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第二章
──第50話──
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「ねえ!セシルとテトがネロと出会った時の話聞きたいなー!」
運ばれて来た料理を食べながら、ラルフが獣人二人に声を掛けた。
「俺達だって、ルディとラルフに色々と聞きたいぜ!なぁ、テト?」
「そうだね。故郷がどんな所なのか、とか、今までどんな魔物と戦ってきたのか、とかね。本当に聞きたい事がたくさんあるよ!」
「一気に聞かれても答えられないよー?」
ラルフがセシルとテトと仲良く会話をしている。
俺はそれを聞きながら運ばれて来た料理に舌鼓を打つ。
なにこれ!?
うまっ!!
肉が良い感じだ。
ソースも甘酸っぱくてうめぇ。
何の魔物の肉だろう。
「どっちも聞きたい事がありすぎるから、“フォルテ”で決めるのはどうかな?」
「お、良いねぇテト。勝った方が一つ質問をするって事だな。」
「そう言う事!」
テトが懐から取り出したカードを机に置きながら説明を始めた。
ラルフは興味津々にその言葉に耳を傾けている。
「これは二人で遊ぶカードなんだ。例えば、僕とセシルが遊ぶとすると……まずは五枚のカードを手元に持って、そこから始まるんだ。今は説明だから表を向けてるけど、本番は隠してね。」
テトが自分の前とセシルの前に五枚ずつカードを並べる。
その絵柄は五種類あった。
テトは一番端に置いたカードから順に説明する。
「まずは、これ。王様のカードで一番強いんだ。それから貴族のカード。王様より弱いけど他のカードよりも強い。そして……」
説明をまとめると
王様>貴族>騎士>農民>庶民
の強さがある。
ただ、庶民は反逆をしたとして王様に勝てると言うルールだった。
「それぞれ一枚決めて机に置く。強い方のカードを出した方が勝ち。これを手持ちのカードが無くなるまでやって勝った回数が多い方が勝ちなんだ。ラルフもルディも分かった?」
「なんとなく分かった!ね、ルディ!!」
「ん?うん。」
ごめん、食べるのに夢中で話半分だったわ。
お腹が空いてたんだもん!
しょうがないよね、美味しいからさ。
皆、食べないなら、それも食べていい?
「それじゃ、まずはどっちからやる?」
テトが俺とラルフに聞いてきた。
いや、俺はあんまりルール覚えて無いから……
そうだ。
さっきラルフに話をぶん投げられたから…
「まずは、ラルフからやるよ。俺はまだ分かって無い部分もあるし。」
俺も話をぶん投げてやろう。
「えー!?そうなの!?」
驚きの声を上げているが、ラルフの顔は笑顔だ。
本気では嫌がっていないのが、ありありと分かる。
最初はセシルとラルフで勝負する事になった。
「俺は、最初のカードはもう決めてたんだっ!」
セシルは配られた五枚のカードの一枚を伏せて机に置いた。
その様子を見ていたラルフはどのカードを出すか悩んでいる様子だ。
「決めるの早いねー!」
「俺は大体このカードを最初に出すって決めてんだよ。」
「そうなんだ!最初はやっぱり強いカードを出した方が良いのかなー?」
「さぁな?人それぞれだし、弱いカードを後に残したく無いって言って先に弱いカードを出すヤツもいるな。」
「そうなんだ!……ねぇねぇ!何のカード選んだの?」
「言う訳ないだろ!」
セシルとラルフは笑いながら会話を続けていく。
「ねぇねぇ!最初はやっぱり真ん中の方が良いのかなー?それとも、王様?」
「……さぁな。それも良いんじゃないか?」
「……うん!決めた!」
ラルフは一枚のカードを机に置き、テトの合図でカードをめくる。
セシルが貴族。
ラルフが王様。
ラルフの勝ちだ。
セシルは笑ながらも少し悔しそうに言葉を放つ。
「最初は取りたかったなー、くそ。何で分かったんだ?」
「セシルは分かりやすいよね!」
「……何がだ?」
「最初、僕が弱いカードを出させようとしたけど、王様を出すかもしれないってなった時に動揺してたもん!」
「俺、ポーカーフェイスには自信があったんだけどな……」
「あははははは!」
ラルフ……もしかしてセシルにカマかけてたのか……?
「よしっ!次だ!次っ!」
セシルが勢い良く声を発し、次の対戦に移る。
睨み合う事数分。
セシルは机の上にカードを置く。
ラルフもそれに続きカードを置いた。
テトの合図で再びカードはめくられる。
セシルが王様。
ラルフが庶民。
反逆が決まり、ラルフの勝ちだ。
「なんでだっ!?反逆なんて、そうそう決まらないぞ!?」
「あははははは!ちょっとした賭けだったんだけどね!それに、もし負けても一対一だから問題無いからね!」
「……何で、庶民のカードを出した?」
「え?だってセシルは最初に勝ちたかったって言ったでしょ?なら四分の一で勝てる王様のカードを出すんじゃないかなって!それに、庶民のカードを序盤で出すのはかなりの賭けだからね!」
「そこまで読んでたのか……全く恐れ入るぜ。」
その後も会話を楽しみながら対戦が続き、結果は四勝一分でラルフの勝ち。
出したカードの順番は
セシルが庶民、農民、騎士。
ラルフが騎士、農民、貴族。
となっていた。
「じゃあ!約束通り、ネロと出会った頃の話を聞かせてよ!!」
「ああ、そうだな。って言っても大した話じゃねぇけどよ。」
ラルフの促しで、セシルはネロとの出会いを語り始める。
運ばれて来た料理を食べながら、ラルフが獣人二人に声を掛けた。
「俺達だって、ルディとラルフに色々と聞きたいぜ!なぁ、テト?」
「そうだね。故郷がどんな所なのか、とか、今までどんな魔物と戦ってきたのか、とかね。本当に聞きたい事がたくさんあるよ!」
「一気に聞かれても答えられないよー?」
ラルフがセシルとテトと仲良く会話をしている。
俺はそれを聞きながら運ばれて来た料理に舌鼓を打つ。
なにこれ!?
うまっ!!
肉が良い感じだ。
ソースも甘酸っぱくてうめぇ。
何の魔物の肉だろう。
「どっちも聞きたい事がありすぎるから、“フォルテ”で決めるのはどうかな?」
「お、良いねぇテト。勝った方が一つ質問をするって事だな。」
「そう言う事!」
テトが懐から取り出したカードを机に置きながら説明を始めた。
ラルフは興味津々にその言葉に耳を傾けている。
「これは二人で遊ぶカードなんだ。例えば、僕とセシルが遊ぶとすると……まずは五枚のカードを手元に持って、そこから始まるんだ。今は説明だから表を向けてるけど、本番は隠してね。」
テトが自分の前とセシルの前に五枚ずつカードを並べる。
その絵柄は五種類あった。
テトは一番端に置いたカードから順に説明する。
「まずは、これ。王様のカードで一番強いんだ。それから貴族のカード。王様より弱いけど他のカードよりも強い。そして……」
説明をまとめると
王様>貴族>騎士>農民>庶民
の強さがある。
ただ、庶民は反逆をしたとして王様に勝てると言うルールだった。
「それぞれ一枚決めて机に置く。強い方のカードを出した方が勝ち。これを手持ちのカードが無くなるまでやって勝った回数が多い方が勝ちなんだ。ラルフもルディも分かった?」
「なんとなく分かった!ね、ルディ!!」
「ん?うん。」
ごめん、食べるのに夢中で話半分だったわ。
お腹が空いてたんだもん!
しょうがないよね、美味しいからさ。
皆、食べないなら、それも食べていい?
「それじゃ、まずはどっちからやる?」
テトが俺とラルフに聞いてきた。
いや、俺はあんまりルール覚えて無いから……
そうだ。
さっきラルフに話をぶん投げられたから…
「まずは、ラルフからやるよ。俺はまだ分かって無い部分もあるし。」
俺も話をぶん投げてやろう。
「えー!?そうなの!?」
驚きの声を上げているが、ラルフの顔は笑顔だ。
本気では嫌がっていないのが、ありありと分かる。
最初はセシルとラルフで勝負する事になった。
「俺は、最初のカードはもう決めてたんだっ!」
セシルは配られた五枚のカードの一枚を伏せて机に置いた。
その様子を見ていたラルフはどのカードを出すか悩んでいる様子だ。
「決めるの早いねー!」
「俺は大体このカードを最初に出すって決めてんだよ。」
「そうなんだ!最初はやっぱり強いカードを出した方が良いのかなー?」
「さぁな?人それぞれだし、弱いカードを後に残したく無いって言って先に弱いカードを出すヤツもいるな。」
「そうなんだ!……ねぇねぇ!何のカード選んだの?」
「言う訳ないだろ!」
セシルとラルフは笑いながら会話を続けていく。
「ねぇねぇ!最初はやっぱり真ん中の方が良いのかなー?それとも、王様?」
「……さぁな。それも良いんじゃないか?」
「……うん!決めた!」
ラルフは一枚のカードを机に置き、テトの合図でカードをめくる。
セシルが貴族。
ラルフが王様。
ラルフの勝ちだ。
セシルは笑ながらも少し悔しそうに言葉を放つ。
「最初は取りたかったなー、くそ。何で分かったんだ?」
「セシルは分かりやすいよね!」
「……何がだ?」
「最初、僕が弱いカードを出させようとしたけど、王様を出すかもしれないってなった時に動揺してたもん!」
「俺、ポーカーフェイスには自信があったんだけどな……」
「あははははは!」
ラルフ……もしかしてセシルにカマかけてたのか……?
「よしっ!次だ!次っ!」
セシルが勢い良く声を発し、次の対戦に移る。
睨み合う事数分。
セシルは机の上にカードを置く。
ラルフもそれに続きカードを置いた。
テトの合図で再びカードはめくられる。
セシルが王様。
ラルフが庶民。
反逆が決まり、ラルフの勝ちだ。
「なんでだっ!?反逆なんて、そうそう決まらないぞ!?」
「あははははは!ちょっとした賭けだったんだけどね!それに、もし負けても一対一だから問題無いからね!」
「……何で、庶民のカードを出した?」
「え?だってセシルは最初に勝ちたかったって言ったでしょ?なら四分の一で勝てる王様のカードを出すんじゃないかなって!それに、庶民のカードを序盤で出すのはかなりの賭けだからね!」
「そこまで読んでたのか……全く恐れ入るぜ。」
その後も会話を楽しみながら対戦が続き、結果は四勝一分でラルフの勝ち。
出したカードの順番は
セシルが庶民、農民、騎士。
ラルフが騎士、農民、貴族。
となっていた。
「じゃあ!約束通り、ネロと出会った頃の話を聞かせてよ!!」
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