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第五部ー君の眠りは僕には辛すぎてー
番外編4 世界一って?
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蓮見は神童――妖術の無限の可能性が広がっている。
この目の前の幼児が到底そんな力を持っているとは思えなかった。
――皆は出かけて、白雪夫妻は用事があるからと蓮見を柘榴に任せて、星座を連れて何処かへ行った。
久しぶりに陽炎と柘榴は、二人だけの空間は何だか気恥ずかしいが、すぐにも慣れる。
蓮見がぐずれば二人であやし、蓮見のオムツから嫌な匂いがすれば二人で、息のあった交換をすぐさまして、綺麗な蓮見の出来上がり。
蓮見は他の子供より、おとなしめで動かないでと言ったときは本当に動かないでいてくれるから、助かる。
「――蓮見が世界一、ね」
「世界最強かぁ……――いいなぁ」
「は? 何で、いいの?」
「いや、まぁ、蒼刻一と話した後、色々思うことがあったワケですよ、おいらにも」
「……ふぅん」
陽炎と柘榴は手を洗い、昼飯の準備をするために台所へ行く。蓮見が眠っている隙に。
柘榴の手料理を食べるのは久しぶりだし、柘榴の料理の腕は、かつて王宮お抱えになったほどなのだから、とても楽しみだ。
「っほいよ」
「って、お茶漬けかよおおお!!! 楽しみにしていた俺の心、どこにいった?!」
「まぁ食べてみてくださいよ、同じことが言えますかねぇ」
「ミスターヤマオカ?!」
どこぞの料理に拘りのある古文史の主人公みたいなことを言われ、陽炎は眼を細めてじぃーっと柘榴を見つめる。
その棘のある視線に耐えられなかったのか、柘榴が備え付けにとっておきの漬けていた漬け物を出した。
柘榴の漬け物を食べることを許されてるのは、柘榴だけしかいない。
魚座でさえ許されてない。
だから、陽炎はそれを見て、まぁ許してやるか、とお茶漬けをずずっと啜りながら、流し込み、漬け物を口にする。
大根の漬け物はシンプルだからこそ、味の美味さはすぐに他のと比較出来る。
「――ウマイ!」
「おお、そりゃぁおいらの長年の料理センスが一番光ってる奴だからなぁ」
柘榴は褒められて少し照れくさそうに笑い、それから、己もお茶漬けを用意し、口にする。
やっぱり東洋の料理は何処か自分にしっくりきて、美味しいと思える。
これでミシェルという、東洋で尤も神秘だとされていて漬け物も他の群を抜いてウマイ本場に、行ってしまえば本望だ。
「――仮にさ」
「ん?」
「仮にさ、蓮見が世界最強になって何が困るんだ?」
「かげ君、蒼刻一を見ていて何とも思わないのか? あれが世界最強で在り続けた男のなれの果てだよ?」
「ねじ曲がってるな。一回曲がって、曲がりに曲がって、一周してる管みたいだ」
「世界最強ってのは、ああいうことさ」
柘榴の言葉に、陽炎は目を細めて、ええーと不満の意を唱えてきた。
世界最強といえば、もっと爽やかなイメージがあるらしい陽炎は、不満をそのまま眼差しに現し、お茶漬けをかっこんでから、文句をつける。
「柘榴も最近曲がってきたな。別の形の世界最強ってあると思うよ。今まで変なのが世界最強だっただけでさ」
「――世界最強になると、さ。何処かネジが外れちゃうんじゃないかな、っておいらは思う。これでいいって思っていたことが、世間の流れでは全然悪いことで、それに気付かない……これが、不老不死の結果。それなら、世界最強って、多分、それに上乗せしてそのことに気付かないことなんだと思う。怒ってこられても、力業でねじ伏せることが出来るから」
「……偶然だ。偶然、俺たちの出会った強い人たち皆、根性捻くれてただけだ。もっと別の、世界最強があるにきまってる」
「頑固ね、かげ君」
けらけらと柘榴は笑うと、お茶漬けをささっと食べて漬け物を一つ摘み、口の中でこりこりと良い食感の音をさせる。
もう少し漬けるべきかな、なんて思いながら食べていると、陽炎が顔を伏せていることに気付く。
どうしたのかと思って、とりあえず食べてる物を咀嚼して飲み終えるまで待っていると、陽炎から話を切り出してきた。
「でも強いってことは、確かに痛いことだ――とてもとても痛い場所にある」
「…………ん」
「百の痛み虫を集めていて判ったことがある。強くなればなるほど、自分の命を狙ってくる奴が増えて、誰かを信じるのに勇気が要ることだ」
「疑うことは悪くないと思うけれど。疑って始まることもあるんだ、別に聞こえが悪いけれど、悪いことじゃないよ」
「それでもさ――やっぱり、信じたいじゃないか」
「人嫌いらしくない発言」
柘榴が苦笑してそう言うと、陽炎は目つきを鋭くして「からかうな」と怒った。
陽炎は、特に最近、人を無性に信じたくなることが多い。
果たしてこのまま、星座や柘榴、白雪に縋るだけでいていいのだろうか?
己とて、何か人脈を広げたり、一人でも生きていけるようになるべきではないのだろうか。
「――かげ君、かげ君。顔、しかめっつら」
「ん、人嫌いなのに信じたがるって変かな。俺は最近、人を信じたい」
「信じればいいさ。疑いながら。疑うことは悪いことじゃないって言っただろ? 疑った上で、信じたいと思ったなら付き合い続ければいい。誰も自分の心なんて、聞こえてないんだから」
「……相変わらず、達観してんなぁ。俺、お前みたいに生きてたら、楽だったかな」
「いやぁーこの生き方も、不器用よー?」
陽炎の言葉に柘榴は苦笑し、箸をおいて、少しまた伸びてきた髪の毛を触る。
その様子に陽炎は、皮肉のつもりだったのに応えてない柘榴を見て、タフだなぁ、と感心する。
八つ当たりするつもりではなかったのだが、つい八つ当たりして、皮肉を言ってしまった。
柘榴とて、苦労しない性分ではないし、そもそも自分を嫌になることがないなんてこと、ないのに。
「――柘榴、さ。もし世界一に一日だけなることが出来たら、どうする?」
「平穏に過ごしたいね。かげ君は?」
「俺?」
まさか自分に問いかけが返ってくるとは思わなかった。
何せ、己は世界一になれる可能性の環から、外れてる人間だ。だから、想像だにしてなかった。
陽炎は、うーんと唸ってから、お茶漬けを置いて、想像してみる。世界で一番強い自分を。
「――俺は、普通の人間だ」
「うん」
「柘榴みたいに、理性なんて常人以上あるわけじゃないし、欲だってある」
「それが普通さね。おいらぁ、異常者なんよ」
「良い意味でな。――だから、きっと己が願う全てを叶えようとするんじゃないかな。力で」
「……――ふぅん。かげ君が願うこと、か。……蓮見ちゃんもなったら、そうなるのかな」
「蓮見にはそうなってほしくねぇな」
「だよねぇ! やっぱりさ、守るしかないよ。蓮見ちゃんが世界一にならないようにしよう! 二人の約束だ!」
「おう! 破るなよ、柘榴? 俺とお前の、男の誓いだ!」
陽炎はそう笑い、柘榴と拳を合わせて、こつんと叩く。それは少し、神聖な儀式のようで、柘榴は微苦笑を浮かべる。
二人には、まだ判っていない――陽炎が、その最強の環に仲間入りすることで、大きく全員の運命が変わることなんて。
今はただ、蓮見の先を願うだけ――。
あの悲しいほどにねじ曲がった、最強の名を持つ者にならぬよう。
この目の前の幼児が到底そんな力を持っているとは思えなかった。
――皆は出かけて、白雪夫妻は用事があるからと蓮見を柘榴に任せて、星座を連れて何処かへ行った。
久しぶりに陽炎と柘榴は、二人だけの空間は何だか気恥ずかしいが、すぐにも慣れる。
蓮見がぐずれば二人であやし、蓮見のオムツから嫌な匂いがすれば二人で、息のあった交換をすぐさまして、綺麗な蓮見の出来上がり。
蓮見は他の子供より、おとなしめで動かないでと言ったときは本当に動かないでいてくれるから、助かる。
「――蓮見が世界一、ね」
「世界最強かぁ……――いいなぁ」
「は? 何で、いいの?」
「いや、まぁ、蒼刻一と話した後、色々思うことがあったワケですよ、おいらにも」
「……ふぅん」
陽炎と柘榴は手を洗い、昼飯の準備をするために台所へ行く。蓮見が眠っている隙に。
柘榴の手料理を食べるのは久しぶりだし、柘榴の料理の腕は、かつて王宮お抱えになったほどなのだから、とても楽しみだ。
「っほいよ」
「って、お茶漬けかよおおお!!! 楽しみにしていた俺の心、どこにいった?!」
「まぁ食べてみてくださいよ、同じことが言えますかねぇ」
「ミスターヤマオカ?!」
どこぞの料理に拘りのある古文史の主人公みたいなことを言われ、陽炎は眼を細めてじぃーっと柘榴を見つめる。
その棘のある視線に耐えられなかったのか、柘榴が備え付けにとっておきの漬けていた漬け物を出した。
柘榴の漬け物を食べることを許されてるのは、柘榴だけしかいない。
魚座でさえ許されてない。
だから、陽炎はそれを見て、まぁ許してやるか、とお茶漬けをずずっと啜りながら、流し込み、漬け物を口にする。
大根の漬け物はシンプルだからこそ、味の美味さはすぐに他のと比較出来る。
「――ウマイ!」
「おお、そりゃぁおいらの長年の料理センスが一番光ってる奴だからなぁ」
柘榴は褒められて少し照れくさそうに笑い、それから、己もお茶漬けを用意し、口にする。
やっぱり東洋の料理は何処か自分にしっくりきて、美味しいと思える。
これでミシェルという、東洋で尤も神秘だとされていて漬け物も他の群を抜いてウマイ本場に、行ってしまえば本望だ。
「――仮にさ」
「ん?」
「仮にさ、蓮見が世界最強になって何が困るんだ?」
「かげ君、蒼刻一を見ていて何とも思わないのか? あれが世界最強で在り続けた男のなれの果てだよ?」
「ねじ曲がってるな。一回曲がって、曲がりに曲がって、一周してる管みたいだ」
「世界最強ってのは、ああいうことさ」
柘榴の言葉に、陽炎は目を細めて、ええーと不満の意を唱えてきた。
世界最強といえば、もっと爽やかなイメージがあるらしい陽炎は、不満をそのまま眼差しに現し、お茶漬けをかっこんでから、文句をつける。
「柘榴も最近曲がってきたな。別の形の世界最強ってあると思うよ。今まで変なのが世界最強だっただけでさ」
「――世界最強になると、さ。何処かネジが外れちゃうんじゃないかな、っておいらは思う。これでいいって思っていたことが、世間の流れでは全然悪いことで、それに気付かない……これが、不老不死の結果。それなら、世界最強って、多分、それに上乗せしてそのことに気付かないことなんだと思う。怒ってこられても、力業でねじ伏せることが出来るから」
「……偶然だ。偶然、俺たちの出会った強い人たち皆、根性捻くれてただけだ。もっと別の、世界最強があるにきまってる」
「頑固ね、かげ君」
けらけらと柘榴は笑うと、お茶漬けをささっと食べて漬け物を一つ摘み、口の中でこりこりと良い食感の音をさせる。
もう少し漬けるべきかな、なんて思いながら食べていると、陽炎が顔を伏せていることに気付く。
どうしたのかと思って、とりあえず食べてる物を咀嚼して飲み終えるまで待っていると、陽炎から話を切り出してきた。
「でも強いってことは、確かに痛いことだ――とてもとても痛い場所にある」
「…………ん」
「百の痛み虫を集めていて判ったことがある。強くなればなるほど、自分の命を狙ってくる奴が増えて、誰かを信じるのに勇気が要ることだ」
「疑うことは悪くないと思うけれど。疑って始まることもあるんだ、別に聞こえが悪いけれど、悪いことじゃないよ」
「それでもさ――やっぱり、信じたいじゃないか」
「人嫌いらしくない発言」
柘榴が苦笑してそう言うと、陽炎は目つきを鋭くして「からかうな」と怒った。
陽炎は、特に最近、人を無性に信じたくなることが多い。
果たしてこのまま、星座や柘榴、白雪に縋るだけでいていいのだろうか?
己とて、何か人脈を広げたり、一人でも生きていけるようになるべきではないのだろうか。
「――かげ君、かげ君。顔、しかめっつら」
「ん、人嫌いなのに信じたがるって変かな。俺は最近、人を信じたい」
「信じればいいさ。疑いながら。疑うことは悪いことじゃないって言っただろ? 疑った上で、信じたいと思ったなら付き合い続ければいい。誰も自分の心なんて、聞こえてないんだから」
「……相変わらず、達観してんなぁ。俺、お前みたいに生きてたら、楽だったかな」
「いやぁーこの生き方も、不器用よー?」
陽炎の言葉に柘榴は苦笑し、箸をおいて、少しまた伸びてきた髪の毛を触る。
その様子に陽炎は、皮肉のつもりだったのに応えてない柘榴を見て、タフだなぁ、と感心する。
八つ当たりするつもりではなかったのだが、つい八つ当たりして、皮肉を言ってしまった。
柘榴とて、苦労しない性分ではないし、そもそも自分を嫌になることがないなんてこと、ないのに。
「――柘榴、さ。もし世界一に一日だけなることが出来たら、どうする?」
「平穏に過ごしたいね。かげ君は?」
「俺?」
まさか自分に問いかけが返ってくるとは思わなかった。
何せ、己は世界一になれる可能性の環から、外れてる人間だ。だから、想像だにしてなかった。
陽炎は、うーんと唸ってから、お茶漬けを置いて、想像してみる。世界で一番強い自分を。
「――俺は、普通の人間だ」
「うん」
「柘榴みたいに、理性なんて常人以上あるわけじゃないし、欲だってある」
「それが普通さね。おいらぁ、異常者なんよ」
「良い意味でな。――だから、きっと己が願う全てを叶えようとするんじゃないかな。力で」
「……――ふぅん。かげ君が願うこと、か。……蓮見ちゃんもなったら、そうなるのかな」
「蓮見にはそうなってほしくねぇな」
「だよねぇ! やっぱりさ、守るしかないよ。蓮見ちゃんが世界一にならないようにしよう! 二人の約束だ!」
「おう! 破るなよ、柘榴? 俺とお前の、男の誓いだ!」
陽炎はそう笑い、柘榴と拳を合わせて、こつんと叩く。それは少し、神聖な儀式のようで、柘榴は微苦笑を浮かべる。
二人には、まだ判っていない――陽炎が、その最強の環に仲間入りすることで、大きく全員の運命が変わることなんて。
今はただ、蓮見の先を願うだけ――。
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