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短編2
第1幕 第1場/1
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ジャンヌコード 女神の挑戦
ブルーナンバー 禁断の休暇
1 美海の香り
厳しい暑さが続く日本の夏、<煌花歌劇団>は勢いが衰えず、観客の期待に応えようと奮闘していた。
<煌花歌劇団>は複数の舞台班に分かれて公演を行っており、
公演スケジュールなどはそれぞれ異なる。
さらには拠点としている劇場の公演だけでなく、全国巡業、新人スター育成のための公演などがあるため、班の中で二手に分かれることが多々ある。これにより、ファンは日本各地で<煌花歌劇団>の舞台を楽しむことが可能となった。
当劇団舞台一班のトップスターのテリカは、大作の公演を終えて一段落ついていた。
「…ふ~焦った…」
ある朝、テリカは一度目を覚まして慌てた素振りを見せるが、ふと休日だということに気づいた。
ほっとした彼女は、不規則と分かっていながら再びベッドに寝転がり、二度寝することにした。
その日、午前中は比較的気温が低く、テリカは冷房をつけていなかった。
テリカはある夢を見ていた。しかし、夢といってもその内容は、現実でのテリカの歌劇団新人時代の出来事であった。この頃、トップスター時代に比べれば楽な方で、彼女は安心して夏休みを取っていた。
テリカは夏に休みを取ると、決まった場所に足を運んで羽を伸ばしていた。
その場所は神奈川県内に位置する美しい海が一望出来るのどかな観光地、<柚里浜>であった。
漁業が盛んな町であるが、春は山で花見、夏はスキューバダイビング、秋は紅葉狩り、冬は外湯巡りと一年中楽しめる観光スポットとなっていた。
「…ガトン…ゴゴ…」
トンネルの暗闇から抜けて海沿いを走る列車には、テリカが乗っていた。その他の乗客の中には、
馬鹿騒ぎしている大人や子供がいて、それを迷惑そうに見ている者も少なくない方で…
「…コン」
その時、酔っ払いが放ったビールの空き缶がテリカに命中した。
しかし、彼女は少しも反応せず、サングラスをかけながら爆睡していた。
[…ご乗車ありがとうございました…まもなく<柚里浜>に到着いたします…
お降りの際、お忘れ物がないようお気を付け下さい…]
車内に聴き心地の良いアナウンスが流れ、テリカはそれで眼を覚まして降りる準備をした。
「あ~やっと着いた~暑いね~」
テリカは背中を軽く反らし、駅を出ると、まぶしい陽光を浴びた。外は蝉の声が鳴り響き、夏の空気が染み渡っていたが、がらんとして、これといって目立つ物はなかった。
駅前にはタクシー乗り場と一日に二回しか来ないバスの停留所、他に小さな売店や古びた食堂がある程度だ。
「…!」
テリカにとって見慣れた風景であったが、今年はどうも様子が違っていた。
「環境破壊するな!」「リゾートホテル建設反対!」等と書かれた旗が駅の隅の方に掲げられており、
さらには熱い中、だらだらと汗を掻きながら署名運動をしている町民を眼にした。
そんな中…
ブルーナンバー 禁断の休暇
1 美海の香り
厳しい暑さが続く日本の夏、<煌花歌劇団>は勢いが衰えず、観客の期待に応えようと奮闘していた。
<煌花歌劇団>は複数の舞台班に分かれて公演を行っており、
公演スケジュールなどはそれぞれ異なる。
さらには拠点としている劇場の公演だけでなく、全国巡業、新人スター育成のための公演などがあるため、班の中で二手に分かれることが多々ある。これにより、ファンは日本各地で<煌花歌劇団>の舞台を楽しむことが可能となった。
当劇団舞台一班のトップスターのテリカは、大作の公演を終えて一段落ついていた。
「…ふ~焦った…」
ある朝、テリカは一度目を覚まして慌てた素振りを見せるが、ふと休日だということに気づいた。
ほっとした彼女は、不規則と分かっていながら再びベッドに寝転がり、二度寝することにした。
その日、午前中は比較的気温が低く、テリカは冷房をつけていなかった。
テリカはある夢を見ていた。しかし、夢といってもその内容は、現実でのテリカの歌劇団新人時代の出来事であった。この頃、トップスター時代に比べれば楽な方で、彼女は安心して夏休みを取っていた。
テリカは夏に休みを取ると、決まった場所に足を運んで羽を伸ばしていた。
その場所は神奈川県内に位置する美しい海が一望出来るのどかな観光地、<柚里浜>であった。
漁業が盛んな町であるが、春は山で花見、夏はスキューバダイビング、秋は紅葉狩り、冬は外湯巡りと一年中楽しめる観光スポットとなっていた。
「…ガトン…ゴゴ…」
トンネルの暗闇から抜けて海沿いを走る列車には、テリカが乗っていた。その他の乗客の中には、
馬鹿騒ぎしている大人や子供がいて、それを迷惑そうに見ている者も少なくない方で…
「…コン」
その時、酔っ払いが放ったビールの空き缶がテリカに命中した。
しかし、彼女は少しも反応せず、サングラスをかけながら爆睡していた。
[…ご乗車ありがとうございました…まもなく<柚里浜>に到着いたします…
お降りの際、お忘れ物がないようお気を付け下さい…]
車内に聴き心地の良いアナウンスが流れ、テリカはそれで眼を覚まして降りる準備をした。
「あ~やっと着いた~暑いね~」
テリカは背中を軽く反らし、駅を出ると、まぶしい陽光を浴びた。外は蝉の声が鳴り響き、夏の空気が染み渡っていたが、がらんとして、これといって目立つ物はなかった。
駅前にはタクシー乗り場と一日に二回しか来ないバスの停留所、他に小さな売店や古びた食堂がある程度だ。
「…!」
テリカにとって見慣れた風景であったが、今年はどうも様子が違っていた。
「環境破壊するな!」「リゾートホテル建設反対!」等と書かれた旗が駅の隅の方に掲げられており、
さらには熱い中、だらだらと汗を掻きながら署名運動をしている町民を眼にした。
そんな中…
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