10 / 17
第十話 デートの約束
しおりを挟む
その日から盗聴も盗撮もされているのは分かるのだが、メッセージアプリ通知の数が極端に減った。
今、きっと旋風は本当にオレを信じて良いのか半分疑心暗鬼なのだろう。
結構効率的なんだけどな、あくまで「連絡先全部消してオレだけね」って言葉に「じゃあ貴方も」とノリノリで返しただけで。
相手と似てるだけで「頭おかしい」って言われるのは、解せない。
ただ、旋風は人に対して純粋で、された反応をそのまま受け入れる人だから。
沢山、旋風なりの永遠を見せて断られてきて否定されてきた人生なのだと分かる。
オレと旋風で違う点があるとすれば、永遠を諦めたかどうか。
オレはずっと永遠を持つものなどいないと諦め続けてきたから、誰かに内容を話す行為もした覚えが無かった。そしてそれはやはり合っていて、同類の旋風ですら否定する。
だけど、旋風は諦めずに永遠を見せ続けて表現し続けてきて、その際に沢山傷つけられてきたのだろう。
可哀想な旋風、そんな愛情はたった一人、オレにだけ向けていればいいのに。
オレとお前なら永遠を作れるって早く気づけばいい。
その為にだったら、どんな手段だってとるし、いつまでも待つ行為だって出来る。
旋風に甘い水でもそろそろ吸わせないと、嫌われてしまうかなと思った。
だから、沢山くる通知を全て読み終えてから、「デートしよう」と誘ってみれば通知は復活する。
「“何が狙い?”ってそんな簡単に教えるわけねえじゃん、バカで可愛いな」
旋風は、聞けば返答は全て素直に返ってくるとでも思ってるとしたら、とんでもないバカで愛らしい。
世の中はもっと怖いんだから、閉じ込めておきたいなとも思う。
世界中を信じられない目をしながらも、世界の表面的な言葉だけは素直に受け入れるんだから。ねじ曲がってるのか素直なのか分からない。
「思い出が作りたいと言えば、お前は嫌がって現在進行形にしたがるでしょう?」
「よく分かりましたね、思い出なんて許さない。僕のことこんなに掻き乱して……」
盗聴器の先の機械と繋がってるらしいイヤホンを外しながら、旋風は現れた。
目を真っ赤に腫らして、今まで泣きじゃくっていたらしく、ぐす、と鼻水を啜った。
「もう、何が何だか分からないんです」
「何故?」
「否定ばかりされてきたから。受け入れられたら、どうすればいいかなんて。恋が結ばれましたの続きがあるなんて知らない。どうすればいいか分からないんです」
「そのまま幸せのままでいればいい」
「そんなの!! そんなのあり得ない! だってみんな、みんなそういって僕を……」
「旋風、他は知らないよ。オレとお前の間にあるのは、オレとお前の関係で体験したことだけだ。オレはお前の永遠を否定しない」
「何で?! 何でそんな肯定を……」
「それを知る為にもデートしよう、ね、きっとそれがいい。ショッピングにでもいって買い物して、そのあと映画でも見よう。で、お茶しようよ」
「そ、それくらいなら……」
「じゃあ決まりだ、着替えるから少し出て。それとも生着替え見ちゃう?」
「へ、部屋の外でお待ちしてます!!」
真っ赤に顔を染めちゃって可愛いんだから。
そうやって絆されれば良い、じわじわと絆されて、オレしかもういないんだと思い知ってオレから逃げられなくなれば良い。
オレだけがお前を肯定するのなら、幸せな世界だね。
幸せな世界で生きていこうよ、旋風。
オレにはお前しか要らないよ。
今、きっと旋風は本当にオレを信じて良いのか半分疑心暗鬼なのだろう。
結構効率的なんだけどな、あくまで「連絡先全部消してオレだけね」って言葉に「じゃあ貴方も」とノリノリで返しただけで。
相手と似てるだけで「頭おかしい」って言われるのは、解せない。
ただ、旋風は人に対して純粋で、された反応をそのまま受け入れる人だから。
沢山、旋風なりの永遠を見せて断られてきて否定されてきた人生なのだと分かる。
オレと旋風で違う点があるとすれば、永遠を諦めたかどうか。
オレはずっと永遠を持つものなどいないと諦め続けてきたから、誰かに内容を話す行為もした覚えが無かった。そしてそれはやはり合っていて、同類の旋風ですら否定する。
だけど、旋風は諦めずに永遠を見せ続けて表現し続けてきて、その際に沢山傷つけられてきたのだろう。
可哀想な旋風、そんな愛情はたった一人、オレにだけ向けていればいいのに。
オレとお前なら永遠を作れるって早く気づけばいい。
その為にだったら、どんな手段だってとるし、いつまでも待つ行為だって出来る。
旋風に甘い水でもそろそろ吸わせないと、嫌われてしまうかなと思った。
だから、沢山くる通知を全て読み終えてから、「デートしよう」と誘ってみれば通知は復活する。
「“何が狙い?”ってそんな簡単に教えるわけねえじゃん、バカで可愛いな」
旋風は、聞けば返答は全て素直に返ってくるとでも思ってるとしたら、とんでもないバカで愛らしい。
世の中はもっと怖いんだから、閉じ込めておきたいなとも思う。
世界中を信じられない目をしながらも、世界の表面的な言葉だけは素直に受け入れるんだから。ねじ曲がってるのか素直なのか分からない。
「思い出が作りたいと言えば、お前は嫌がって現在進行形にしたがるでしょう?」
「よく分かりましたね、思い出なんて許さない。僕のことこんなに掻き乱して……」
盗聴器の先の機械と繋がってるらしいイヤホンを外しながら、旋風は現れた。
目を真っ赤に腫らして、今まで泣きじゃくっていたらしく、ぐす、と鼻水を啜った。
「もう、何が何だか分からないんです」
「何故?」
「否定ばかりされてきたから。受け入れられたら、どうすればいいかなんて。恋が結ばれましたの続きがあるなんて知らない。どうすればいいか分からないんです」
「そのまま幸せのままでいればいい」
「そんなの!! そんなのあり得ない! だってみんな、みんなそういって僕を……」
「旋風、他は知らないよ。オレとお前の間にあるのは、オレとお前の関係で体験したことだけだ。オレはお前の永遠を否定しない」
「何で?! 何でそんな肯定を……」
「それを知る為にもデートしよう、ね、きっとそれがいい。ショッピングにでもいって買い物して、そのあと映画でも見よう。で、お茶しようよ」
「そ、それくらいなら……」
「じゃあ決まりだ、着替えるから少し出て。それとも生着替え見ちゃう?」
「へ、部屋の外でお待ちしてます!!」
真っ赤に顔を染めちゃって可愛いんだから。
そうやって絆されれば良い、じわじわと絆されて、オレしかもういないんだと思い知ってオレから逃げられなくなれば良い。
オレだけがお前を肯定するのなら、幸せな世界だね。
幸せな世界で生きていこうよ、旋風。
オレにはお前しか要らないよ。
0
お気に入りに追加
73
あなたにおすすめの小説
えっちな美形男子〇校生が出会い系ではじめてあった男の人に疑似孕ませっくすされて雌墜ちしてしまう回
朝井染両
BL
タイトルのままです。
男子高校生(16)が欲望のまま大学生と偽り、出会い系に登録してそのまま疑似孕ませっくるする話です。
続き御座います。
『ぞくぞく!えっち祭り』という短編集の二番目に載せてありますので、よろしければそちらもどうぞ。
本作はガバガバスター制度をとっております。別作品と同じ名前の登場人物がおりますが、別人としてお楽しみ下さい。
前回は様々な人に読んで頂けて驚きました。稚拙な文ではありますが、感想、次のシチュのリクエストなど頂けると嬉しいです。
肌が白くて女の子みたいに綺麗な先輩。本当におしっこするのか気になり過ぎて…?
こじらせた処女
BL
槍本シュン(やりもとしゅん)の所属している部活、機器操作部は2つ上の先輩、白井瑞稀(しらいみずき)しか居ない。
自分より身長の高い大男のはずなのに、足の先まで綺麗な先輩。彼が近くに来ると、何故か落ち着かない槍本は、これが何なのか分からないでいた。
ある日の冬、大雪で帰れなくなった槍本は、一人暮らしをしている白井の家に泊まることになる。帰り道、おしっこしたいと呟く白井に、本当にトイレするのかと何故か疑問に思ってしまい…?
俺の小学生時代に童貞を奪ったえっちなお兄さんに再会してしまいました
湊戸アサギリ
BL
今年の一月にピクシブにアップしたものを。
男子小学生×隣のエロお兄さんで直接的ではありませんが性描写があります。念の為R15になります。成長してから小学生時代に出会ったお兄さんと再会してしまうところで幕な内容になっています
※成人男性が小学生に手を出しています
2023.6.18
表紙をAIイラストに変更しました
変態村♂〜俺、やられます!〜
ゆきみまんじゅう
BL
地図から消えた村。
そこに肝試しに行った翔馬たち男3人。
暗闇から聞こえる不気味な足音、遠くから聞こえる笑い声。
必死に逃げる翔馬たちを救った村人に案内され、ある村へたどり着く。
その村は男しかおらず、翔馬たちが異変に気づく頃には、すでに囚われの身になってしまう。
果たして翔馬たちは、抱かれてしまう前に、村から脱出できるのだろうか?
膀胱を虐められる男の子の話
煬帝
BL
常におしがま膀胱プレイ
男に監禁されアブノーマルなプレイにどんどんハマっていってしまうノーマルゲイの男の子の話
膀胱責め.尿道責め.おしっこ我慢.調教.SM.拘束.お仕置き.主従.首輪.軟禁(監禁含む)
ストレスを感じすぎた社畜くんが、急におもらししちゃう話
こじらせた処女
BL
社会人になってから一年が経った健斗(けんと)は、住んでいた部屋が火事で焼けてしまい、大家に突然退去命令を出されてしまう。家具やら引越し費用やらを捻出できず、大学の同期であった祐樹(ゆうき)の家に転がり込むこととなった。
家賃は折半。しかし毎日終電ギリギリまで仕事がある健斗は洗濯も炊事も祐樹に任せっきりになりがちだった。罪悪感に駆られるも、疲弊しきってボロボロの体では家事をすることができない日々。社会人として自立できていない焦燥感、日々の疲れ。体にも心にも余裕がなくなった健斗はある日おねしょをしてしまう。手伝おうとした祐樹に当たり散らしてしまい、喧嘩になってしまい、それが張り詰めていた糸を切るきっかけになったのか、その日の夜、帰宅した健斗は玄関から動けなくなってしまい…?
プロデューサーの勃起した乳首が気になって打ち合わせに集中できない件~試される俺らの理性~【LINE形式】
あぐたまんづめ
BL
4人の人気アイドル『JEWEL』はプロデューサーのケンちゃんに恋してる。だけどケンちゃんは童貞で鈍感なので4人のアプローチに全く気づかない。思春期の女子のように恋心を隠していた4人だったが、ある日そんな関係が崩れる事件が。それはメンバーの一人のLINEから始まった。
【登場人物】
★研磨…29歳。通称ケンちゃん。JEWELのプロデューサー兼マネージャー。自分よりJEWELを最優先に考える。仕事一筋だったので恋愛にかなり疎い。童貞。
★ハリー…20歳。JEWELの天然担当。容姿端麗で売れっ子モデル。外人で日本語を勉強中。思ったことは直球で言う。
★柘榴(ざくろ)…19歳。JEWELのまとめ役。しっかり者で大人びているが、メンバーの最年少。文武両道な大学生。ケンちゃんとは義兄弟。けっこう甘えたがりで寂しがり屋。役者としての才能を開花させていく。
★琥珀(こはく)…22歳。JEWELのチャラ男。ヤクザの息子。女たらしでホストをしていた。ダンスが一番得意。
★紫水(しすい)…25歳。JEWELのお色気担当。歩く18禁。天才子役として名をはせていたが、色々とやらかして転落人生に。その後はゲイ向けAVのネコ役として活躍していた。爽やかだが腹黒い。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる