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第二章

──第102話──

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 その後、俺はいくつもエヴァン達に入れた“核”と同じモノを作り、ネロとラルフに渡していた。

 ネロとラルフはそれを持って城内で人知れず“核”の取り換えを行い、回収してきた“核”は俺が預かる。

 俺はそんな淡々とした日々を送っていた。

……飽きたな。

いや、ネロやラルフが頑張ってるのは知ってるよ?
俺がコレをやらないといけないのも分かってるよ?
でも、なぁ……。

 ずっと机にかじりついて、機械になった様に同じモノをひたすらに作る作業は、どうにも俺の性格には会わないみたいだ。

 同じ作業をするのでも、身体を動かしてる方が良いな。

 今は夕方なので、ラルフは後ろで寝て、ネロは宿の主人に呼ばれたので部屋にいない。

身体がなまりそうだっ!
動きたいっ!

 頼まれている数の“核”を作り終えた俺はそのまま机にした。

 ふいに扉が開かれ、用事が終わったネロが帰ってくる。

「何やってんだ、ルディ。サボってんのか?」

「今、作業が終わって休憩したとこだよ。……タイミング悪ぃな。」

「なんだ、俺がいねぇ間はサボってんのかと思ったぞ。」

「んな事しねぇよ。ほら、これ。」

 ネロが冗談で言っているのが分かっているので腹は立たない。

いつもの事だし。

 俺はネロに“核”の入った袋を渡す。
 ネロは袋を受け取り魔法鞄に入れると、今度はネロから何かを渡された。

「何?」

「頼んでたローブが出来たんだ。これ、ルディの分な。」

「ああ、アレって俺の分だったのか。」

「念のために作ってただけだ。」

「あ、そう……。で、何に使うんだ?」

「前に拠点みたいな所を見つけたっつってたろ?……まぁ、調べてると拠点……根城ねじろだと思ってたんだが、出城でじろの方みたいなんだ。」

出城でじろっつーと……?
根城ねじろが本部として、出城でじろが支部みたいな感じだったか??

 俺が頭の中で検索をかけ、一呼吸置いてからネロは言葉を続けた。

「このローブがあれば中まで入れるからな。今日……いや、明日の方が良いか……明日そこに行くぞ。」

……はい?
そんな ちょっと遠出してみようぜ みたいな軽いノリで言われても。
敵陣に行くんだよな?
俺にも色々と準備とか、さぁ……。
いや、もうネロが済ませてそうだな……。

「……俺も行くのか?」

 無駄だと分かっていても、とりあえず聞いてみる。

「当たり前だろ?それに、ルディも そろそろ じっと机の前で作業するの飽きたんじゃねぇの?」

ネロ、俺の事分かってるー……。
……。
って、いや!
そうだけどっ!
動きたいと思ってたけどさ!
そんなスリルあるモン、俺は求めて無いぞ!?

 ネロは口の端を持ち上げて意地悪そうに笑いかけてきた。
 そんなネロに俺は肩を落として答える。

「いや、確かにそうなんだけどさ……もっと前以まえもって言ってくれねぇか?」

「は?何でだよ。」

「ほら、心の準備とかあるだろ。」

「心の準備をしようが しまいが、行くって結果は変わらねぇんだからいつ聞いても同じだろ?心の準備くらい一日でやれ。」

そうか……。
え、そうなのか?
俺が間違ってるのか?
俺の準備期間短くねぇか?
急過ぎやしませんかね??

 俺は疑問が浮かび過ぎて、ため息しか出せなかった。
 俺のため息を了承と取ったネロはラルフを起こしにかかる。

「ラルフ、起きろ。飯にするぞ。」

「んー……。もう、そんな時間……?」

 眠い目を擦りながらラルフは起き上がり、俺とネロ、そして あくびをするラルフと共に部屋を出て食堂へと向かった。







 翌日。

 俺は昼食の後に一度睡眠を取り、夕食の後 部屋であのローブを身にまとった。

 ネロもラルフも同じ様にローブを身にまとい、ネロは窓の方へ向かうと飛び降りた。

 俺とラルフもその後を追い、ネロの先導の元 目的地へと向かう。

 辿り着いた場所は国内の中心街から外れた場所にある路地裏だった。

 家と家の間にある細い道を行くと、ネロが立ち止まる。

「ルディ、そこ危ねぇから下がれ。」

 ネロの言葉で俺は一度後ろを向くと、ラルフは知っていた様子で俺より三歩程後ろの位置にいた。

ラルフ、呼び止めてくれよ……。

 にこにこと笑顔のラルフに何も言う気にはなれず、俺は黙ってラルフの近くへ行く。

 それを確認したネロはリズムを刻む様に足を鳴らすと、先程まで俺がいた位置の床が消えた。

うわ、危なっ!
あのまま居たら階段に激突してたぞ!
いきなり足元が消えるって恐怖しかねぇじゃん!
どっかのテレビ番組よろしく、ドッキリでしたーなんてこっちには無いからな。

 驚いていたのは俺だけだったので咳払いをして誤魔化し、階段を降り始めたネロの後に続いた。
 その途中でネロが俺達に声をかける。

「フードを目深まぶかに被れ。……特にルディ。」

何で俺だけ!?
……あ、髪の毛の色か。
くそぅ、二人はずりぃな……。

 俺とラルフはネロの言葉に従いフードを深く被る。

 止めていた足を進め、降りた先に見えたのは、小窓がついた扉。

 俺達が降りて来た音を聞き付けたのか、小窓が開くと中から声が聞こえてくる。

「“お前は誰だ”。」

「“私は神に認められし主の手足となり付き従う者”。」

 小窓の言葉にネロが答えると、扉の鍵が開いた音が聞こえた。

 ネロは そのまま躊躇ためらい無く扉を開け、中へと入いるので俺とラルフも続けて入り、俺は小声でネロに問いかけた。

「なんだ今の仰々ぎょうぎょうしい言葉は。」

「それが ここの合言葉なんだよ。俺だって言いたくて言ってる訳じゃねぇ。」

「あはは!ネロには似合わないよねー!」

 俺は緊張しているのを隠すために出した言葉だったが、ラルフの陽気な声に緊張感が薄れてしまった。

















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