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第二章

──第28話──

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この世界に来てから初めて人間に出会った数日後。

長老に呼び出されていた。

『ルディ、着いてきてくれ。』

この間の事を怒られるのかとヒヤヒヤしながら長老に付いていくと、あのサンルークに加護を与えられた神殿の様な場所に辿り着いた。

長老は中央にある台座の前で片膝をつき、俺に視線で続くように促されたので、長老の横に同じ様に片膝をつく。

一体何なんだろう……?

『神獣王様、お連れ致しました。』

長老が台座に向かい声を掛けると、部屋全体に小さな光が溢れ、霧散していた光が台座に集まり人の形になる。

『よく連れて来た、ハロルド。』

低く響く声を発する目の前の男。
その男の声に長老は深々と頭を下げる。

『ハロルド……すまないが、席を外してくれるか?』

『畏まりました。』

なんの躊躇も無く、長老は一礼して部屋を後にする。

俺はどうすれば良いんだろう。
長老、何か説明しといてくれよ。

長老が去ったのを確認すると、男は口を開けた。

『お前がルディだな。我が名はカルロス=ブレイク。神獣王とも呼ばれている。して、今回ルディを呼んだのには訳がある。ルディ……お前は転生者だな?』

『……っ!?』

誰にもその事は言った事が無かったので、突然の発言に身体を強張らせてしまった。
神と名前に付いているから、知っていて当然なのかもしれないが……。

『あぁ、そんなに身構えるな。我が知っていたのはミアから聞いていたからだ。』

『……ミア?』

誰だろう、それ。
どっかで名前は聞いた事がある気もするが……。
知り合いにはそんな名前はいなかったはずだ。

『ミアを知らんのか?ルディが持っている加護を与えた大精霊達の母親だ。精霊王や精霊神とも言われているが…………まぁ、精霊の母と言う事だな。』

そう言えばサンルークが母様が、とか聞いた事があったが名前までは知らなかった……と思う。

『ミアからは、ルディが転生する前に呼び出したヤツと喧嘩になっていた……としか聞いていないんだが、ルディが転生者で間違いはなさそうだな。』

『……はい。』

ここで嘘をついても仕方がない。
ミアって言う人?神?精霊?は俺の転生前の事を知ってるのか……?

『ふむ、そうか…………。あまり詳しくは語れぬが、近々厄災が起きる。』

『……厄災、ですか?』

いきなりだな。
そもそも何故俺に言う……

『そうだ。悲しい事に───────。』

カルロスは口をパクパクさせ話している様だが、その声は聞こえない。

『ふむ、どうやらこの事も伝える事が出来ぬ様だ……。あまり下界の者に詳しく伝えると世界が揺らいでしまう……すまんな。』

『えっと……何故それを俺に……?』

急展開過ぎて話についていけない。
伝えられない重要な情報は欲しいが、無理ならしょうがない。

『ルディがその厄災を止める鍵になるからだ。』

…………?
はい?

『どういう、事ですか……?』

そんな重そうな役割は熨斗のしを付けてお返ししたい。

『天界の神の一人が携わっている。その神の方はこちらでも対処しているんだが、下界の方は我らでは直接干渉が出来ん。そこで、ルディに下界での対処をしてもらいたい。』

…………俺の頭の容量が足りない。
混乱してきた。

『え、と……神の一人が厄災に関わっている、と言う事ですか……?』

『直接では無いが間接的に関わっている可能性があるな。』

関わってるのかー……。
えぇぇ…………。
ワケわからんぞ。

『俺は何をしたら良いんですか……?』

『厄災を止めて欲しい。』

それは知ってる!
新しい情報をくれ!
さっきから一ビットも情報が増えて無い!!

『俺はどうしたら良いんでしょう……?』

『こちらでの準備は進めてある。その時、時期がくればルディを導いてくれるだろう。その瞬間を逃さぬ様にしてくれれば良い。』

これ、会話成り立ってんの?
あんまり言葉のキャッチボールが出来てない様な気がするんだけど……。
印象的には言葉のドッジボール?それか、デッドボールだな。
カルロスの言葉の意味が理解出来ん!

『話は以上だ。……だが、この事は誰にも言うで無いぞ。まぁ、言おうとしても言えないだろうがな。我も急ぎやらねばならぬ事がある。ではな……』

カルロスは言いたい事だけ言って光が霧散し、その場には俺だけが取り残された。

終わりかよっ!
え?まじで??
俺の中の謎は謎のままなんだけど。

心がもやもやしたまま、その部屋を出ると焦った様子で長老がこちらに駆け寄って来た。

『おお、ルディ。何かあったのか?神獣王様が『ルディを呼べ』と言っただけで、詳しくは聞かされてないんだ。』

なるほど、だから説明も何も出来なかったのか。
カルロスからは言うなって言われてるけど、どうせ言えないって言われてるし……

ちょっとした好奇心で、先程カルロスから聞いた話をしてみる。

『えっと、実は─────────。』

声が出なかった。
さっきカルロスが口をパクパクさせ言葉を発せなかった時の様に、口からは空気が漏れるだけで音は何も出ない。

『どうした?ルディ。』

心配そうに長老が聞いてくるが、話せない内容なので説明も出来ない。

『ううん。何でもない、大丈夫。』

『そうか?何かあれば言うんだぞ。』

『分かった、ありがとう。』

長老に心配してくれたお礼をし、家に帰る。

道中、先程のカルロスが言っていた厄災とは一体何なんだろう、と考えるが、何も思い浮かばなかった。











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