。
「…この男のことを調べたらいいんですか?」
達洋は隠し撮りした卓也の写真を斗真に見せた。
「ああ、どうも胡散臭くてね…危険な男かもな…」
「…で依頼は引き受けるつもりですか?」
「依頼料はちゃんと貰ってるからな…夏女も納得してくれた」
「彼女に何をさせる気ですか?」
斗真は夏女のことを心配している様子だった。
「大丈夫だ、あいつはお前よりしっかりしているからな…」
「…彼女はまだ記憶が戻らないんですか?」
「ああ…気にしてくれてるのか?」
「記憶…戻らない方が彼女にとって幸せですかね?」
斗真がそう言うと、達洋は表情を一変して押し黙った。そして…
「…もし、記憶が戻っても、あいつの好きにさせるさ…」
達洋は静かに相棒への気持ちを述べて、注文した酒を飲み干した。
「…それじゃあ、調べておきますんで…」
「頼んだぞ、課長には黙っといてくれ」
「何故です?」
「あいつに貸しを作りたくない…ただ、それだけのことだ」
達洋と斗真の上司の関係は、元同僚で幼馴染であった。彼は元部下と別れて、何かを企みながら帰路に就いた。
第一章 凍てついた欲望
第二話
「…週に二回、真夜中の同じ時間に同じルートで、外車が数台通る」
「構成員のお遣いか…」
卓也たちは歩道から車道を見て、何やらきな臭い話をしていた。
「存在しない金だ…この先の裏通りに事務所がある」
「運んでいるブツはかなり期待できそうだな」
「本当に奪う気か?」
「ああ…でも一人でできる仕事じゃない…助っ人がいるな」
卓也がそう言うと、情報屋は何か言いたげな表情を浮かべた。
「…心当たりはある、和田岬に探偵事務所があるんだが…」
「探偵…?何の役に立つんだ?」
「探偵は表向きだ…裏ではやばい案件を扱っているらしい」
「その探偵と組むってことか?」
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「……ちっ」
その時、卓也は気が進まなかったが、一緒に悪行を働く仲間を見つけることができず、結局、達洋たちを頼るしかなかった。
卓也は、達洋たちに反社会組織の裏金強奪の手伝いをさせようとしていた。達洋の探偵事務所はすんなりと彼の依頼を受けたわけだが…
時間は現在に戻り…
「…ちょっと出掛けてくる、適当に寝とけ」
達洋は夏女と食事を済ませた後、独り夜の街へと向かった。
神戸の高架下街に達洋の行きつけのバーがある。彼はそこで一人寂しく飲むわけではなく、誰かと待ち合わせしているようであった。
カラン~
その時、三十代くらいのスーツを着た男が来店した。彼は達洋の姿を確認すると、かすかに笑みを浮かべて歩み寄った。
「お待たせしました…」
「悪いな、急に呼び出して…」
達洋が待っていたのは,彼の刑事時代の後輩であった。
名は斗真。階級は警部補。達洋が刑事を辞めた後も交流関係がある。
「先輩と同じものを…」
斗真はバーマスターに注文して、達洋と話をしようとした。
「…最近、調子はどうだ?相変わらず女にフラれているのか?」
「ほっといてください!用件は何ですか?」
達洋は斗真をからかい、子供のように笑みを浮かべた。
「…頼みたいことがある、実は今日、うちに依頼人が来てな…」
達洋は本題に入り、斗真に卓也のことを話した。
「…この男のことを調べたらいいんですか?」
達洋は隠し撮りした卓也の写真を斗真に見せた。
「ああ、どうも胡散臭くてね…危険な男かもな…」
「…で依頼は引き受けるつもりですか?」
「依頼料はちゃんと貰ってるからな…夏女も納得してくれた」
「彼女に何をさせる気ですか?」
斗真は夏女のことを心配している様子だった。
「大丈夫だ、あいつはお前よりしっかりしているからな…」
「…彼女はまだ記憶が戻らないんですか?」
「ああ…気にしてくれてるのか?」
「記憶…戻らない方が彼女にとって幸せですかね?」
斗真がそう言うと、達洋は表情を一変して押し黙った。そして…
「…もし、記憶が戻っても、あいつの好きにさせるさ…」
達洋は静かに相棒への気持ちを述べて、注文した酒を飲み干した。
「…それじゃあ、調べておきますんで…」
「頼んだぞ、課長には黙っといてくれ」
「何故です?」
「あいつに貸しを作りたくない…ただ、それだけのことだ」
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