キケンなバディ！

シーズン１

第１４話 前編

キケンなバディ！　第一期
第三章　最強コンビ誕生
　
　　　２

　真部と夏女は、恨みを持った者たちに襲われることになるが…

「ふ…」
　真部は屈強な男たちに立ち向かう夏女の様子を見て、かすかに笑みを浮かべていた。
「…何、よそ見していやがる？そんな余裕あんのか？」
「…それはこっちの台詞だと思うが…もうお前だけだぞ」
　真部はリーダー格の男を残して、周りの敵を倒していた。
「…貴様のその生意気な面に風穴開けてやる！」
「それは飾りか？掠ってもいないぞ、今度はちゃんと当てろ！」
　真部は銃を向けたリーダー格の男に挑発するかのように吠えた。
　そして…

　室内に銃声が鳴り響くが、真部は一切動じず、弾道を読んですんなりと避けていた。
「残念…」

　真部は呆れた顔を浮かべながら愛銃、Ｍ２９（４４マグナム６インチ）の引き金を引き、リーダー格の男の利き手を潰した。

「…ぎゃ…ぁぁあうあ…！」
「…両手を潰したら事務作業デスクワークや電話番ができないだろう、じっとしてろ」
　真部はもがき苦しむ男を置いて、夏女の助っ人に行こうとした。

だが、その必要はないようだ。

「…わ…悪かった…許してくれ…！」
　夏女に襲い掛かった連中は、態度が一変して、情けない表情で土下座をしていた。
夏女は蝶のように舞い、蜂のように刺す戦法で相手を倒していき、彼女の周りには、負傷して使い物にならない男の姿があった。
「もう危害を加えないと約束すれば、何もしないよ…」
　夏女は怖気づいた男たちに優しく接して、真部のもとへ向かおうとした。だが、残った男三人は彼女の隙を狙い、その瞬間を心待ちにしていた。

　男三人は勝利を確信して、夏女に向けて引き金を引こうとしたが…

　再び、室内に銃声が鳴り響いた。

「うぁぁぁ！」「ぎぃぃぁあ！」「…あぎ…ぃぃあ！」
　そこには、血まみれの利き手を押さえている男三人の姿があった。その一方で、夏女は所持していた拳銃、コルトパイソン３５７マグナム（２．５インチ）を構えていた。その銃口からは煙が立っており、彼女は背後から撃つ者に対して、容赦なく発砲したのであった。

「…忠告はしたからね」
　夏女はそう言って、男三人に標準を合わした。その時の彼女は、冷酷な表情でまるで別人であった。彼らに助かる術はないと思われたが…

　夏女の射殺は阻止されようとしていた。彼女の得物を見ると、大きな手が被さっていた。
「…よせ、もう、彼らには殺意も戦意もない」
　夏女は真部が現れたことで、我に返った。

　回転式拳銃リボルバーは回転式弾倉シリンダーを押さえると引き金が引けず、射撃不能となる。真部は夏女に撃たせないよう、咄嗟にシリンダーを押さえたのであった。

「…ごめんなさい、私…」
「撃とうとした時、怖い顔だったぞ、明らかに殺そうとしてた…」
「そうみたいね…銃を持つと、どうも調子が狂うわ…」
「分かるよ…俺も未だに拳銃こいつをどう扱うか考えさせられる」
「…人を殺してしまったことは？」
「…あるさ、刑事時代は正当防衛で数人…今はもう数え切れん」
「何故、今の仕事を？」
「…警察ぜんしょくに限界があることに気づいてね、今は自由に動けるし、多くの人を助けられる…危険度が増すがね…そこで、生き抜くために銃を撃つ時の心得があるんだ」
「心得…？」

一、背後から狙う者は一発で仕留めるべし。
二、裏切りが発覚した場合、依頼人だろうと射殺するべし。
三、相棒の敵は確実に銃殺するべし。

「以上の三つの心得に該当する点があれば、銃で殺しても構わない…瞬時の判断が重要だということだ…」
「…分かったわ、今度から気をつける」
「プロは割り切って作業を行う…そこが快楽殺人者アマチュアと違うところだ、あくまで殺しはビジネス…お前の場合、銃を持つと人格が変わってしまうようだから、どうにかせんとな…」
「コントロールするわ…また、射撃場借りないと…」
　これで夏女が拉致された時に、どうやって助かったか謎が解けたわけだ。俺に報復を誓った者たちは、彼女の力量を確かめるための生贄えさとなった。